鬼平犯科帳

鬼平犯科帳シリーズⅨ 一本饂飩&闇の果て

鬼平犯科帳シリーズⅨ 一本饂飩&闇の果て

いよいよ最後の一巻となってしまった。

またいつか最初の一巻から観直そうと思う。

それまでしばしさらばじゃ鬼平殿!

第4話 一本饂飩 ☆☆☆☆

今度は男色の話し。(今度はとしたのは前回レズの話もあったため。)

木村忠吾は女好きだ。市中見回りのときでも町娘にちょっかいを出したりする。

そんな忠吾がかどわかされる。しかもある盗賊のお頭の「色子」にされる危機に...

おのれの趣味思考や意思とは正反対の状況に置かれる羽目と相成る。

後に救出された忠吾は平蔵にこう語る。

忠吾「刺し違えても操を守るつもりでした。」

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今回御崎(みさき?)の「あわび」が平蔵が特別に取り寄せた高級食材として登場する。

平蔵は、五鉄であわびのフルコースを食べるからお前も来ないかと門番と油を売っていた忠吾を誘う。しかし、忠吾もあわびにはちょっとばかりうるさく、そんじょそこらのあわびではダメで、なおかつ雄のあわびでないとダメと言う。

平蔵は御崎から取り寄せた特別の雄のあわびだと説明すると、忠吾は喜ぶ。しかし、その日、忠吾は終に五鉄に姿を見せなかった。平蔵たちは忠吾の身に異変が起こったことを知る。

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平蔵「(忠吾を)死なしたくねえ。」

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忠吾は監禁されながら平蔵の言葉を思い出す。

困ったときは考えろ。何でもできるのが人間だ。

良い言葉である。

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平蔵は今回の事件の発端となり、盗賊団捕縛に対する一応の手柄を立てた忠吾にために一席が用意してあるという。忠吾は下帯無しの下半身丸裸で助け出されただけで手柄を立てていないし、役宅内で男色の盗賊の頭の気を惹こうとしたなどとへんな噂が立っていると、ちょっと躊躇して、すねてみせて、遠慮する。

平蔵は、みんな面白がってからかっているだけだと諭す。そして忠吾が食べ損なった御崎のあわびを再び用意させたと話す。すると忠吾の眼の色が変わる。そして冒頭紹介の科白である。

「そうかそうか。さあ、あわびだ、あわびだ。」

平蔵「おめえの好きな雄あわびだ。」

<思わず噴き出してしまった。>

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<キャスト>

寺内武兵衛 (算法屋(会計士or税理士)、実は盗賊の頭、男色家) 石橋蓮司

与市(武兵衛の色子、実に気持ち悪い名演技。口の周りの髭剃り跡が青々としていてキモイ。)山西悼

馬平 丸岡奨司、元助 芝本正、 お静 酒井雅代、権次 山田蔵

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第5話 闇の果て

平蔵「ただ気に掛かるのはあの藤田彦七のことだ。ときには思いもよらぬ事をしてのけるものさ。人が善く、気の小さい男に限ってな。」

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(おりつの夢の中。おりつは、お弓が大刀を携えて自分を殺しにやってくる夢に幾度となくうなされる。二度目の夢のシーン。)

藤田「お前のせいだ。こんなことになってしまったのは、何もかもお前のせいだ。」

(おりつは、元夫の藤田と一人娘お弓に済まないことをしてしまったとの強い思いに囚われ、日々心休まることは無かったようだ。)

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藤田は終に一人でおりつを救出しようと決心し、渡辺八郎らの盗人宿に火を放つ。逃げ出してきたおりつに「こっちへ来い。」と呼ぶが、おりつは逆に「逃げて!」と叫び、燃え盛る火の中へ入っていく。藤田は追いかけようとするが渡辺八郎に斬られる。藤田の言動に不審を抱き尾行してきていた粂八が駆け寄り抱き上げるが、藤田は粂八の腕の中で息を引き取ってしまう。粂八は「もっと早く助けに行っておけば...」と後に悔やむ。

平蔵「藤田という男、あのまま生きていたとしても果たして妻や子を幸せにできるのか。どうだい粂?」

粂八「へい、それは...」

平蔵「これでいいのさ。世の中というものは。なあ、粂。」

<ぼてふり&売り声>

二八そば、ちょうちんや(珍しいちょうちん売り登場。竿の前後にちょうちんをぶら下げて歩き売り。「ちょうちん、ちょうちん」)

<キャスト>

藤田彦七 船越英一郎、

おりつ(藤田の前妻。男ができて藤田と娘お弓をおいて姿をくらました。) 野村真美、

渡辺八郎(盗賊。おりつを連れて逃げた男を殺害し、今はおりつを情婦としている。) 岡崎二郎、

吉兵衛(渡辺の一味。不動産屋、二八そば屋に姿を変え、藤田の弱みに付け込み盗みの片棒(引き込み役)を担がせる企みの繋ぎ役をする。) 樋浦勉、

おみね(藤田の後添え) 井上ユカリ、

お弓(藤田とおりつの間に生まれた娘) 池本愛彩

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鬼平犯科帳 スペシャル 雨引の文五郎

鬼平犯科帳 スペシャル 雨引の文五郎

2009717日 21:00-22:54 フジテレビ

http://www.fujitv.co.jp/fujitv/news/pub_2009/09-131.html

おきぬ「律儀でしっかりした人。きっと来れない訳がある。」

この後おきぬは夫文五郎に会えないまま死んでしまう。

***********

文五郎はおきぬの墓標の前にひざをついている。

おしげ「安心しな。あんたのことはちっとも恨んでなかったよ。」

**********

平蔵たち火盗改方が駆け付け命の危険にさらされていた文五郎たちを助ける。

しかし、平蔵たちが駆けつけた理由を聞かされ、文五郎は匕首で自害する。

平蔵「皆が助けようとした命を!馬鹿者め!」

**********

平蔵「権三郎よく聞け。お前は大きな勘違いをしているぞ。」

権三郎「勘違い?」

平蔵「文五郎はな、三百両のことなど一切知らずに死んで行ったわ。お前は三年前文五郎の女房おきぬが病に倒れたとき、三両の金を与えたそうだな。おきぬはその金で手厚く葬られ墓まで建ててあったそうな。おめえ、いいことをしたなぁ。文五郎はそのことを深く恩に着ていた。お前を牢から助け出したのもその恩返しよ。どうだい。思い出したか?

権三郎「あ、あー、そう言えば。そんなら、話を着けよう、話を着けようっていうのは?あれはいってぇ何のことで??」

平蔵「愚か者!文五郎の心が読めず、三百両の金に眼(まなこ)が眩んでいたのはおのれの方だ!文五郎はこの俺と盗賊改メの密偵として働くことを約束しておった。だが、恩義は恩義、おのれに昔の恩を返して五分と五分。次に会った時には遠慮なしにお縄にすると、文五郎はそういう男だった。欲深え奴は人の心まで欲深く邪推する。此度の一件、全ておのれの欲深さが引き起こしたものと思い知れ!権三郎、おめえは何とも憐れな野郎だなぁーーー。」

<キャスト>

雨引の文五郎 國村隼

おしげ 賀来千香子

舟形の宗平 伊藤四郎

犬神の権三郎 田中健

小鼠の安兵衛 上田耕一

落針の彦蔵 菅田俊

滝蔵 樋浦勉、 おきぬ 長谷川真弓、 政次 土屋裕一、 伊助 有薗芳記、

柿六 朝倉伸二、 おれん 亜呂奈、 与吉 清水伸、 幸兵衛 平井清

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鬼平犯科帳シリーズⅧ 眼鏡師市兵衛&はぐれ鳥&おれの弟

鬼平犯科帳シリーズⅧ 眼鏡師市兵衛&はぐれ鳥&おれの弟

第4話 眼鏡師市兵衛 ☆☆☆

「役者にしたいようないい男」とは木村忠吾が三雲の利八の人相書きを見て漏らした言葉である。しかし、忠吾は本人を見かけたときに、それが人相書きに書かれていた三雲の利八だと気付かなかった。平蔵は人相書きを失念した忠吾を愚か者と叱責した。(忠吾でなければもっと厳しく責任を取らされてもおかしくないほどの失態である。)

彦十「盗人に道理の分かる奴はいねえ。」

********

忠吾「彦十の尾行は無駄骨だ。気の毒にとおっしゃった。」

彦十「銕っあんが気の毒にって?本当かよ?」(彦十泣く)

忠吾「彦十?」

彦十「そうだよ。長谷川様ほど人の気持ちが読めるお方は滅多に居やしねえよ。とりわけ俺たちみたいなはみ出し者(もん)の心をよぉ...」

粂八「おいおい、どうしたんだよ?とっつあん!」

彦十「どうもしやしねえよ。おらあ嬉しいんだよ。」

<キャスト>

眼鏡師市兵衛(=鍵師の市兵衛、錠前破りの名人。彦十と知り合い。本事件の後、平蔵の人柄を心服し密偵となる。)加藤武

三雲の利八(役者にしたいようないい男)加納竜

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第5話 はぐれ鳥 ☆☆☆

谷中いろは茶屋で忠吾が贔屓にしていたお照を指名した者が居た。忠吾はその人物が女であると聞いて、店を出たその女の後を追いかけ、男を馬鹿にするなと懲らしめてやろうとした。しかし、軽くかわされた上に、反対に扇子を右頬の辺りにしたたかに投げつけられた。

頬に紫の痣をこしらえて役宅に帰ってきた忠吾は平蔵に呼び出された。平蔵に頬の青あざの理由を訊ねられ、忠吾は事の顛末の一部始終を話すと共に、持ち帰っていた扇子を平蔵に見せた。

平蔵は神田の小間物屋・丁字屋を襲った盗賊が持ち帰った扇子であることに気付き、直ちに指示を出した。いろは茶屋界隈にはわずか一夜のうちに水も漏らさぬ体制が敷かれた。

しかし、かの女男はその夜のうちに五十両を支払ってお照を引いていた。

平蔵「女男め。かなり手強い。」

*************

平蔵「女男に男女、そして俺たちと、人の性(さが)は様々だが、性に良いも悪いもねえ。どれも紙一重だ。ただあの女、一日違いで仇に死なれ、生きる目当てを失ったとき、人の命の大事さまで見失ったらしい。そいつが不憫だ。」

**************

平蔵、性について語る。平蔵は性に関して、かなり柔軟で進歩的な考えを持っていたことが分かる。

<キャスト>

津山薫(女男、本名 森初子、剣客でありレズビアン)毬谷友子

吉見丈一郎 羽場裕一 初子と同門の剣客であり、火付盗賊改め方同心

お照 竹内都子

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第6話 おれの弟 ☆☆☆

平蔵初の仇討をする。何だか胸がスーッとしたので☆をあげた。

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丈助「超えれば鬼火の燃える修羅の地獄だ。人としてこれは超えてはならぬことなのだ。」

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彦十「男と女の仲はどうしてこんなに面倒なんですかね?」

平蔵「死ぬ前のただ一度の契りか。」

*********

平蔵「去年のことを覚えていような?わしも初めての仇討じゃ。しくじりはせぬ。」

源三郎「仇討?」

平蔵「弟の仇討だ。弟の名は滝口丈助という。おのれに弟をだまし討ちにされて、怒りを鎮めようとしたがなかなか鎮まらん。おのれのような奴を生かしておいては後々諸人(or庶民?)が迷惑をする。」

源三郎「源三郎の父はお側衆を勤める石川筑後守なるぞ!」

平蔵「なればこそ、なおさら生かしてはおけぬ。」

*************

平蔵「終わった。」

沢田「左様で。」

平蔵「沢田、これまでよく助けてくれた。」

沢田「私もこの胸が晴れましてございます。」

平蔵「お役にある者の成すべきことではなかったやもしれんなぁ。なれど、堪え切れなんだわ。」

沢田「はい。」

平蔵「さ、戻ろう。急ぎ働きの盗人を一人叩き斬ってやったと同じことよ。」

<キャスト>

滝口丈助 渡辺裕之、 お市 真行寺君枝、

宗仙 織本順吉、 石川源三郎 友居達彦、

高杉庄平 大木郎、 京極備前守 仲谷昇

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鬼平犯科帳シリーズⅨ 一寸の虫&男の隠れ家

鬼平犯科帳シリーズⅨ 一寸の虫&男の隠れ家

第7話 一寸の虫 ☆☆☆

平蔵が短銃で撃たれそうになったところを自分が盾となって助け負傷した仁三郎。その仁三郎の日々の生活の世話をするためにおまさが派遣されてきた。平蔵の計らいによる。仁三郎は「おまささんは本当にきれいだ。」と誉める。「五色の雲から下りてきた観音様のようだ。」と。おまさ「そこまで言うと嘘になる。」と照れて(?)ちょいと否定する。

ところがおまさはあるときから急にそんな仁三郎が笑わなくなったのに気付き不審に思う。

相談を受けた五郎蔵が仁三郎を飲みに連れ出して話をする。

五郎蔵「自分の命はいざとなれば長谷川様にお預けすることにしている。長谷川様は死んだ密偵の女房、子どもの面倒まで見続けてくださる方だ。いや死ねと勧めてるんじゃねえ。覚悟の話さ。そういう覚悟があれば迷いはねえ。怖いものは何もねえってえ話さ。」

仁三郎「そうか。そんな簡単なことにどうして気がつかなかったのだろう。」

五郎蔵は偶然江戸に入っている船影の忠兵衛を目撃する。そして忠兵衛の周辺を見張り、終に平蔵は、忠兵衛一味の計画を察知する。

苦悩していた仁三郎であったが、忠兵衛の今回のおつとめを横取りして忠兵衛に一切の罪を被せようと企む鹿谷の伴助(伴助は同時にその計画に仁三郎を巻き込むために、仁三郎の一人娘おみののことを嗅ぎ付けて脅迫していたのだが)とその一団を一人で始末しようと最終決心し、お勤めの夜に全員が集まったところでまず伴助を匕首で刺した。しかし、7人もの敵を相手に終には命を落とす。その盗人宿を見張っていて異変に気付いた火盗改方が飛び込むが間に合わなかった。この異変により伴助一団は忠兵衛の本隊との合流計画が達成できなくなった。しかし、忠兵衛たちが狙う店には既に平蔵たち火盗改方が先回りして待ち受けており、踏み込んできた忠兵衛一味を捕まえた。忠兵衛は部下達に手向かうな、恐れ入りやしたと縛に付く。

************

平蔵「そうか、仁三は以前船影の忠兵衛の手下であったのか。」

五郎蔵「忘れてはならねえ恩人の一人だと言っていたそうでございます。仁三郎さんは命を捨てて何かご恩奉侍([名](スル)貴人のそばにいてその人のためにつくすこと。をなさったに違えありません。」

平蔵「うむ。まさしく覚悟の働きであったようだのう。」

忠吾「でも...一体何があったのか?いや、何があったにせよ、そのことを何故お頭に...。打ち明けてくれればどのようにでも計らってやれましたのに...。」

五郎蔵「それができねえ板挟みになっていたんでござんしょう。同じ立場のあっしらには良く分かることでござんす。」

おまさ「それにおみのっていう娘さんのことを...。三つ巴に...考えて考えて...考え抜いて...」(泣く)

平蔵「その挙句におのれの命を投げ出した。憐れなようだが当人はそれで救われたのであろうよ。他に手立ては無かったのだ。」

久栄「この手紙、『おみののことをお頼み申します。お頼み申します。お頼み申します。』と三度も。仁三郎がこれを書いたときの気持ちを思い遣ると切のうて、胸の潰れるような思いがいたします。」

平蔵、目をつぶったまま...何も言わない。

*************

平蔵「忠兵衛、ひとつ訊きたいことがある。」

忠兵衛「何でございましょう?」

平蔵「昔、まだ江戸に居る時分、お前の配下に仁三郎という男は居なかったか?」

忠兵衛「仁三郎でございますか?さあ、存じませんなあ。」

平蔵「何、知らぬ!?おまえのことを大恩人と仰ぎ、その教えを片時も忘れずに居た男だが?」

忠兵衛「ほう。どうも覚えがございませんなあ。」

平蔵「そうか。知らねえか。」

忠兵衛「そのお方がどうかしなすったんで?」

平蔵「うん?死んだ。一寸の虫が義理と筋目を通してなあ。」

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その後、平蔵は市中見回りの時に幼いおみのが鞠つきをしているところに立っていた。おみのの手から逸れた鞠が平蔵の足もとに転がってきて止まる。鞠をひろって腰をおろすと、駆けて寄って来たおみのの頭を右手で撫でながら顔を覗き込む。平蔵は笑顔でおみのを見つめた。

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仁三郎は忠兵衛の配下だったとき押し込み先で女を手篭めにしようとした。そのとき忠兵衛は盗みの掟を破った罰として仲間に命じて仁三郎をこっぴどく叩かせた。そして今後一切俺の前に現れるなと縁を切られた過去があった。後にも先にも仁三郎が忠兵衛と関わったのはこの一事だけであったようだ。しかし、仁三郎はこのとき本当に大事なことを教えて貰ったと思った。

<キャスト>

密偵 仁三郎 火野正平:15年前に忠兵衛の手下であったことを平蔵に隠している。忠兵衛は自分に人としての生き方を教えてくれたので忠義が有ると思っている。一人娘のおみのを妹夫婦に養女として引き取って貰っている。

船影の忠兵衛 高橋昌也

鹿谷の伴助 高橋長英:忠兵衛に恨みを抱き仕返しを考えている。仁三郎を「おみのは可愛い盛りだ。」と脅す。

不動の勘右衛門 五味龍太郎、名草の与八 本城丸裕(先日ホタルを見に行ったのは名草だった)、袋井の富蔵 門田俊(袋井は滝で有名だ)

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第8話 男の隠れ家 ☆☆☆

平蔵哲学を語る。

平蔵「人という奴は、もともと訳の分からぬ生き物ではないか。心の奥底にはおのれ自身さえも訳の分からぬ魔物が棲んでいるものよ。」

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弥吉「恐れながら長谷川様、犬になるほどならこの体八つ裂きにしていただいてもよろしゅうございます。お笑いになりましょうが、あっしら盗人には盗人の決まりというものがございますんでね。」

平蔵「うむ、いい覚悟だ。この数日でおまえの裁きを着ける。その時の覚悟もしておけ。」

裁きの日、平蔵は弥吉を縛っている縄を大刀を一振りして斬り解き、そのまま放免してやった。

さて、物語が進むに連れて弥吉が犯し平蔵に捕らえられることになった罪が明らかになる。

五鉄の二階で

平蔵「碧の黒髪は女の命だてえが、そうかい、吉野屋の女房この一件ですっかり大人しくなっちまったか。」

おまさ「長患いと言って部屋に閉じ篭り、三度の食事もご亭主に運んでもらって、中むつまじく一緒に食べているそうでございます。」

平蔵「ふーん。いや、清兵衛という男も今のうちだな。髪はやがて伸びてくる。その時が来たらどうなるか?以前のままだとまた見くびられちまうに違えねえ。いや、女が大人しくしているのは当座のときだけだ。いやはや女という生き物は盗賊よりも恐ろしい。なあ、おまさ?」

おとき「私も女でございますよ!長谷川様!」

彦十「それにしても弥吉の野郎、盗人のくせに洒落たまねをしたもんですね。」

平蔵「あー、江戸を発つ前に置き土産のつもりで清兵衛の恨みを晴らしてやろうと考えたのさ。弥吉にしてみればよっぽど大事な友達だったに違えねえ。」

おまさ「心を許し合った相手など見つかるものじゃございませんからね。ましてや盗人の仲間じゃ。」

平蔵「ふふふ。今の世の中、酔狂な奴が消えちまってつまらねえと思っていたが、あー、この世も満更ではなさそうだ。弥吉のような盗賊が残っていたかと思うとな。」

それから数日後。平蔵は船着場で船に乗り込み釣り糸を垂れている。

弥吉「長谷川様!」

平蔵「このわしに何の用だ?」

弥吉「もうたくさんでございます。長谷川様。牢を出た後は毎日が恐ろしく、いつもいつも長谷川様の目がこの私を見ておいでのようで。いやもう、夜もおちおち眠ることができず...思うように手足も動かせぬ有様で。恐ろしいお方でございますなあ、長谷川様は。いつから分かっておいでだったのでございましょう?この私が戻ってくるものと?」

平蔵「それで、どうするつもりだ弥吉?」

弥吉「へえ、この通りで...お上の御用、長谷川様が申されるとおりに相勤めます。」

平蔵「....」

弥吉「長谷川様!」

平蔵「何を言って(orして?)やんでえ!早く俺の船に乗らねえかい!」

弥吉「へい!」

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平蔵の言う「俺の船」という言葉が印象深い。大船か?

<キャスト>

玉村の弥吉 地井武男

吉野家清兵衛 小野武彦

お里 紅萬子:清兵衛の妻

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鬼平犯科帳シリーズⅧ 同門対決&影法師

鬼平犯科帳シリーズⅧ 同門対決&影法師

第7話 同門対決

長沼又兵衛はかって高杉道場で平蔵と竜虎と呼ばれた剣客である。平蔵はかってその兄から又兵衛の偏屈なところを治してやって欲しいと頼まれていた。しかし、又兵衛は高杉先生からなかなか免許を与えられず、終には免許皆伝書を勝手に盗み出して姿を晦ましていた。

いよいよ対決のときが来たが、平蔵は「それは白紙であったろう。免許皆伝とは教えるものが無いということなのだ。」と語る。

平蔵は「この男は長沼又兵衛ではない大島平之進ということにしてくれ。」という。

WHY? 平蔵の思いとは?

<キャスト>

長沼又兵衛 森次晃嗣

砂蟹のおけい 根岸季衣

笹倉の太平 石丸謙二郎 おけいとの濡れ場を目撃した粂八の話を聞いて、平蔵が冗談で性技の方での「免許皆伝」を認める。後に彦十がこの話を聞きつけて久栄が居るところで平蔵に話しかける。と、出かける支度中だった平蔵の顔が赤くなったと久栄が訝しがる。平蔵は慌てて出てゆこうとする。

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第8話 影法師

木村忠吾、平蔵の肝煎りで妻を娶ることになるが、最後にどうしても品川宿の女郎千代菊のことが忘れらない。その千代菊の元へ急いでいるところで偶然盗賊塩井戸の捨八に遭遇する。捨八はかって忠吾と瓜二つの浪人「りゃんこの源三郎」に裏切られ仲間を殺傷され盗んだ三百両弱の金を奪い取られたと思い込んでおり、盗賊の掟を知らしめてやろうと捜し求めていたのであった。

その後忠吾は意外にも叔父の中山茂兵衛とばったり出会い、両親の墓に結婚報告に行くのかと勘違いされ一緒に墓参りをすることとなった。捨八はその二人の後を追うが、忠吾は時を報せる鐘の音を聞いて品川宿へ行かねばと焦り、叔父と別れる。その時捨八は忠吾を見失ってしまい、茂兵衛の後をつける。捨八は茂兵衛も盗賊と勘違いしていた。一方の忠吾、品川宿に着いたものの千代菊は既に身請けされていて居なくなっていた。

平蔵「おたかを嫁に迎えたらきっと身を慎めよ。」

<キャスト>

塩井戸の捨八 新克利

長坂万次郎 長谷川明男、井草の為吉 赤塚真人

中山茂兵衛 石濱朗(忠吾の叔父)、渋谷道仙 山内としお

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鬼平犯科帳シリーズⅦ 木の実鳥の宗八&礼金二百両

鬼平犯科帳シリーズⅦ 木の実鳥の宗八&礼金二百両

第4話 木の実鳥の宗八

木の実鳥とは「猿」のこと

本編ではおまさが黒装束に身を包み、盗賊が目をつけている伊勢屋に忍び込みその家の間取りを確認するという能力を披露する。

なお、伊勢屋は宮口の妻の実家であった。

平蔵「歳を取ると男は侘しいということよ。」

<キャスト>

木の実鳥の宗八 大木実、おきね 山口美也子

宮口伊織 高橋長英、大塚済兵衛 本城丸裕

川辺軍兵衛 谷口高史、袈裟蔵 武井三二、霞の定五郎 渡辺哲

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第5話 礼金二百両 ☆☆☆

平蔵悪夢を見る。鎖鎌に剣を取られ、そこに敵の刃が...そこで目が覚めた。

平蔵は酷い風邪を引いて寝込んでいたのであった。

平蔵台所の遣り繰りにも心を痛める。

平蔵「因果なものだ。こうまでしても今のお役目が辞められぬとは。はぁ。」

久栄「では頃合を見てどなたかに交代していただいてはいかがでしょう?」

平蔵「ははは、できればな。それができぬのだ。」

久栄「何故できませぬ?」

平蔵「うむ。今のお役目はな、俺の性分にぴったりと嵌っている。ははは、いやこれはそのまことにもって困ったものだ。」

久栄「あら、まあ。」

平蔵「以前の肩肘張ったお勤めと違い、今俺のしていることは日に日に新しい。いろんな人間のいろんな心と触れ合い、憎みながら憐れみ、憐れみながら戦わねばならぬ。つまりはこの長谷川平蔵、この歳になってようやく人の世が面白くなってきたのだ。へへへへへ。」

<ナレーションより>全く火付盗賊改め方の役目というものは、江戸の凶悪な盗賊どもに命懸けで挑むだけではなく、その台所の遣り繰りもたいへんなものであった。与力10人、同心30人、それに多くの下役たちを手足のように動かすには費用を惜しんではいられない。そしてその才覚も平蔵に負わされるのであった。

平蔵「しかし、思えば又太郎という男も憐れな者よ。横田の先代がもう少し情けがあればまともに成長したものを、はかなく果ててしまった。」

小林与力「はっ、人の世の因果はむごいものでございます。」

平蔵「左様。その定めが巡りめぐってこの俺に二百両という金子をもたらした。いやーこれで当分の間は盗人どもを捕らえる費えには事欠かぬ。のう、小林。」

小林与力「はい。」

平蔵「はー、だがしかし、敢えてこんなことをする俺を、お主のお頭様をお主は何と見る?」

小林与力(落涙しながら)「はい。」

平蔵「ありがとよ。(鼻先をちょいとつまんで)おい、だが誰にも言うなよ。」

平蔵「女房を選ぶなら煮物の上手い女を選べ。」

<キャスト>

横田大学 磯部勉、 横田芳乃 小畠絹子、

山中伊助 河原崎健三、 又太郎 小林宏史、千代太郎 藤山扇治郎

谷善左衛門 多々良純

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鬼平犯科帳シリーズⅦ 泣き味噌屋&寒月六間堀

鬼平犯科帳シリーズⅦ 泣き味噌屋&寒月六間堀

第8話 泣き味噌屋

平蔵「一心は一心だがな、あのときの川村は妻の仇を討ちたい一心ではなかったのだよ。」

おまさ「何と仰せられます!」

平蔵「川村はな、ただひたすら仇の手に掛かり、死んだ女房の後を追い、あの世に行きたい一心だったのだよ。」

おまさ「あの世へ?」

平蔵「うむ。自分の手で死ぬこともできず、和田木曽太郎を召し捕ると聞いてにわかに思いついたのであろうよ。」

おまさ「まあ。」

平蔵「まあ、今にして思えばそれが却って良かった。木曽太郎はな、なまじ剣を遣うだけにただ死にたい一心で突っ込んできた川村に戸惑ったのだ。それでやられたのだよ。」

おまさ「では長谷川様はそれと知りながら川村様を敵の手に?」

平蔵「うん、されば川村がそれを望んだからよ。ここへきて、まあ、しかとは口に出さなんだが、女房の後を追いたい心底がもうありありと見えた。」

おまさ「それにいたしましても...」

平蔵「我が家来をむざむざ敵の手に押し与えた。はっはっは。わしはそういう男なのだよ。あの時のようなあのような腑抜けな家来など、ふふふふ、居てもらっても仕方がないわ。あっはっはっはっは。いや、男にはな、男の生き様がある。おまさ、何も案ずることは無いぞ。はは、あははははは。」

さて、平蔵は何故おまさに案ずるなと言えたのか?

<キャスト>

川村弥助 平田満、 さと 北原佐和子

秋元左近 亀石征一郎、 和田木曽太郎 伊藤高

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第9話 寒月六間堀

平蔵「いやー、さてと。今日はどうするかな?」

彦十「どうするってね、お帰りになるんでがしょ、清水御門のお役宅へ?」

平蔵「ふむ、帰ったらまた出かけなくっちゃなるめえよ。盗人どもを捕らえにな。何とか暇を作っておのれの好きな所へ行き、好きな酒をぼんやりと飲みながら、さて今夜の夕餉は何にするかなどと、他愛のないことを考える。なあ。夜になれば一合の寝酒をのんびりと飲み、あとは床に体をゆっくりと伸ばして無心に眠りこける。あー、人にとって何よりも大事なことは、あー、それに尽きるんじゃねえか、彦?」

彦十(心配そうな表情)

平蔵「俺も四十の坂を越し、いや、人の二倍も三倍も生きて来たように思うときがある。近頃しきりにな。」

彦十「銕っあん!」

平蔵「いやー、こんな話ができるのもな、うちの奥方とお前さんだけだい。ははは。」

彦十「そうでございましょうね。銕っあん、いや、長谷川様。今日は一日何もかも忘れて若けえ頃に戻り、どこかへぷらっと足を伸ばしてみようってのは?」

平蔵「女という生き物は男と男の間に割り込んで、何もかもぶち壊しちまうって言うが...」

巴屋の女将「女のことはよくお分かりにならぬままあの世に行ってお仕舞いになりました。藤四郎様もそして伊織様も...」

平蔵「ま、大概の男はそんなもんだ。」

女将「それであなた様は?」

平蔵何も言わずに立ち去って行く。

<キャスト>

市口瀬兵衛 中村又五郎―伊織の父。伊織は山下藤四郎との決闘で死んだ。当時おとせは伊織の許婚であったが、そのおとせが藤四郎と何らかの関わりがあったようだと瀬兵衛は聞き及んでいた。

おとせ(巴屋の女将) 中村久美

山下藤四郎 潮哲也、  利助 加島潤

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鬼平犯科帳シリーズⅦ 見張りの糸&毒

鬼平犯科帳シリーズⅦ 見張りの糸&毒

第10話 見張りの糸

久々に平蔵を訪ねてきた井関録之助に対し、用件は酒か飯かと平蔵。

録之助「お前さん、なぜそう昔なじみの心をえぐる様なことを言う。」

平蔵「恨みと欲を絡ませて悪党二人をこの色香で操ったか。おきく、この世の中、お前の思い通りにゃいかねえよ。だが、お前の兄を思う心根だけは見上げよう。」

<キャスト>

稲荷の金太郎 片岡竜次、 戸田銀次郎 遠藤征慈

井関録之助 夏八木勲

神仏具 和泉屋東兵衛 奥村公延-向かいの大黒屋の見張り所に二階を提供するが、かってのは大盗賊だった。一家四人ははらはらどきどきの日々となった。録之助はその顔を見たことがあるのだがその記憶の場面が思い出せない。

おきく 一色彩子 かって盗みの掟を破ったために東兵衛が殺した男(天蔵)の妹。兄の仇の東兵衛を殺害すると共に和泉屋に隠されている二千両を奪おうと、盗人金太郎と浪人銀次郎を色仕掛けでそそのかす。

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第11話 毒

火付盗賊が大奥がらみ、幕閣上層部の「魑魅魍魎の世界」に踏み込まんとする。

そこは雲の上のことで管轄外であり、評定所の役目である。

平蔵と小林と酒井たちは一つ間違えば首が飛ぶことを覚悟する。

平蔵「この泰平の世に命懸けの仕事とは滅多にあるものではない。男冥利に尽きるとは思わんか。はっはっは。」

しかし、この事件は最も味わいの悪いものだった。

土屋家家老「俗に言う内輪もめでござる。お胸の内に畳み込んで丸く収めてくださいませ。」

家老、菓子折りの底に大金を隠した手土産を平蔵に差し出す。

平蔵「今の盗賊改め方はこの長谷川平蔵がしょってるんだ。金づくで丸め込もうとしてもダメだよ。爺さん!」

その半年後、土屋左京は急死。お家はお取り潰しとなった。

<キャスト>

山口天龍(易者) 佐川満男

井坂宗源

伊太郎 有薗芳記、 万右衛門 津村鷹志

土屋左京(五千石の将軍様お側つき大身旗本)

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鬼平犯科帳シリーズⅧ 瓶割り小僧&穴

鬼平犯科帳シリーズⅧ 瓶割り小僧&穴

第2話 瓶割り小僧 ☆☆☆

著者は落語にヒントを得たのではないだろうかと思った一編。話の締めくくりは「饅頭恐い」を紹介して「しゃも鍋恐い」で落ちとなる。小僧が割る瓶は水瓶で、大きな瓶である。さて小僧は何故瓶を割るかであるが、相方が居ないからであった。落語の「こいがめ(祝い瓶)」や「壷算」では大きな瓶を大人二人が天秤棒で担いでいくのだ。

石川の五兵衛(幼名音松)は父親が亡くなってから母親の手で育てられる。母親はいろんな男と付き合うようになる。音松は15歳のときに、その男の一人に熱湯をかけられて頭に火傷を負ってしまう。今、盗賊となった音松こと石川の五兵衛は「世の中に恐いものなど何も無い」と豪語するようになっていた。火盗改メ方に捕まって酒井同心に取調べを受けても、反対に酒井を手玉に取るというくらいに悪知恵に長けているのであった。

平蔵は五兵衛の顔を見て、その事件より二十年前にまだ幼い音松と出会っていたことを思い出す。現在の顔から二十年前の姿に繋げるとは平蔵の記憶力と推察力は凄い。

(ゴルゴサーティーンは標的の若い頃の写真からその後二、三十年以上も歳を取ったその人物の顔を推察できると読んだことがある。平蔵とゴルゴ、どちらも甲乙つけ難い優れた能力だ。自分や家族の写真を思っても、人の成長と老化に伴う変貌は大きいと思う。特に子どもから大人へは異質なものへの変異のように感じる。平蔵もゴルゴも加齢によっても変わらないその人物の特徴的な何かを直感的に見出すことができるのだろうか?今回平蔵は五兵衛の目からその二十年前を思い出した。)

ここから平蔵は五兵衛を自白に追い込む仕掛けを考えて実行していくが、本編のいちばんの見所である。

五兵衛は平蔵に刀の一振りで着ていた着物の前を切り裂かれ「あんまり大人を嘗めるなよ。」と諭された過去の恐怖の体験の記憶を呼び起こされついに観念する。そして過去十年間23件の押し込みを自白する。さらに口合人の情報を持っていたために、火盗改メ方は多数の盗賊を捕えることができたのである。

一方、本編に落語で言うくすぐり様の挿話があり、村松忠之進がしゃも鍋を調理してお勤めで疲れたおまさに平蔵、彦十同席のところで食べさせる。村松は、しゃも鍋が商売の「五鉄」のそれと比較して、ごぼうのささがき以外の具(白ねぎ、椎茸など。個人的にはネギは相性が良いと思う。さらに焼き豆腐などを加えてもよいと思う。五鉄のには入っていたような?)を入れた五鉄のものは江戸前ではないと批判する。五鉄の三次郎は後にこれを聞きつけ、平蔵たちに自作の鍋を食べてもらい、村松のものとどっちが上手いか白黒を付けてくれと迫る。彦十は腹が痛くなったと逃げる。おまさも彦十を介抱する振りをして結局居なくなる。平蔵は腹を括る。

こいがめ:家見舞いに水瓶が買えず肥瓶を持って行くが、 一杯呑んで行けと言われる。夫人が出してくれた冷奴やお浸しやご飯は持って行った瓶の水で作ったのだと分かる。

<キャスト>

石川の五兵衛(音松) 上杉祥三、

口合人 千蔵 梅津栄、

麻布ねずみ坂のめしやの亭主(元浪人)赤松弥太郎 辻萬長

その息子 赤松小弥太 辻輝猛

富 大津祐介、 お浜 沢村亜津佐

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第3話 穴 ☆☆☆

前編の瀬戸物屋からの繋がりか、「壷屋」が屋号の店が出てくる。ここは芝の白粉屋であったが、いきなり320両が盗まれ、続いてそっくりそれが返されるという事件が起こる。平蔵はそのような仕業をしてのけた奴をぜひともひっ捕らえ面を見てみたいと言う。

平蔵は壷屋周辺の地図を眺めて、人知れず壷屋にアクセスするには隣の扇を売る店を通るしかないと目星を付ける。

ある日平蔵は一人で出向き、主人源助が薦めた全て京都から仕入れているという扇の一つを買い求めた。

平蔵はついに源助と茂兵衛を追い込むが、「お縄にする代わりに、壷屋に知られぬように半年掛かって作った仕掛けを元に戻せ。」といって目こぼしをする。

ナレーション:源助と茂兵衛はその後平蔵の御用と勤めたという。

<キャスト>

帯川の源助 坂上二郎。元盗賊、今は扇屋の主人。かって犯さず、殺さず、貧しき者からは奪わずの掟を守ってきた大盗賊。引退して10年経つというのに未だに盗賊の血が騒ぐのを抑えきれない。梅干が好物で勤めのときは必ず梅干を口に入れて落ち着く癖がある。

番頭の茂兵衛 木村元

壷屋の主人 菊右衛門 垂水悟郎(鬼平シリーズに良く登場する俳優さん。今回も名演技。)

近江の助治郎 うえだ峻。錠前破り用の鍵作りの名人といわれる盗賊。蝋型から完璧な鍵を作る。

お半 茂兵衛の妻 松木路子、 おみわ 茂兵衛の娘 沢木蘭野

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鬼平犯科帳シリーズⅧ 鬼火(スペシャル)

鬼平犯科帳シリーズⅧ 鬼火

第Ⅶシリーズをまだ観終わっていないが、第Ⅷシリーズに突入した。

鬼平犯科帳シリーズも残り少なくなってきた。

第1話 スペシャル 鬼火 ☆☆☆

平蔵がふと立ち寄った居酒屋の夫婦は一言も口を利かない。注文書きを目線で指して注文を確認する。不思議な雰囲気の店である。(余談だが、自分はご夫婦で散髪屋を営んでるお店で同じ経験をしたことがある。お二人とも障害を持っておられるのだが、小中学生がたくさん来店していた。散髪屋で髪を当って貰っているときの会話というのは時に煩わしいときがあるが、そこではそのような気遣いは無用である。)

勘定を済ませて店を出て立ち去ろうとした平蔵だったが、店に入る時に見かけた男達が依然屯しており、不穏な空気を察知して「放っては置けぬな。」と店に引き戻す。とそこで居酒屋夫婦が大刀を抜いた数人の男達に襲われており、平蔵は店に飛び込み長谷川平蔵と名乗って夫婦を助けた。襲ってきた男達の一人を取り押さえて主人に声を掛けたが、しかし夫婦は何故か姿を消してしまった。

襲われた主人の口から出た丹波守の差し金か?という言葉を聞いていた。丹波守というのは一人しか居なかった。七千石の旗本・渡辺丹波守である。いつも平蔵の後ろ盾になっている京極備前守高久の「私が一切の責めを負う。思うとおりにやれ。」の言葉に平蔵は丹波守と居酒屋夫婦の関係を探り始める。その頃先に平蔵が捉えていた一人の男は心臓の持病から有力な情報を得る前に絶命してしまう。しかし、死に際に「よしの...」という言葉を言い残した。平蔵たちはこの言葉を手がかりに探索を行う。

ところが、平蔵たちの隙を狙って、大きな薬種問屋が盗賊に襲われ家族、奉公人の全員二十余名が殺害されるという事件が起こってしまう。平蔵は非道な行いに対する怒りもあって大いに悔しがる。しかし、この事件には不審な点があった。引き込み役がいなかったにも関わらず、店の間取りや内情に詳しい者の犯行としか考えられなかったのである。

なお、この薬種問屋からは一万両を超える金が盗まれていたが、同時に、後になって明らかとなるのだが、実はこの薬屋だけが販売していた特別な薬の全ても持ち去られていたのである。

そして何とこれらの出来事の全てがやがて一つの糸につながっていく。

大身旗本がお家存続のために自分の過ちを覆い隠さんとして他人を陥れあるいは殺害しようとする策謀、その旗本の病気の治療からそのような弱みを握りその権勢を己の利益のために全て利用しようとする元御殿医、さらにその医者に張り付く無頼の輩達、これまでにないパターンの悪党たちが登場する。

一方でただただ自分の子と己の幸せだけを望む女、不思議な縁による巡り合わせから彼女を護り共に生きようとする男も描かれる。しかし、この男女は大身旗本の身勝手な思惑により運命を翻弄され狂わされてしまう。平蔵たちにより二人は終に安息の場所に落ち着く。平蔵とおまさはそこに鬼火を見る。

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<キャスト>

お浜 山口果林/永井弥一郎 荻島真一/

高橋勇次郎 小西博之/吉野道伯 三谷昇/渡辺丹波守直義 西田健/

滝口金五郎 浜田晃/大野弁蔵 遠藤憲一/

中村春庵 花上晃/永井伊織 平田一樹/京極備前守高久 仲谷昇

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鬼平犯科帳シリーズⅦ あいびき&二人女房

鬼平犯科帳シリーズⅦ あいびき&二人女房

第12話 あいびき ☆☆☆

季節の花木の枝に結び文が付いてくる。梅、桜などと、なんとも粋な便りである。

江戸でも指折りの大工の棟梁仁兵衛の女房お徳はその花便りを心待ちにしている。それは朋斉という若い神官からの付け文で、あいびきの場所を報せて来るものだったのである。

ところが、このあいびきにはある謀が隠されていた。朋斉は美男子でお徳はすっかりのぼせ上がっているが、実は盗賊の仲間であり、お徳を利用して仁兵衛が手がけた大店等の屋敷の図面を入手するのが目的だった。朋斉は田舎の父親の家普請に仁兵衛の設計図面を参考にしたいと嘘をついて、お徳にその入手を強請(ねだ)った。

お徳は仁兵衛の目を盗んで要望された三軒の店の設計図面を写し取り、今や愛しくてたまらない朋斉の要求に応じた。しかし、その直後から連続して三軒の店に盗賊が押し入るという事件が起きた。犯人の手がかりはほとんどなかったが、平蔵たちは事件の共通項を探って、仁兵衛にたどり着く。しかし、仁兵衛は関わっていないことが推察されたため、その人間関係と周辺を調べることとした。

お徳はあいびきの場で、朋斉に対して渡した図面と関係が無いことを問い質すが、朋斉は自分を信用してくれないことを恨むふりをしてごまかす。

ところが、そのあいびきの場であった池之端の出会い茶屋に、文吉という、かって仁兵衛の下で大工をしていたが、2年程前に暇を出された男が女と来ていた。そして文吉は偶然にもお徳たちの逢引の現場を目撃した。文吉はそれをネタにお徳と朋斉を強請りに掛かった。

一方、火盗改方はかって仁兵衛の下に居て今は博打場に出入りする文吉の情報を得て、この男を彦十と粂八にマークさせる。

そこから文吉がお徳とつながっていることが知れるようになる。しかし、強請りの金の受け取りに現れた文吉はお徳の目の前で突然ある男に匕首で腹を刺され絶命する。

ここから事件はいよいよ急展開となる。

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事件が解決した後、平蔵は忠吾を連れて仁兵衛の家を訪ねる。家の前でお徳に出会うと仁兵衛は生憎留守だという。お茶をお出しいたしますと笑顔でいうお徳に対し、平蔵はそれには及ばぬ失礼すると告げて、その場を立ち去る。

忠吾「いやーあの目には降参です。魔性です。くわばら、くわばら。」

平蔵「さすがの兎も三十六計か?」

忠吾「さよう!君子危うきに近寄らず。」」

平蔵「はっはっは。しかし何事も無かったような顔をしていたな。あの女も枯れ木のようになるまで心の休まる時はあるまい。いやー、それにしても女は怖いな。」

忠吾「女は謎です。それにしても私は少々女の修行が足りませぬ。お恥ずかしい。」

平蔵「何?そうとは思えんがな?」

忠吾「いえいえ、これからまだまだ修行いたします。」

忠吾は女には近寄らぬようなことを言ったばかりにもかかわらず、全く懲りない性分である。何でも自分に都合の良いように考える傾向がある。平蔵の心中や如何??

<キャスト>

お徳 左時枝、  朋斉 竹本孝之、

仁兵衛 三遊亭金馬、  文吉 櫻木健一

第7話 二人女房

高木軍兵衛再登場。前回より剣の腕を上げ、用心棒の仕事もすっかり板についている。

ある夜、用心棒をしている店の従業員達が、向かいの店に盗賊が押し入ったらしいと騒いでいる。戸口の隙間から覗き見ると盗賊たちが逃げていくところだった。

軍兵衛は一人で盗賊たちを追いかけ、追いついて二人を切り倒した。その他の盗賊たちは逃げたが、その中に佐吉というかって軍兵衛と街道筋で強請りやたかりを一緒に働いた男が居た。

佐吉は盗賊彦島の仙右衛門の手下であった。彦島の仙右衛門一味は、女房のお増は仙右衛門が囲い込んでいる妾を殺したいと思っており、またお頭の金の分配等のやり方が気に入らないという手下たちが出てきており内紛が顕在化してきた。佐吉は一気に頭の跡目を奪おうと画策する。そのためにかっての弱みを握っている軍兵衛を殺し屋として利用しようと近づいてくる。

気持ちが正直で根っからの悪人ではない軍兵衛は苦悩する。おまさの様子がおかしいとの勘働きを聞いた平蔵は彦十たちに軍兵衛を見張らせると共に、火盗改方役宅にも呼びつけて軍兵衛に事情を問う。

盗賊一味の中の内紛は裏の裏があって佐吉のシナリオ通りにはならず、事態は複雑な展開となる。

一方、平蔵は軍兵衛を利用して、それまで一度も捕まったことがない彦島の仙右衛門一味を捉えることを画策していた。

<キャスト>

高木軍兵衛 ジョニー大倉、  彦島の仙右衛門 中野誠也、

佐吉 石田登星、  捨蔵 廣田行生、  お増 伊佐山ひろ子、  おとし ?

仙右衛門、佐吉、お増は処刑される。捨蔵は平蔵に斬り捨てられた。何も知らない仙右衛門の妾だったおとしはお構い無しとされるが、火盗改方役宅に仙右衛門の無実を訴えに何度も押し掛けたという。

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鬼平犯科帳シリーズⅦ 逃げた妻&見張りの見張り

鬼平犯科帳シリーズⅦ 逃げた妻&見張りの見張り

第14話 殺しの波紋

本編ストーリーから外れたところで忠吾のジェラシーの炎が燃える。

忠吾はこのところ平蔵が三井忠次郎ばかりに供を命じるので面白くない。それを腹の中に留められず思わず口に出してしまう忠吾を、同僚の同心達は「三井がお頭に美味しいものを食べさせて貰っているのを妬んでいるのか?」とからかう。

平蔵「三井のことで何やら気を回しているらしいが、あいつはな、新入りゆえ修行のために俺が引き回してるんだい。おめえもそろそろ大人になれ。」

忠吾「はっ、恐れ入ります。」

自分の職場の部下育成の参考にもなる。

*************

本編は忠吾の飲み仲間藤田彦七に関わるエピソードである。

藤田は前妻おりつが2年程前に突然姿を消して以来、娘と二人で暮らしていたが、馴染みの飲み屋の夫婦が仲立ちとなって出戻りであったおみねを妻に迎えた。藤田は喜びの中にあり、忠吾にそのことを話しおみねを紹介した。

ところがある日おりつから藤田のところへ手紙が来る。落ち合う茶店を指定し、迎えに来て一緒に逃げてくれという内容だった。藤田は忠吾に相談し、忠吾は平蔵に報告する。

平蔵はおりつの救出を支援することを決める。、おりつが指定してきた茶店はおまさが監視していた。平蔵がそこに出向いたとき、偶然にも火盗改方が取り逃がしていた燕小僧を見掛けた。おまさと平蔵は燕小僧を尾行して、その仲間になっていた山田重蔵の住処に行き着いた。そして何とそこにはおりつと思われる女が軟禁されていた。

平蔵はその家に乗り込み、山田を捕らえるとともにおりつを救出した。一方、おまさは燕小僧を尾行し遂に盗人宿を突き止めた。

平蔵は忠吾にすべて解決したと伝える。そして藤田を役宅へ呼びつけてある、お前の素性がばれるぬ様に隠れろと指示する。

藤田は火付盗賊改方に呼ばれた理由が分からなかったが、投獄されている山田を見て驚く。かって藤田の家の隣に住み、よく二人で碁を打ったりした男だったのである。山田が盗賊と教えられ、自分は関係ないと懸命に否定する。そして藤田は次に保護されていたおりつに会った。山田と一緒に住んでいたことを聞かされ、逆上する。が、藤田はおりつに未練があり突き離すことができない。

藤田はおみねに隠れておりつと会っていたが、ある日それがおみねにばれてしまう。藤田は娘とおみねを捨てておりつと姿を晦ます。

しかし、平蔵の予想通り、山田と2年間も一緒に過ごしたおりつには藤田が物足りなく、藤田はおりつに見放される。

藤田とは全く駄目な男である。そしてまた、おりつという背負った女の業には恐ろしさとともに悲しさを感じずには居られない。池波正太郎はいろんな女を描くが、一ファンである私にしてみれば、そのわずかな人生経験からは異常値に外れているのではないかと思われるほどの極端な女を時に登場させる。世の中に本当にそんな業を背負った女が多く居るのだろうか。夫婦の絆も、親子の絆も捨てて己の欲望のままに生きる女とでも言えようか。

つくづく女という生き物は恐いものであると覚えろと言われているようである。そしてそのような女を作り出すのは男の罪である。

彦十の台詞じゃないが、「また一つ利口になりました。」というべきなのだろうか。

<キャスト>

藤田彦七 うじきつよし、おみね 佐藤恵利、 おりつ 江口由起、

お千代 石井トミコ、 宗六 園田裕久、

燕小僧 赤星昇一郎、 内田重蔵 山下洵一郎

同心 三井忠次郎 中村吉之助

第15話 見張りの見張り

南品川が舞台。忠吾手柄を立てる。

おまさは偶然飛び込んだ店で長久保の左助に出会う。近況を語り合っているうちに、おまさが小房の粂八の名を出すと、左助は是非粂八に逢わせてくれと頼む。

おまさは左助を粂八に引き合わせるが、左助は粂八に弟分の杉谷の虎吉の所在を教えろと言う。寅吉が自分の息子を殺したのだと明かす。

粂八はもう随分以前に虎吉とは縁を切っているが、心当たりを当ってみると約束する。粂八は南品川へと向かう。左助はその後を秘かに尾けていたが、粂八は気付いていなかった。粂八は同所でろうそく屋を営む杉谷の虎吉の女房お六を尋ねたのであった。虎吉は不在であったが、江戸に居ることを知り引き上げた。左助は粂八の後を追うのを止め独自の行動を始めた。

一方、火盗改方は24人を殺害して逃げている急ぎ働きの盗賊一味の手がかりが全く無く、殺害された奉公人の女子に関するある証言から藁にもすがる思いでその女の実家がある南品川の八百屋に忠吾と彦十を派遣していた。

南品川での聞き込みを終えた忠吾と彦十であったが、彦十が偶然粂八を尾けていた左助に気付いた。彦十はそのことを火盗改方に報告する。

平蔵「粂八を左助が見張り、その左助を俺たち火盗改方が見張る。見張りの見張りだ。」

他方忠吾は左助の後を尾けて、最終的に左助が南品川に投宿したことを掴み役宅へ帰ってきた。平蔵はその同じ宿に忠吾たちを泊まらせ監視させる。左助はどこかを見張っている様子であった。

粂八のお六は引き込みだとの証言と、お六が営むろうそく屋が例の八百屋の相向かいの位置にあることから、平蔵は逃亡中の盗賊団につながる手がかりを得たと確信する。事件はここから急展開へ向かう。

<キャスト>

長久保の左助 本田博太郎 蜆大好きの盗賊。かっておまさと一緒におつとめをしたことがある。

杉谷の虎吉 金子研三、  お六 清水ひとみ

松村忠之進 沼田爆

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鬼平犯科帳シリーズⅦ 殺しの波紋&五月雨坊主

鬼平犯科帳シリーズⅦ 殺しの波紋&五月雨坊主

第6話 殺しの波紋

<キャスト>

火盗改方与力 富田達五郎 萩原流行

大神の竹松 河原さぶ

平蔵「富田は与力として抜群の働きをしてくれた。」

小林与力「我々もこのようなことになろうとは思いも掛けず....」

平蔵「富田は養子だ。娘の婿養子の話を壊さねえようにな。」

*************

平蔵「いや、何なぁ。人というのは、始めから悪の道を知ってる訳じゃあねえ。何かの拍子に小さな悪事を起こしてしまい、それを世間の目に触れさせぬためにまた次の悪事をする。それをまた隠そうとして更に大きな悪の道に踏み込んでしまう。富田の奴も大方そんなところだったんだろうよ。だがな......」

平蔵続ける言葉なく窓のところに行って明かり障子の桟あたりに腰掛け、外に降る雪を見て

平蔵「....。こいつは積もりそうだ。」

さて、平蔵何が言いたかったのか?

第7話 五月雨坊主  ☆☆☆

上野山下ちょうちん店。伊三次が再登場。けころのお米と楽しくいちゃついている。

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忠吾、今回の事件においてちょっとした手柄も立てるがチョンボもやる。チョンボの繰り返しの度に平蔵しきりに忠吾を構う。

書庫に「門外不出」の貼り紙があるが、かって平蔵が忠吾に書かせて掲示させたものらしい。平蔵と小林与力が書庫で過去の記録を捜しているが見つからない。そこに忠吾が報告にやってくるとふところから冊子が覗いて見える。それこそ平蔵たちが捜していたものだった。平蔵は忠吾にお前が書いた貼り紙の文字を読んでみろという。忠吾「門外不出」と読んでその意味を言う。「いつでも誰もが参照できるように持ち出しは禁止である。」と。

平蔵「汚ねえ字だな。よく読める。...汚ねえ字だな。」

平蔵は忠吾のやってしまった行為を責めず、あくまでも悪筆だと繰り返すだけ。忠吾はその平蔵の言葉の真意を分かったような分からぬような顔。

忠吾、坊主になる。

平蔵は忠吾を坊主にして盗賊羽黒の久兵衛の盗人宿になっている天徳寺に乗り込ませる。

これは重要な役目であったが、一方で平蔵が盗賊の一人を取り逃がした罰に忠吾を懲らしめたようでもある。忠吾の青い坊主頭が目に焼き付く。

************

平蔵「世の中には人の知恵の及ばぬ巡り会わせがある。それを誰が仕組むのかが、ははー、わしにはまだ分からん。」

<キャスト>

絵師 石田竹仙(元盗賊)、天徳寺和尚 善達、羽黒の久兵衛(善達の弟):上田耕一(一人三役)

お栄 奈良富士子、長五郎 和崎俊哉

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鬼平犯科帳シリーズⅦ 麻布ねずみ坂&男のまごころ&妖盗葵小僧

鬼平犯科帳シリーズⅦ 麻布ねずみ坂&男のまごころ&妖盗葵小僧

第1話 麻布ねずみ坂

<キャスト>

指圧師 中村宗仙 芦屋雁之助、白子屋菊衛門?

浪人 石島精之進 中村丈雄、 お八重 速水典子

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平蔵「遺体は無くとも墓は墓だよ。」

彦十「へえっ?」

平蔵「墓を建て、葬った人を偲び、それを供養した者の心がある限り、そいつはりっぱな墓なんだよ。」

彦十「なあるほど。また一つ利口になりましたよ。」

平蔵「あ、ところで彦十、おめえこの間カモのたたき団子と申していたな?」

彦十「おーっ!行きますか?たたき団子を食う力(りき)が出てきたんでございますね?」

平蔵「そうよ!行こ行こ!」

久栄「気の緩みは病の大敵。肝の臓の方は宜しいのでございますか?!」

平蔵「うーん、彦。これだ!」

***************

平蔵、いつもうまそうに酒を飲むが、やはり肝臓に悩みありだったのだ。

なんとなくほっとするエピソード。

第2話 男のまごころ ☆☆☆☆

<キャスト>

火盗改方同心 田中貞四郎 片岡弘貴、その密偵 源助 大杉漣

亀吉 小倉久寛(モウモウの亀吉のあだ名:いつも牛みたいにのんびりしていることから)、 

無宿者 安兵衛 小鹿番、 火盗改方与力 小林金弥 中村歌昇

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田中「亀吉の処刑が日延べになったというのは本当でございますか?」

平蔵「ふむ。俺が奉行所に頼んだんだ。」

田中「何ゆえにございますか?その訳をお聞かせください。」

平蔵「訳か?うん、格別な訳はねえ。まあ、強いて言えば、俺の勘だ。」

田中「頭!」

平蔵「まあ、大方の過ちは跡で正す事ができる。だがな、人の命は一度失われたらもう取り返しがつかん。俺はな、それが恐ろしいのだ。」

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源助を呼び出し二人で会っている。

平蔵「ご苦労だったな。おめえ、田中との付き合いは長えのか?」

源助「へ、この二、三年ばかり、ときどきお手伝いを。」

平蔵「ふむ。おめえが亀吉を見掛けたのはいつのこった?」

源助「へえ、付け火があってから五日ほど経ってからで。焼けた蕎麦屋の前を通りかかりますと、亀の野郎がぼんやりつっ立っておりました。その様子が何となく妙なんで、番屋に引き立てて訊いてみると、案外すらすらと泥を吐きました。」

平蔵「すらすらとか?」

源助「へ。」

平蔵「亀吉がすんなり吐いたと言うのかい?そうではなかろう。大分痛めた上のこったろう。お前は亀吉が付け火をしたと今でも思っているのか?お前は田中付きの密偵ゆえ、田中に手柄を立てさせたいと思ったのではないのか?どうだ!おう!?」

源助「...」

平蔵「おめえ、亀吉が付け火をしたと、この俺に、この長谷川平蔵に今でもそう言い切れるか?源助!どうだい!?」

**********

平蔵は田中同心らによる誤捜査という火盗改方としての失態に対して責任を取らされるところまで追い込まれ、上層部に呼び出された。しかし、叱責のみで済み火盗改方の役宅へ帰還してきた。部下の与力、同心たちが跪いて出迎えた。

小林与力「お頭、全くもってこの度は我々一同の失態。」

平蔵「ははは、よせ。辞めずに済んだわ。」

小林「それはまことで?」

平蔵「ただし、たっぷりと若年寄殿のお叱りを受けた。こんなことで辞めてしまっては火付け盗賊改方は勤まらん。善と悪との境にあるのが吾らのお役目だ。お叱りを恐れていては何もできぬわ。ははははは。」

平蔵「とは言え、このようなことが二度とあらば、そのときは俺が腹を切る!俺はな、しくじりの二の舞はでえきれえだからよ。はっはっはっはっは.....」

第3話 妖盗葵小僧 ☆☆☆

妖盗葵小僧は竜渕堂に押し込み、主人善太郎の目の前でその妻千代を手篭めにした。千代は入水自殺をしようとしていたところを木村忠吾とおまさに助けられた。

平蔵「ま、何度も言うようだがな、世の人にとって時の流れ程強い味方は無いものだ。わかるか?」

千代「はい。」

平蔵「その内ご亭主の気持ちも元に戻る。暫くの辛抱だ。」

しかし、店に帰った千代はその夜、亭主善太郎と首を括って心中した。

****************************

平蔵「やっぱりおめえが葵小僧か。その面じゃあ女に振られつづけて血迷うのも無理はねえ。」

葵小僧「やかましいわい!冗談抜かすな。俺の腕で抱いた女は百や二百の数ちゃうで。お白州に出たら皆の名前をばらしてやるから楽しみにしとけ!」

平蔵「おい、いい加減にしろよ。お前はお白州に出るつもりでいるのか?笑わしちゃあいけねえや。おめえのような蛆虫野郎はな、お白州に出る資格はねえ。」

葵小僧「何やてえ?」

平蔵「おめえは今夜ここで死ぬんだ。」

葵小僧「そんなアホな!それでもおのれはご公儀の役人かい!?」

平蔵「おう、これが盗賊改メのやり方だ。おめえのおかげで地獄に落ちた女どもの恨み、今俺が晴らしてやる。」

*************

ナレーション:

葵小僧一味9名の賊たちはその夜の内に全員が処刑された。

その処刑があまりにも簡単にそして迅速に行われたことに対して、幕閣からも奉行所からも火付盗賊改方の独断に過ぎるとして非難の声が高まったが、長谷川平蔵は平然として

「我等火付盗賊改め方はむしろ無頼の輩を相手に面倒な手続無しにひっ捕らえる荒々しきお役目、いわば軍制の名残を留めおるのが特徴。」

と胸を張って公儀に答えたという。

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鬼平犯科帳シリーズⅥ_おかね新五郎&五月闇

鬼平犯科帳シリーズⅥ_おかね新五郎&五月闇

第10話 おかね新五郎

<キャスト>

おかね 南田洋子;原口新五郎 滝田裕介;弥助 山田吾一

平蔵が若い頃親に勘当されてすさんで、彦十らとかなり悪い遊びをしていた一面が暴露される。

南田洋子さんは現在認知症と聞いている。かっては元気に女優業をされていた記録でもあると思いつつ鑑賞した。

ストーリー(松竹ビデオWebページより)
10話「おかね新五郎」かつて高杉道場で同門だった浪人・原口新五郎の家に寄った帰りに平蔵はニ十数年ぶりにおかねという女を見かける。彼女を尾行した平蔵はおかねが包丁である男に切りつけるところを目撃。男は逃げ平蔵はおかねから事情を聞く。男は十年前におかねの娘を殺した弥助でその仇を討ちたいのだという。さらに平蔵は死んだ娘の父親が原口新五郎らしいと当たりをつけるが・・・。

*************************************

第11話 五月闇 ☆☆☆

密偵伊三次死す?の重要な一編。

<キャスト>

伊三次 三浦浩一;およね 池波志乃(ちょうちんだなのけころ)

強矢の伊佐蔵 速水亮;市野の馬七 中嶋しゅう;

おとら 正司照枝;医師飯島順淳道 牧冬吉

(勝手な一人働きで仲間に迷惑をかけていると諌めに来宅した木村忠吾に対して)

伊三次「盗人の背負った傷の深さは苦労なすってない木村様には分かりゃあしねえ。」

**************

およね「夜男がいないと枕が冷たくて眠れない。好きなんだねえ、本当に好きなんだねえ。」(自分のことをさげすむような表情)

**************

伊三次はおよねと夫婦になりたい気持ちはあるが、それができない理由を持っていた。それは伊三次の過去の大きな傷に関わるものであった。

ナレーション「長谷川平蔵の手控えに密偵伊三次の名前は残されていない。その生死についての記録ももう今は定かではない。火付け盗賊改め方の密偵とはそういう仕事だった。」

**************

伊三次の生死の記録がないというナレーションで、伊三次の生存の希望が示唆されてもいるような扱いにしてある。伊佐蔵たちに負わされた傷からの快復は絶望的であった。医師飯島順道も余命三日を宣告した。著者池波正太郎はここで重要な密偵伊三次を死なせたのである。著者の内面に何かの変化があった時期でもあったのだろう。

**************

ストーリー(松竹ビデオWebページより)
11話「五月闇」密偵・伊三次はなじみの娼婦・およねから強矢の伊佐蔵の消息を聞いた。伊三次はかつて伊佐蔵の女房を横取りしたばかりか彼に重症を負わせたのだ。今は凶賊となった伊佐蔵を伊三次と盗賊改メが探索し始める。だがある雨の日伊三次は伊佐蔵に見つかり怨みのこもった刃に倒れた・・・。

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鬼平犯科帳シリーズⅥ_第9話(スペシャル)迷路

第9話(スペシャル)「迷路」

鬼平ファミリー総出演。

<キヤスト>

平蔵、久栄、佐嶋、酒井、忠吾、天野、沢田、原田、松永、山田、竹内、山崎、粂八、彦十、おまさ、
猫間の重兵衛(石橋蓮司)、玉村の弥吉(阿藤海)、矢野口の甚七(井上昭文)、法妙寺九十郎(早川保)、安藤玄舟(大林丈史)、竹尾の半平(中丸新将)、秋本源蔵(山内としお)、西山喜之助(竜川真)、辰蔵(長尾豪二郎)、お熊(五月晴子)、岸井左馬之助(竜雷太)、京極備前守高久(仲谷昇)

凶賊・池尻の辰五郎(エンディングクレジットにも氏名が出てこない?潔い自決をする稀有な兇族であるのに?)が、平蔵に追い詰められて自害した。

その知らせを聞いた辰五郎の義兄弟で、裏の世界の顔役・猫間の重兵衛は、平蔵への復讐を決意。平蔵に関わりを持つ人間たちを、次々に葬っていき、平蔵は窮地に立たされる。

平蔵は若かりし頃、荒れてすさんだ生活をしている時期があった。そのときに元武士であった猫間の重兵衛の父親を斬った。猫間の重兵衛は平蔵に対し敵討ちをすることなく、盗みの手助けを頼んだ。平蔵はこのとき重兵衛の親を殺したという負い目から盗みの手伝いをしてしまった。今は火付盗賊改め方の長官がかって盗みの片棒を担いだという事実は大スキャンダルである。

平蔵に最大の危機が訪れる。フルキャスト、おなじみの面々が総出演するという意味でも必見の一編と思う。

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ただ今回ばかりはテーマが大きすぎたせいか、平蔵やその他の登場人物の人間描写がやや希薄になったように感じた。もう一度時間を作って観てみようと思っている。

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鬼平犯科帳シリーズⅥ_のっそり医者&男の毒

鬼平犯科帳シリーズⅥ_のっそり医者&男の毒

「化け物」と呼ばれる人間登場

第7話 のっそり医者

<キャスト>

荻原宗順(早川民之助:一刀流免許皆伝)宍戸錠

およし:高橋貴代子

土田万蔵:遠藤憲一-宗順を仇として追っていたが、今は人殺しが生きがい。

久栄「何やら分かるような気がいたします。宗順先生が今のようなお人になられた訳が。」

平蔵「そうよなあ。取るに足らない諍いから人一人殺した悔いが今の宗順先生を生んだ。三十年後先生は世の中に無くてはならぬお人になった。だが、先生に親を殺され、仇を討ちたい一心から旅に出た若者は三十年後盗賊の仲間に入り、罪も無い人たちの命を奪い取る化け物に成り果ててしまった。全く皮肉なもんだな。人の世というやつは。」

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第8話 男の毒

<キャスト>

黒股の弥市(労咳によって果てた。おきよに男の毒を刷り込んだ。)&簀子(すのこ)の宗七:本田博太郎(一人二役)

おきよ:川上麻衣子(弥市に長い間体を玩ばれていた娘。男無しでは暮らしていけない体になっている。)

伊助:中井啓輔(おきよの祖父。彦十、平蔵の旧知。平蔵、彦十は幼い頃のおきよも知っている。)

おきよは小間物屋を営む男と夫婦になるが、その亭主が伊助に泣きを入れてきた。朝昼版と生卵を飲んでも日に日に体が細っていくようだと。おきよに向かって「おまえは化け物だ。」と漏らす。そしてその亭主は終には死んでしまう。

おきよはその後とあるお店の旦那の妾となるが、妾宅に襖のリフォームにやってきた黒股の弥市に瓜二つの香具師宗七と出会う。二人は駆け落ちをして姿を晦ますが、平蔵たちは盗賊の一味である宗七を追って、盗賊団を一網打尽にしようとして密かに網を張っていた。

おきよは宗七との幸せな生活を強く望む。そのために体の男の毒を消す二十一日の願掛けをする。

おきよ(行方を突き止め家に連れ帰ると言う伊助に向かって)「人並みの女になれるかなれないか、命懸けで辛抱してみる。三、七、二十一日、この体をきれいに過ごせたらきっと体の毒が消える気がする。」

しかし、願掛けから十八日目の夜、おきよの体の虫が騒ぎ出す。心配して近づく宗七に来ないでと言って、外の井戸端に出て水を被る。

おきよ「けだものなんだよ!」

宗七はそんなおきよを愛おしく思い、我慢するなとおきよの肩を強く抱く。

おきよ「化け物でも?」

宗七は今夜の大仕事を終えたら二人で別の場所に行って、子どもを作って暮らそうという。宗七は盗賊の頭に今回の仕事が終わったら暇を貰う了解を得ていた。おきよはそれを聞いて喜ぶ。

宗七は家を出て盗賊団の盗人宿に向かうが、途中で体に異変が起こり、川面にうつ伏せで倒れこむ形でなんと絶命してしまう。

平蔵たちは盗賊団の押し込みの日が今夜であると察知し、盗人宿に討ち入る。しかし、宗七が居ないことを不審に思い、捜索しているうちに、川面で絶命していた宗七を発見する。

平蔵は宗七の亡骸をおきよの住家に運び込む。おきよは願掛けを破った罰が当たったんだと泣き崩れる。

その後おきよは出家して尼寺に入った。

*********************

平蔵「黒股の弥市という奴は、恐ろしい男の毒をおきよの体に残していったものよ。」

*********************:

女の性の貪欲さで男達が次々と死んでいくという、怖い話である。

男として夜の夫婦の営みを好む妻には「男冥利に尽きる」とはいうものの、そのうちにだんだん男の体が持たなくなっていく。

男には際限というものがあるが、女にはそれがないのだろうか。

ふと思ったのであるが、そのような怖い女としてAVビデオ等に登場する女優が例示できるのではないか。映像を見て女の性欲の凄まじさのようなものを感じ、辟易したことがある。

見方を変えれば、男たちはAVビデオを鑑賞しながら、知らず知らずに化け物の映像世界に引き込まれ、やがて自ら毒婦の餌食になろうとしているとも言えるのではないか。

この世には怖い毒を持った女もいるということだ。

しかし、本編のストーリーでは、最初は男の方が毒を持っていて、それを女の体に残したということになっている。するとこの世には怖い毒を持った男もいるということだ。

何だか良く分からない男と女の世界ではある。

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鬼平犯科帳シリーズⅥ_墨斗(すみつぼ)の孫八&はさみ撃ち

鬼平犯科帳シリーズⅥ_墨斗(すみつぼ)の孫八&はさみ撃ち

第5話 墨斗(すみつぼ)の孫八 ☆☆☆

人情全開。

墨斗の孫八:内藤武敏-大工上がりの盗賊の頭。二親の死の苦しみを見たことから死ぬことを怖れない。盗人の三つの掟を固く守ってきた頭である。

平蔵、おまさから孫八のことを聞いて関心を持った様子。ついには孫八の手下になる。平蔵、孫八と大いに酒を飲んで意気投合する。

しかし、盗み決行の日、孫八が金蔵の錠前を開けようとする時に、平蔵は身分を明かす。ところが孫八はそれを冗談だと受け止めたまま病に倒れその場で急死する。

平蔵は孫八の死を惜しむ。共に飲み明かした日を回想して目頭を拭うのであった。

孫八:枯れ菊を見て、「花も咲かせず枯れてしまう。自分のようだ。」と語る。

女中(孫八の子を産んだ女の妹らしい):春になればまた芽が出て花を咲かす。

*********

平蔵 「おまさ、そういう男を俺に売るのは辛かろう?」

おまさ「いいえ、ご案じくださいませぬよう。その苦しみの峠は私もどうやら乗り越えたようでございますよ。」

平蔵 「ありがとうよ。おまさ。」

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第6話 はさみ撃ち ☆☆☆

湯島天神下桐屋

<キャスト>

猿皮の小兵衛:中村嘉葎雄、弥治郎(68歳):垂水五郎-小兵衛の右腕

針ヶ谷の友蔵:内田直哉、おもん:松田美由紀

大亀の七之助:三上真一郎

七之助は知り合いであった彦十に助働きを頼む。彦十7日の間に5人を集める。その5人の一人に平蔵が加わる。他のメンバーに伊三次、忠吾、酒井祐助、沢田小平次が指名される。

友蔵の計画で、猿皮の小兵衛の若い妻おもんの寝間に忍び込んだ友蔵が引き込みをして小兵衛の店を襲おうとするが、小兵衛と弥治郎は元盗賊であり、事前にその盗みの計画を察知していた。

小兵衛と弥治郎は引き込みを実行しようとする友蔵に対し、唐辛子粉等の目晦ましの材料を固めた団子を頭にぶつけたり、薪のような木切れを体や脛にぶつけて撃退する。こらえきれずに店の外に飛び出した友蔵は待機していた平蔵たちにお縄となってしまう。

酒井「え?あの主人が盗賊?あの年寄りが?」

平蔵「ああ、おそらくかなりの盗賊。叩けば埃どころではない。此度のいきさつ、つまりあれは友蔵の方が手玉に取られたのよ。いやー、もう貫禄の違いで、いや勝負にならん。」

酒井「では早速手配を!」

平蔵「いや、待て待て。あれはもう良い。いやー、放っておけ。あの面を見ろよ。あの面を。えー。何に見えた?ありゃあもう人間の顔じゃねえ。あそこまで行きゃあ仏様だ。なあ。いやー、子どもに還ったと言ってもいい。欲も徳も無く、毒も害もねえ。どうだい?」

酒井「はっ、仰せの通り!」

平蔵「あれが大盗賊だ。俺の若い自分は大分残っていたが、近頃にゃあ数は落ちたな。」

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鬼平犯科帳シリーズⅥ_お峰・辰の市&泥亀(すっぽん)&浮世の顔

第2話 お峰・辰の市

舞台:内藤新宿 天龍寺、雑寺ヶ谷 鬼子母神

<キャスト>辰の市 市川左團次、お峰 田島令子、青木源兵衛?

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辰の市「元嘗め役と元引き込みがこうしてかたぎの身で巡り会うなんて世の中乙なもんだなあ。」

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平蔵、青木源兵衛を天龍寺の境内で峰打ちで倒し、忠吾に縄を掛けさせる。源兵衛はかって忠吾がぶつかった際に押し倒され、蹴飛ばされ、忠吾としていつか仕返しをしてやろうと追い求めていた浪人者であった。急ぎ働きで名の知れた盗賊の頭でもあった。

平蔵「どうだい、これでちっとは気が晴れたか?」

忠吾「それにしても....」

平蔵「うん、どうしたい?」

忠吾「あまりにも違うものでございますから。」

平蔵「お前の腕とか?」

忠吾「はい。」

平蔵「俺はな、お前みたいな日向水の日は送っちゃいねえや。」

忠吾「はっ、恐れ入りましてございます。」

平蔵(にやりしながら)「愚か者。はっはっはっは...」

平蔵はこの後、忠吾を剣術道場に通わせる。

****************

平蔵はお峰・辰の市を目こぼししてやり、江戸払いとした。平蔵とおまさはお峰・辰の市をお偲びで渋谷まで来て見送った。

平蔵「女子は誰でも惚れた男と所帯を持ち、赤子を抱くのが夢なんだなあ。」

おまさ「.....」

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第3話 泥亀(すっぽん) ☆☆☆☆

仏の平蔵、人情全開の一編。

<キャスト>泥亀の七蔵 名古屋章、関沢の乙吉 森次晃嗣

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彦十「金のなる木と色恋は望んで手に入るものじゃなし♪、ってね。」

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第4話 浮世の顔

彦十消息を絶つこと半年。執念で板橋宿において神取の為右衛門の見張りを続けた。病に倒れた彦十に代わって五郎蔵が見張りをしていると牛窪の仁蔵が徒党を組んで現れた。牛窪一味が入った上州屋一帯を中心に平蔵は網を大きく張れと指示を出した。

********************

平蔵「まあそれが浮世の仕組みというものであろうよ。」

天野甚造同心「浮世の仕組み?」

平蔵「人が何かをすると必ず報いがある。」

久栄「当たり前のことです。」

平蔵「だが、その当たり前のことが人という生き物にはなかなか飲み込めないものなのよ。この俺もそうだがな。」

平蔵「まあ、もっとも飲み込めていりゃあ人の世の苦労は無い筈だ。」

   「その代わりつまらねえ世の中になっちまうだろうよ。」

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鬼平犯科帳シリーズⅥ_蛇苺の女

第1話 蛇苺の女

舞台は亀戸天神門前の玉屋。

平蔵は深川、富岡八幡を見回り、久栄の願いもあり亀戸天神へと足を伸ばした。そして異変に遭遇することとなる。

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沼目の太四郎「見てくれは美味そうだが、うっかり手を出すと命を落とすってことですよ。赤い実の毒が体中廻ってね。」

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<キャスト>

おさわ 余貴美子、沼目の太四郎 中尾彬、針ヶ谷の宗助 ベンガル、田島仙五郎 伊藤達広、おきさ 藤吉久美子

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鬼平犯科帳シリーズⅤ 艶婦の毒&駿州・宇津谷峠

鬼平犯科帳シリーズⅤ 艶婦の毒&駿州・宇津谷峠

第12話 艶婦の毒

平蔵、亡父長谷川宣雄(のぶお)の墓参のため一月の休暇を貰って京都への旅に出る。

部下達はお供になろうと猛アピールを試みるが、平蔵は木村忠吾を供にすることに決めていた。

忠吾は京都までの道のりの各宿場で平蔵が泊まる宿を事前に予約するのが勤めだった。忠吾にとっては気楽な旅であったが、女癖からとんだ事件に巻き込まれる。

平蔵は忠吾が気付かぬ内にその事件を解決する。

お豊は平蔵が20年前に分かれた京都の女だった。忠吾はお豊に遊び相手にされるが、一度情を通じたために忘れられなくなる。

「お前のためなら主も要らぬ、お前のためなら親も要らぬ、お前の他は何も要らぬ。」

お豊は盗賊の引き込み役であった。平蔵は忠吾に外出禁止を言い渡し、忠吾が何も知らないうちにお豊を京都奉行所に召し捕らせる。

後に忠吾は外出禁止の日にお豊が待ち合せた場所に来ていなかったことを知り、残念に思い悔しがるもさらに不審がる。

頭の中の大半は次の言葉で占められながら。

「主も要らぬ、親も要らぬ、お前の他は何も要らぬ。」

お豊 山口果林、

浦部彦太郎(かって平蔵親子が世話になった人の息子)柴田侊彦

*****************************

第13話 駿州・宇津谷峠

平蔵、京都から江戸への帰り、藤枝宿での物語。

おまさはかって命を救ってくれたお茂を密偵として追うことになった。

しかしお茂は盗賊仲間を裏切り、裏切られて殺されてしまう。

おまさはかって自分を助けた時の懸命なお茂の印象が忘れられないでいたために、お茂の死を悔やむ。

平蔵「まだ己を責めているのか?」

おまさ「いえ、そうではございません。」

平蔵「では何を考えておるのだ?」

おまさ「私を川から助け上げてくれた時の、あの歯を食いしばって真っ赤な顔をしたお茂さんの顔を思い出しておりました。」

平蔵「それがお前のお茂さんだ。これからその女は別人だと思え。」

おまさ「別人だと?」

平蔵「そうだ。悲しいことに時として人は変わるが、思い出だけは変わらねえ。お前のお茂さんはいつまでも生きてるよ。」

おまさ、微笑みを見せる。

平蔵、うなずく。

お茂 二宮さよ子、

臼井の鎌太郎 誠直也、 藤枝の久蔵 立川三貴、 音五郎 金子研三

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鬼平犯科帳シリーズⅤ_浅草・鳥越橋&隠し子

第10話 浅草・鳥越橋

男色についてを交えた点で異色のストーリー。平蔵によれば、「女子が男を慕うように男が男を慕うような」みたく表現される。平蔵の人を見抜く眼力というか推理力に驚く。

平蔵「いや、だがな。人の心というものは『ヤワタの藪知らず』、どこでどう繋がっているか?奥へ入れば入っただけ見当がつかねえ。全く訳の分からねえ代物(しろもん)じゃあねえか。なあ、おまさ。いやー、だからよ。俺はなあいつもおめえたちを有り難えと思っているんだい。こんな俺に命懸けで働いてくれるお前たちの心根をなぁ。」

粂八「長谷川様。」

おまさ 窓際に手摺りに寄りかかって腰掛けた平蔵の杯に白い二合徳利で酌をする。

**********

風穴の仁助 井上純一:おひろの亭主。瀬兵衛の寛大な計らいで仲間のおひろとできてしまったことを夫婦になることで許される。瀬兵衛の江戸での初仕事の仕込みのためにおひろと離れて暮らす。

おひろ 小林かおり:仁助の女房。身持ちが固い女であるが、定吉の謀略のために殺される。

笠山の瀬兵衛 中田浩二:ひとかどの盗賊の頭であるが、実直すぎるために定吉の話を鵜呑みにした仁助に、鳥越橋で会った際にいきなり匕首で腹を刺される。仁助が定吉に騙されて自分を恨んでいることを知らなかったために、刺されたことに戸惑いながらも仁助も道連れに絶命する。

押切の定七 平泉成:お頭の瀬兵衛の江戸での初仕事の計画を横取りしようとする。瀬兵衛の女癖が悪く、江戸に入ってきて早速おひろと乳繰り合っていたと嘘の話を仁助に語る。実は密かに仁助に思いを寄せていた。仁助の肩に手を置いたときの指の動きが尋常ではない。また、仁助の手に自分の手を重ねる仕草も普通の感じではない。平泉成の気色悪い演技が見物かもしれない。

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第11話 隠し子

平蔵の妹現る。平蔵によれば、眼が亡父を思わせ、煙草を吸うときの煙管を持つ仕草がまた亡父そっくりとの由。

かって平蔵宅で中間をしていた久助が火盗改方役宅を訪ねてくる。

平蔵「女房殿の前で昔の古傷を暴き立てなくても....」

久栄が笑いながら立ち去った後、久助は訪ねてきた用件を平蔵に尋ねられ、「隠し子」がいることを告げる。

平蔵「隠し子!俺のか?」

隠し子は亡父の子で、平蔵の妹になるとのことであった。久助は根津から池之端一帯を取り仕切る十手持ちの新井屋(彦十と付き合いがある)が、その平蔵の妹お園に言い寄ってきたことから心配になって、平蔵に相談しに来たのであった。

平蔵は自分が継母に苦しめられた過去を思い、亡父として隠し子とせざるを得なかった未だ見ぬ妹の不憫を思うのであった。

平蔵はさっそく根津権現近くの岡場所で居酒屋を営むお園を訪ねていく。

***********

平蔵は帰宅してそのことを久栄に告げる。

久栄「酒と煙草が好きな小姑と同じ屋敷で暮らすことは....(多分、嫌ですだったと思う)」

また珍しく訪ねてきていた辰蔵にも話す。

久栄(辰蔵に向かって)「父上の妹ですよ。美人の筈がありません!」

***********

お園 美保純、 久助 奥村公延、 新井屋松五郎 田口計

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鬼平犯科帳シリーズⅤ_犬神の権三郎&盗賊人相書

第8話 犬神の権三郎

雨引きの文五郎(すきま風の文五郎の異名を持つ。今は平蔵の密偵。) 目黒祐樹

犬神の権三郎 峰岸 徹、おしげ 土田早苗

評判の天ぷらそばを食いに立ち寄った佐嶋は、その店でこれまでに二度も取り逃がした犬神の権三郎を見掛けて首尾よくお縄にした。平蔵はその手柄を誉めるが、「二度あることは三度ある。注意しろ。」、「天ぷらそばを食い損ねたのは残念であった。」と語る。

火盗改方の牢に閉じ込めていた犬神の権三郎であったが、ぼや騒ぎが起きた隙に牢を破って逃亡してしまった。その行方を捜すために平蔵の密偵が全員召集される。これは初めてのことである。が、そこに文五郎だけが顔を出さなかった。

かって大阪の加賀屋に共働きで押し入った文五郎と権三郎だったが、権三郎は六百両のうちから三百両の上前を撥ねていた。文五郎は権三郎に盗賊としてのけじめをつけるチャンスを与えたのであるが....。

平蔵「文五郎が最期のとき、奴は一体何を言いたかったのか?」

佐嶋「お頭、たしか『けじめ』と聞かれたとか?」

平蔵「うん、そうだ。その通りだ。だが、一体、そのけじめとは何だ?犬神の権三郎が文五郎との共働きの上前を撥ねた。それが許せぬからといって、何故牢破りまでして権三郎を救い出し、その救い出した権三郎を己の手で裁こうとしたのだ?」

佐嶋「それはつまり、盗人の掟では?

平蔵「うむ。その掟を命懸けで貫こうとしたのは?いや、俺もなぁ、うまく言えねえがな、そいつは多分文五郎の洒落だったんじゃあねえのか?

佐嶋「洒落、でございますか?」

平蔵「うむ。奴はな、いや、文五郎という男は、権三郎のような奴が仲間に居ることが我慢できなかったんだ。いや、つまりな、文五郎にとって盗人というものは、もっとこう粋な洒落たものだったんじゃあねえのかー。」

(回想のようなシーン)

文五郎「長谷川様、違いますよ。そいつは買い被り過ぎだ。盗人なんてえものは、もっとどろどろした、小汚ねえ仕事ですよ。ふっふふふ、はははは....」

*******************************

第9話 盗賊人相書

石田竹仙 柄本明、およし 高橋貴代子、熊次郎 六車直政

急ぎ働きの盗賊が押し入った店で、およしだけが唯一生き残り、しかも盗賊の一人(熊次郎)の顔を見ていた。

およしはその盗賊の人相書き作成に情報提供することとなり、木村忠吾はおよしの護衛を兼ねた世話役を命じられた。

いつもの人相書きの絵師が不在のため、石田竹仙という肖像画等を手がけるという絵師が人相書き作成に呼ばれる。

およしと竹仙の共同作業は順調に進み、およしが見た盗賊の顔そっくりの下絵ができた。しかし、最終的に完成した人相書きは実際の盗賊と似ても似つかぬものだった。

平蔵はその顛末に対して不審を抱く。

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鬼平犯科帳シリーズⅣ_麻布一本松&さざ浪(なみ)伝兵衛

第16話 麻布一本松

コメディータッチの一編。木村忠吾が一人妄想に耽りのろける様は落語のばか旦那を見るようで面白い。

忠吾が木村平蔵と名乗る。

また、鬼平が剣客浪人市口又十郎に恋の指南をする。

平蔵「相惚れか。ガバと抱くことだな。」

*************

シリアスな台詞は次のものだけ。

平蔵「沢田。俺に恨みを持つ者はこの世にどれほどおるかの?

   悪を抛っておけば町人に恨まれ、悪を糺せば悪の恨みを買うか。

   はっはっはっは。よくよく因果な勤めよな。」

沢田「はっ。」

*************

市口又十郎 村田雄浩、お弓 水島かおり

*************************************

第17話 さざ浪伝兵衛

蟹蔵(伝兵衛に向かって)「お前はできるのか?

   お前は初めてやった殺しを忘れることができるのかって訊いてるんだ。」

  「うそだ。そんなはずはねぇ。

  初めての殺しは一生そいつに付きまとうもんだ。

  お前は神奈川の海の中で絞め殺したんだったな。

  今にその百姓が出てくるぜ。

  俺がやった婆あみてえにきっとお前の前にでてくるぜ。」

*************

さざ浪伝兵衛 又野誠治、砂堀の蟹蔵 織本順吉、

政吉 高良隆志:

政吉は伝兵衛に殺害され名刀を奪われた百姓の息子。父親の敵が誰か知らずに探し回っており、そのために蟹蔵と接触して、関所抜けを手伝いながら、父親が奪われた名刀から敵を探し出そうとしていた。蟹蔵と交流のある伝兵衛が父親を殺されていたことを知らないまま、蟹蔵の依頼を受けて伝兵衛の火盗改方からの逃亡の手助けをする。逃亡のために用意した小船を先に平蔵たちに奪われたことを知り、川に逃れてきた伝兵衛にそのことを伝えようとするが、伝兵衛は自分が殺した百姓の亡霊が現れたと錯覚する。

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鬼平犯科帳シリーズⅤ 土蜘蛛の金五郎、怨恨&蛙の長助

鬼平犯科帳シリーズⅤ 土蜘蛛の金五郎、怨恨&蛙の長助 (一巻に3話)

第1話 土蜘蛛の金五郎 ☆☆☆☆

小説を読んで印象に残っていた1話のドラマであった。池波正太郎の「悪いことをしながら、一方で善いことをする。」という人間哲学に基づく一話であり、見逃してはならない一編であろう。

ドラマのほうもまた面白い。特に平蔵の変装が見ものである。

めしや どんぶり屋 儲けなしで美味くて安い食事を提供している。酒は出さない。平蔵はその経営振りに不審を抱く。

岸井左馬之介 竜雷太(今回は代役)、

土蜘蛛の金五郎 遠藤太津朗、子之次 赤塚真人

*****************************

第2話 怨恨 ☆☆☆☆

平蔵、忠吾の教育的指導に策を誤り失敗する。

磯辺の万吉 速水亮、今里の源蔵 長門浩之、

杉井鎌之助 清水紘治、桑原の喜十 金田喜久夫

五郎蔵、おまさ 庭先に座って平蔵に話している。

平蔵「そうか。うさぎ(忠吾)がまだそんなことを申しておるのか。」

おまさ「此度の盗人仲間の噂を何処でいつ誰から仕込んだのか、全て書き出して届けよとのきついお達しで。」

五郎蔵「いや、私どもも決して苦情を申し上げているわけではございません。ただ、時と場合によってはお目こぼしを頂かないと、掴めるはずの盗人の動きも取りこぼすことにもなりかねません。

磯辺の万吉のことも、実は昔仲間のある男が、今働きの盗人から聞きこんだ話でございます。おつとめで大阪に向かう途中、その男のところに逗留したその盗人は去り際に二十両の金をそうっと布団の下に置いていったそうでございます。足を洗ったとはいえ、盗人なんてものはそんな風にして肩を寄せ合って暮らしているのでございます。

それがすべて表沙汰にされると耳に入るはずの噂も風が止んだようにばったりと消え失せるようなことにも成りかねません。」

平蔵「分かった。うさぎにはわしからそれとなく注意しておこう。」

(このとき、ふと平蔵の目にお茶請けに出された塩羊羹の二切れが目に入る。)

******************

同心部屋にて、同僚たちを前に大声で持論を展開している。

忠吾「俺がこの事件についてすべて責めを負うというのは、すなわち、俺がお頭になったということだ。しからば、お頭の手下たちは全てのネタ筋を俺に明かさねばならない。秘密があっちゃ仕事にならんのだよ。えー、そうじゃないか!?」

平蔵、しゃべっていた忠吾を遠くから手招きして別の部屋へ招き入れる。

平蔵「こいつはな到来物だが取っておけ。」

(言いながら、塩羊羹の一包みを忠吾に手渡す。)

忠吾「あー、塩羊羹ですか。」

平蔵「そうだ。下諏訪(?)名物の塩羊羹だ。」

忠吾「あー。拙者これ大好物です。まだ食べたことありませんが。」

平蔵「はっはっは。そうか。他言無用。他の者には内緒にしておけ。」

忠吾「は。それはもう心得ております。世の中喋って良いこと事と悪いことがあることぐらい、拙者、もう十分に。」

平蔵「そうだ。その通りだ。」

忠吾「は?」

平蔵「世の中訊いて良いことと悪いことがある。なあ、秘密は秘密のまま見てみぬ振りをすることも時には肝要だぞ。第一、世の中の全てのことを知り尽くしてしまったら、こいつはもう大層味気ないことだろうよ。なあ、忠吾。」

忠吾「は。」

平蔵「はっはっはっは。」

忠吾「はははははは。」

(平蔵を見送りながら)

忠吾「何だ、お頭は?一体何が言いたいんだ?うん???

ナレーション「実はこの男、何にも分かっていない。」

*****************************

第3話 蛙の長助 ☆☆☆

ナレーション「男には時として女には明かせぬ金を遣うことがあると、長谷川平蔵口先まで出掛かったが、やはり取り止めた。」

長助はある娘(あるいは実の娘か?)の育ての親の二十両の借金の証文の肩代わりに十七両を出してやったが、その後今井勘十郎たちの手に掛かって殺されてしまう。平蔵は、長助の代わりに足りなかった残りの三両を足してやったのであった。

久栄は、平蔵が長助の仕事を手伝って三両を手にしたことをお熊から聞いて知っていた。平蔵が自分に何も語らずに遣ってしまったことに腹を立てていたのである。

蛙の長助 米倉斉加年、お熊婆 五月晴子、今井勘十郎 長谷川明男、

三浦屋彦兵衛 玉川伊佐男

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鬼平犯科帳シリーズⅣ おとし穴&おしゃべり源八

鬼平犯科帳シリーズⅣ おとし穴&おしゃべり源八

第18話 おとし穴

火盗改方同心 佐々木新助 中村梅雀-お才と浮気を重ねていくうちに夜鴉一味の盗みの手助けをする羽目になる。火盗改方の夜回り計画を漏らす密告者になってしまう。

お才 山本みどり-夜鴉の勘兵衛の女房

文挟の友吉 小野武彦

新助は平蔵が自分がやっていることのすべてを見通していると思い込んでしまう。

こうなった上は夜鴉の勘兵衛と会って一人で片をつけようと図る。

平蔵は伊佐治を尾行させる。

しかし、夜鴉一味は先手を打って新助とお才を始末しようとする。

新助はお才を逃がそうと必死に闘う。そこに伊佐治も加勢に入るが多勢に無勢で新助とお才は殺されてしまう。伊佐治は大声で「人殺し!」と叫び、夜鴉一味を退散させる。

平蔵は「新助は死に急いだ。」と悔やんだ。

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第19話 おしゃべり源八

久保田源八 佐藤B作 天神谷の  一味の一人を尾行していて待ち伏せされて頭を殴られ気絶してしまう。その4ヶ月後木村忠吾に見掛けられ、火盗改方に復職するが、それまでの記憶を全て喪失しており、その後も回復することは無かった。

日妻の文造 椎谷建治

仁助 花上晃

酒井「どうした忠吾。くたびれ果てたか?」

忠吾「いやー、全くあのおしゃべりにはあきれました。もう、以前は心の臓がどうのこうのと青い顔をしてむっつりしておられたのに。まるで人が変わってしまわれたようです。」

酒井「仕方があるまい。その心の臓のことも忘れてしもうたのだから。病は気からと申すではないか。」

忠吾「はあ、そんなものでしょうか?」

酒井「そんなもんさ。人間なんてそんなものだ。」

忠吾「はぁ。」

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鬼平犯科帳シリーズⅤ 市松小僧始末&消えた男(追加補足版)

長谷川平蔵 中村吉右衛門、ナレーター 中西 龍

第4話 市松小僧始末 ☆☆☆☆

おまゆ 長与千種 大柄の上に力持ち。剣の腕も立ち、時折火盗改方改め方役宅に出稽古に来ていた。酒井同心と互角の剣の腕。

市松小僧の又吉 春風亭小朝

又吉「人を好きになるのに訳なんていらねえよ。」

又吉「スリは三遍捕まると死罪。」

おまゆの父親はスリの男と一緒になって改心させるという娘に、百両を出すからそれで5年間夫婦をはり通せたら亭主としてみとめよう。それまでは親でもなければ子でもないという。

平蔵(酒井同心に)「(スリの再犯を犯さないという)超えられぬ坂を越えたかどうか見張れ。三度目は死罪。首を刎ねねばならぬ。」

酒井には又吉は困難な坂を九分九厘越えたかに見えた。

しかし、又吉は兄貴分であった仙之助(河原崎健三)の両手を小柄で突き通した髭の侍を見掛けた時に、その仇をとるために財布を掏り取ってしまった。

おまゆ「お願いでございます。今度限り、今度限りはお見逃しを!」

平蔵「なるほど、又吉はその侍を憎んでいたかも知れぬ。だがな、おまゆ。そいつは口実に過ぎぬ。押し殺していたスリの習い、スリたいスリたいとの思いがたまたまその侍を相手に選んだこと。一度禁を破ってしまえばその後はもう止まることを知らぬ。己の指の動くままだ。何故スリが一度やったらやめられねえか、そいつはスリになってみなきゃあ分からねえ。だがな、大本のところ、おそらく己の指先一つ、おのれの指一つで金持ちの鼻をあかし、世間をあざ笑う喜び、得も言われぬ誇らしさを味わいたいためだろう。こらぁなぁ、おまゆ、たとえどんな事情があるにもせよ、やっぱり病気だ。治らねえ病なんだよ。」

おまゆは平蔵の言葉を静かに重く受け止めた様子。

おまゆは、その直後に家にこっそり帰ってきた又吉を障子を開けて迎え入れるや否や床の上に投げつけて右腕を抑えておいて、自分の右手に持った鉈で又吉の右手の先に振り下ろした。右手指を切り落とされた又吉は激痛に叫び声を上げた。

おまゆ「長谷川様!」

平蔵「おまゆ、手当てをしてやれ。」

**********

平蔵(自分からの連絡(繋ぎ)を受けて駆けつけてきた酒井たち配下同心たちに向かって)「市松小僧は死んだ。」

おまゆは、平蔵の「スリは治らない病だ。」という言葉を真剣に受け止めながら、それでも何とか又吉を見逃してもらえないかと急ぎ様々に思いを巡らしたことが明らかだ。夫婦の情愛に基づき、自分が亭主を立ち直らせねばならないと一大決心をするのである。平蔵の言葉はある意味ではおまゆを追い込んだ。しかし、おまゆの取った夫婦愛に基づく行動は

平蔵の想定を越えたように見える

あるいは、平蔵は酒井に代わり自分が担当役を買って出たところから既にそれを想定していたとも思われる。しかし、そのシナリオを自ら指揮はできないと考えていた。最後の最後のおまゆを動かす荒療治に賭けたのであろう。

平蔵は「難しい坂を越えた」ことを客観的に示す状況を作り出すことで、誰もが見逃してやることを認めても良いと思えるようにしたのであろう。しかし、そのお目こぼしはすなわち死罪を免れさせることと同じである。中途半端な状況では説得力は無いのだ。

「又吉は指を無くしただけではない。そのことでスリの市松小僧は完全に死んだ。又吉として生まれ変わった後はもはやスリに戻ることは全くないのだ。」との主張が、最後の平蔵の科白に込められている。

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第5話 消えた男  ☆☆☆

高松繁太郎 渡辺裕之 元火盗改メ方同心-前長官堀帯刀の下での仕事に嫌気がさしていた。堀は全くやる気のない長官だった、とは佐嶋の言葉。高松はまじめで、律儀な性格の男。

お杉 斉藤林子、笹熊の勘三 佐藤仁哉、六兵衛:多々良純

**************

平蔵「だが、高松と言う男は潔い男よな。」

佐嶋「はい。」

平蔵「お百(甘酒屋の女将)に居所を知らせたのも恐らく勘三に討たれてやるつもりであったのであろう。

忠吾「しかし、勘三はあの浪人を道連れに返り討ちになったではありませんか。」

平蔵「いやー、そこのところが分からん。」

佐嶋「高松は稀な剣客。心とは別に体が動いたものと思われます。」

平蔵「あるいはな。まあ、そこのところは本人から聞こう。

お杉も高松も勘三も人間の業に真っ正直に立ち向かった。三つ巴の憐れな業にな。」

**************

過去の回想:高松は証言者お杉の身の安全確保のための費用として二、三十両を用立てて欲しいと佐嶋を通じて掘長官に上申したが、火盗改方としてそのような金は出せないとの返答を受けた。そこで、高松はお杉を連れて逃げることを決心。このことを佐嶋に手紙で報せ、佐嶋はその文面を今でも忘れられないで居たのであった。

お杉「こうなったらもう構いません。あたしのことなんか。知っていることは洗いざらいお話しいたします。」

高松「言わずとも良い。もう聞かなくても良いのだ。聞きたくも無い。あの馬鹿野郎。俺やお前の命懸けが分かってたまるか。」

「お杉、何故泣く?」

お杉「嬉しいんです。嬉しくって。」

**************

六兵衛「女と言う生き物は、どうしてこう男と男の間に割り込んできて、何もかも滅茶苦茶にしてしまうんだろうねぇ。お杉っていう女は気風(きっぷ)のいい女だって言ってたよ。なのに体の中には魔物が棲んで居る。勘三はそんなこと言ってたな。

その魔物に取り憑かれてしまったんだよ、勘三の奴は。八年だぜ。八年の間奴はお杉のことが忘れられないって。憐れでなんねぇ。」

**************

高松「この上はどのようなお裁きでも。」

平蔵「何気取ってやがんだよ。お前を罰するつもりは無い。元はと言えば前の盗賊改メ方にも非がある。この度は見逃してくれよう。」

*************

平蔵「ところで高松。お主、笹熊の勘三に討たれてやるつもりじゃなかったのか?甘酒野のお百に言付けを頼んだのはそのつもりであったのであろう?何故そんな気になった?」

高松「勘三はお杉に心底惚れておりました。私はいかに盗賊とはいえ、女房同様の女を奪ったんです。お杉が病で倒れた時、私はこれでやっと勘三に借りを返す時が来たと、何やら、何やらほっとしたのでございます。」

平蔵「いやー、その気持ち分からんではない。さ、さ、遣れ遣れ。」

佐嶋「だが、お主は勘三を返り討ちにした。何故だ。何故気が変わった?

高松「それは...」

平蔵「心とは別におぬしの鍛えた腕が自然に相手を倒した。そういうことなのか?」

高松「いいえ、それは断じて違います。佐嶋様、あの日佐嶋様にお会いしたからです。」

佐嶋「俺に会ったから?」

高松「はい。あの日、佐嶋様から長谷川様のお噂を伺っているうちに、何やら胸の中に熱い物が蘇ってまいりました。八年前に捨てた筈の火付盗賊改メ方の同心としての熱い思いと申しましょうか。私は佐嶋様が羨ましくなりました。せめてもう一度、もう一度どんな形でもいい、その方の下でお役に立つ働きがしたいと、そんな気持ちに駆られたのでございます。」

佐嶋「高松。」

高松「お笑い下さい。そんな思いになったとき、私は急に命が惜しくなりました。勘三はともかくとして、あんな山犬のような素浪人に斬られてなるものかと。そんな気持ちで後の事は何も覚えておりません。」

平蔵「では、佐嶋に会わなかったら勘三に討たれてやった。そう申すのか?」

高松「はい。恐らくは。それがお杉に対するせめてもの供養かと。」

平蔵「死んだ女にそれ程の」

高松「何事にも潔い女でございました。男らしい男のように潔い。なればこそ、私も潔く。」

佐嶋「あのお百という姉御も、同じようにお杉を誉めていたよ。」

高松「お百が?」

佐嶋「ああ」

高松「左様でございますか。」

平蔵「いや、さ、飲め飲め、遣れ遣れ。

だが、お主、果報者よなぁ。」

高松「は?」

平蔵「いや、それだけの女子はなかなかおるまいて。のう佐嶋?」

**************

この後、高松は密偵の一人として平蔵に仕えることになった。しかし、彦十、五郎蔵、おまさ、粂八、伊三次ら密偵たちとの宴でしたたかに酔ってしまった高松は、六兵衛が放ったと思われる刺客に命を奪われてしまった。

平蔵はお杉の墓の隣に高松の墓を建ててやり、永代供養をしてやった。

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鬼平犯科帳シリーズⅢ_雨隠れの鶴吉&網虫のお吉(追加補足版)

第9話 雨隠れの鶴吉

鶴吉を石原良純が演じる。最初からお仕舞いまで二枚目役で通す。現在の三枚目的キャラクターとギャップがあるために、若々しく新鮮に見えるが、反面どこか微妙に不似合いな印象を引きずりながら観てしまった。

女房お民役の早野ゆかりはやや姉さん女房風に見える。色っぽい入浴シーンがあるが、昔の風呂場の様式が見れて興味深い。

井関録之助(夏八木薫)のアグレッシブな性格が良く演じられていて、この遠慮しない人懐っこい人柄が、本ストーリーでの兇族団を成敗する重要な要素になるように構成されている。

鶴吉は大店に婿養子に入った主人が妾に産ませた子であり、本妻らの策謀と思われるが実母を毒殺され、その大店とともに本妻に頭が上がらない実父をも恨み、避けるようになっていた。鶴吉が子どものころ、録之助と平蔵が剣の修行をしていた高杉銀平道場の近くに居たことから、録之助とは顔見知りであった。

実母の墓参りに12年ぶりに大阪から江戸に帰ってきて墓参している鶴吉を奇遇にも録之助が目に留めて話し掛けることから、物語が展開し始める。

鶴吉夫婦は今は盗賊であった。最後に鶴吉は父親の店が兇族に狙われていることに気付き、自分の身分を録之助に明かして父親を助けて欲しいと頼む。

録之助はそのことを平蔵に話すのである。

平蔵の鶴吉に対するお裁きや如何に。録之助がただ酒を馳走になりながらもかっての銕っあんである平蔵さんに迫る。

*******

録之助は事件が解決したことを鶴吉夫婦に告げるため、既に江戸を離れて伊豆(伊東?)の温泉地で逗留しているはずの夫婦を追いかけてそこで追いつく。そこで録之助は鶴吉夫婦が水入らずで温泉に浸かっているところにあつかましくも裸でちん入して行く。全く相手のことはお構い無しの大胆さである。

お風呂とか温泉のシーンと言うのは、登場人物が裸であるために、無防備でほっとしたり、女優の入浴シーンであれば色っぽかったりする反面、悪い奴が傍に出てると途端に緊張感が高まるシーンでもある。そういった意味で、見ているものを画面に引き付ける効果を持っていると言える。そこで録之助は事件の顛末と平蔵のお裁きを告げるのである。

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第10話 網虫のお吉

網虫のお吉 風祭ゆき、同心黒沢勝之助 磯部勉、琴師歌村清三郎 佐原健二

お吉役の風祭ゆきが色っぽい。木村忠吾が一瞥しただけで、いい女だなと後をつけていってしまうほどであるが、この忠吾のスケベ心が本ストーリーを展開させていくから面白い。

網虫とは蜘蛛のことである。お吉に関わる男たちは皆蜘蛛の巣に掛かった虫たちのように命を吸い取られてしまうところから、そう呼ばれているのである。

しかし、おまさはかってお吉と一緒に仕事をしたことがあり、彼女を根っから悪い女とは思っていない。

*********

平蔵「黒沢も初手はお吉から久平の隠れ家を突き止めるつもりだったが、蜘蛛の糸に絡め取られやがって。ちぇっ、愚か者めが。」

蟷螂が女郎蜘蛛の網に掛かり絡め取られるシーンが映される。

************

忠吾「お頭、なぜあのとき私をお止めになって黒沢を捕らえなかったのでございますか?相手(お吉)からあれほどの金品をむしり取っていた黒沢があおの浪人者に斬らり斃されては、お役に殉じたことになりその罪、咎も表に現れずに済むではありませんか。」

平蔵「だが、ああしてやることが黒沢に対するせめてもの武士の情けだった。」

忠吾「しかし、この度のことはあまりに酷すぎます。黒沢に情けを掛けるものは何一つございません。」

平蔵「その通りだ。黒沢は打ち首になってしかるべきであった。」

忠吾「では何故?」

平蔵「忠吾、お前は黒沢が何故あのように他人も己も苛む様な生き方をしていたか存じておるか?」

忠吾「いいえ。」

平蔵「以前の黒沢はな、ごく当たり前の仕事一途の男だった。だが、在る時恋女房に不義を働かれてな。女房に惚れきっていた黒沢は斬り捨てることもさりとて許すこともできず、あんな無残な男になっちまった。どうだい忠吾、この度のことはお前の胸一つに収めておいてはくれぬか。」

忠吾(お辞儀するように頷く。)

*********

平蔵「琴師の歌村清三郎、(黒沢)殺しを請け負った浪人者、そして黒沢、三人の男がお吉の毒に身を滅ぼした訳だ。」

久栄「女の業というものは深いものでございますね。」

平蔵「うーん、まあ、お吉の本音としては、ひっそりと琴師の女房で落ち着きたかったのであろうがな。」

久栄「そうさせなかったのは一体何なのでございましょうか?」

平蔵「それこそ業というものよ。女は恐い。あんな黒沢でも、お吉の広げた網の中ではただただ悶えるばかりであった。」

久栄「お吉はそんな自分の怖さに気付いていなかったのでございましょうか?」

平蔵「いや、それが分かって亭主(清三郎)の前から姿を消したのであろうよ。自分で自分がおぞましくなってな。実に恐ろしきは女子(おなご)だのう。」

久栄「私も女でございますよ。殿様。」

平蔵「う、あ、いやー、そなたは別じゃ。」

久栄「ま!あっははははは」

平蔵「はっはっはっは」(頭を掻く)

**************

さてさて、本当に悪い(恐い?)のは女か男か?

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鬼平犯科帳シリーズⅤ 白根の万左衛門&お菊と幸助

第6話 白根の万左衛門 ☆☆☆

おせき:岡本麗、沼田の鶴吉:石丸謙二郎、雨彦の長兵衛:西田健
白根の万左衛門:岡田英次、梅之助:芝本正

死期が迫ったと感じた万左衛門は、「京都の自分の家に二千両の隠し金があるから、死んだ後は仲間で分けろ」と、おせき、鶴吉、長兵衛の三名に伝えた。
しかし、そこに二千両はなく、床下から掘り出された瓶の中に入っていたのは書付けであった。そこにはこう書かれていた。
一、 殺さず
一、 女を犯さず
一、 貧しき者からは奪わず

平蔵「こいつは万左衛門の遺言だ。
    親の心子知らずとは良く言ったもの。
    おめえたちは最後まで不肖の子であったのう。」
************
久栄「それにしてもその老人は五十に余る手下に囲まれながら、さぞ寂しかったことでしょうねぇ?」
平蔵「いや、そうとも限らんぞ。
    長年共に盗みをしてきた手下どもとの間には、我らの分からぬ結びつきがある筈。まあーそれなりに可愛かったのではあるまいか。」
   「だが、盗みは所詮悪事。体の中には冷たい風が吹き抜けていたであろう。
    まるで笑っているような死に顔だと梅之助(万左衛門の忠実な手下)は申したが、できの悪い手下共を見て苦笑していたのかも知れぬ。
    ハッハッハッハ。
    まぁ、一度話しがしてみたかったなあ。」

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第7話 お菊と幸助  ☆☆☆

お菊:増田恵子(元ピンクレディー)亡き密偵清兵衛の娘
幸助:田中隆三 お菊の夫 足が不自由
伝吉:水上功治 お菊を脅していた。お菊の父清兵衛が密偵(いぬ)になったせいで、盗賊仲間が何人も裏切られたと。

平蔵が甲州へ旅立っていた留守の間に、久栄が大チョンボをしてしまう。

かって平蔵宅で働いていたこともあるお菊は、伝吉に脅かされて、平蔵が留守中にお菊を久栄に会いに行かせる。
お菊は伝吉に言われたとおりに平蔵の留守の期間を確認すると共に、伝吉を自分の亭主と偽り、とある呉服屋に就職するための口添えを頼む。
しかし、伝吉は引き込み役であり、その呉服屋一家は惨殺され金を奪われる。
久栄は平蔵に合わせる顔がないとその後姿を隠したお菊の行方を、おまさたちの力を借りながら必死に探す。

その内に、伝吉が殺害されて発見されるという事件が起きる。そして平蔵も役宅へ帰って来た。

幸助は女房お菊が百姓屋で伝吉と会っているのを目撃し、伝吉がお菊をゆすっていることを知る。そのときお菊は伝吉ともつれ合っていてはずみで酒壺を伝吉の頭部にぶつけてしまった。伝吉はピクリとも動かなくなった。お菊は慌ててその場から逃げ出した。

平蔵たちの捜査により、伝吉を殺害したのは幸助だと分かる。幸助はお菊が逃げ出した後、百姓屋に侵入して倒れていた伝吉を殺害して、一丁ほど離れた川に遺棄したのであった。

***********
平蔵「両人、控えい!」
    「夫婦共々乱心したか。」
    「良いか、ましらの伝吉は盗賊仲間に命を奪われたのだ。
     火付盗賊改め方を雑言を以って誑(たぶら)かすとは不埒千万。
     即刻召し取るべきところ、その方たちの情愛に免じて江戸四方十里ところ払いを命ずる。
     即刻に立ち去れい!!」
お菊「長谷川様。」
************
平蔵「露の情けだ。」
久栄「は?」
平蔵「ざれ唄の文句にもあるではないか。
土手の芝 人に踏まれて 一度は枯れた
♪露の情けで 蘇える♪ とな。
蘇って欲しいなーあの二人。」

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鬼平犯科帳シリーズⅤ_市松小僧始末&消えた男

鬼平犯科帳シリーズⅤ 市松小僧始末&消えた男

中村吉右衛門、ナレーター 中西 龍

第4話 市松小僧始末 ☆☆☆☆

おまゆ 長与千種 大柄の上に力持ち。剣の腕も立ち、時折火盗改方改め方役宅に出稽古に来ていた。酒井同心と互角の剣の腕。

市松小僧の又吉 春風亭小朝

又吉「人を好きになるのに訳なんていらねえよ。」

又吉「スリは三遍捕まると死罪。」

おまゆの父親はスリの男と一緒になって改心させるという娘に、百両を出すからそれで5年間夫婦をはり通せたら亭主としてみとめよう。それまでは親でもなければ子でもないという。

平蔵(酒井同心に)「(スリの再犯を犯さないという)超えられぬ坂を越えたかどうか見張れ。三度目は死罪。首を刎ねねばならぬ。」

酒井には又吉は困難な坂を九分九厘越えたかに見えた。

しかし、又吉は兄貴分であった仙之助(河原崎健三)の両手を小柄で突き通した髭の侍を見掛けた時に、その仇をとるために財布を掏り取ってしまった。

おまゆ「お願いでございます。今度限り、今度限りはお見逃しを!」

平蔵「なるほど、又吉はその侍を憎んでいたかも知れぬ。だがな、おまゆ。そいつは口実に過ぎぬ。押し殺していたスリの習い、スリたいスリたいとの思いがたまたまその侍を相手に選んだこと。一度禁を破ってしまえばその後はもう止まることを知らぬ。己の指の動くままだ。何故スリが一度やったらやめられねえか、そいつはスリになってみなきゃあ分からねえ。だがな、大本のところ、おそらく己の指先一つ、おのれの指一つで金持ちの鼻をあかし、世間をあざ笑う喜び、得も言われぬ誇らしさを味わいたいためだろう。こらぁなぁ、おまゆ、たとえどんな事情があるにもせよ、やっぱり病気だ。治らねえ病なんだよ。」

おまゆは平蔵の言葉を静かに重く受け止めた様子。

おまゆは、その直後に家にこっそり帰ってきた又吉を障子を開けて迎え入れるや否や床の上に投げつけて右腕を抑えておいて、自分の右手に持った鉈で又吉の右手の先に振り下ろした。右手指を切り落とされた又吉は激痛に叫び声を上げた。

おまゆ「長谷川様!」

平蔵「おまゆ、手当てをしてやれ。」

**********

平蔵(自分からの連絡(繋ぎ)を受けて駆けつけてきた酒井たち配下同心たちに向かって)「市松小僧は死んだ。」

おまゆは、平蔵の「スリは治らない病だ。」という言葉を真剣に受け止めながら、それでも何とか又吉を見逃してもらえないかと急ぎ様々に思いを巡らしたことが明らかだ。夫婦の情愛に基づき、自分が亭主を立ち直らせねばならないと一大決心をするのである。平蔵の言葉はある意味ではおまゆを追い込んだ。しかし、おまゆの取った夫婦愛に基づく行動は

平蔵の想定を越えたように見える

あるいは、平蔵は酒井に代わり自分が担当役を買って出たところから既にそれを想定していたとも思われる。しかし、そのシナリオを自ら指揮はできないと考えていた。最後の最後のおまゆを動かす荒療治に賭けたのであろう。

平蔵は「難しい坂を越えた」ことを客観的に示す状況を作り出すことで、誰もが見逃してやることを認めても良いと思えるようにしたのであろう。しかし、そのお目こぼしはすなわち死罪を免れさせることと同じである。中途半端な状況では説得力は無いのだ。

「又吉は指を無くしただけではない。そのことでスリの市松小僧は完全に死んだ。又吉として生まれ変わった後はもはやスリに戻ることは全くないのだ。」との主張が、最後の平蔵の科白に込められている。

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第5話 消えた男  ☆☆☆

高松繁太郎 渡辺裕之 元火盗改方方同心

お杉 斉藤林子

笹熊の勘蔵 佐藤仁哉

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鬼平犯科帳シリーズⅢ_雨隠れの鶴吉&網虫のお吉

第9話 雨隠れの鶴吉

鶴吉を石原良純が演じる。最初からお仕舞いまで二枚目役で通す。現在の三枚目的キャラクターとギャップがあるために、若々しく新鮮に見えるが、反面どこか微妙に不似合いな印象を引きずりながら観てしまった。

女房お民役の早野ゆかりはやや姉さん女房風に見える。色っぽい入浴シーンがあるが、昔の風呂場の様式が見れて興味深い。

井関録之助(夏八木薫)のアグレッシブな性格が良く演じられていて、この遠慮しない人懐っこい人柄が、本ストーリーでの兇族団を成敗する重要な要素になるように構成されている。

鶴吉は大店に婿養子に入った主人が妾に産ませた子であり、本妻らの策謀と思われるが実母を毒殺され、その大店とともに本妻に頭が上がらない実父をも恨み、避けるようになっていた。鶴吉が子どものころ、録之助と平蔵が剣の修行をしていた高杉銀平道場の近くに居たことから、録之助とは顔見知りであった。

実母の墓参りに12年ぶりに大阪から江戸に帰ってきて墓参している鶴吉を奇遇にも録之助が目に留めて話し掛けることから、物語が展開し始める。

鶴吉夫婦は今は盗賊であった。最後に鶴吉は父親の店が兇族に狙われていることに気付き、自分の身分を録之助に明かして父親を助けて欲しいと頼む。

録之助はそのことを平蔵に話すのである。

平蔵の鶴吉に対するお裁きや如何に。録之助がただ酒を馳走になりながらもかっての銕っあんである平蔵さんに迫る。

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録之助は事件が解決したことを鶴吉夫婦に告げるため、既に江戸を離れて伊豆(伊東?)の温泉地で逗留しているはずの夫婦を追いかけてそこで追いつく。そこで録之助は鶴吉夫婦が水入らずで温泉に浸かっているところにあつかましくも裸でちん入して行く。全く相手のことはお構い無しの大胆さである。

お風呂とか温泉のシーンと言うのは、登場人物が裸であるために、無防備でほっとしたり、女優の入浴シーンであれば色っぽかったりする反面、悪い奴が傍に出てると途端に緊張感が高まるシーンでもある。そういった意味で、見ているものを画面に引き付ける効果を持っていると言える。そこで録之助は事件の顛末と平蔵のお裁きを告げるのである。

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第10話 網虫のお吉

お吉役の風祭ゆきが色っぽい。木村忠吾が一瞥しただけで、いい女だなと後をつけていってしまうほどであるが、この忠吾のスケベ心が本ストーリーを展開させていくから面白い。

網虫とは蜘蛛のことである。お吉に関わる男たちは皆蜘蛛の巣に掛かった虫たちのように命を吸い取られてしまうところから、そう呼ばれているのである。

しかし、おまさはかってお吉と一緒に仕事をしたことがあり、彼女を根っから悪い女とは思っていない。

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「女とは実に(げに)恐ろしき者よ。」

平蔵は久栄の前でつい口に出してしまう。

「あたしも女です。」と言う久栄に対し、

「女房殿は特別だ、とか、別だ。」と取り繕う。

**************

さてさて、本当に悪いのは女か男か?

なお、この一編は眠気眼で鑑賞したので話の筋が飛び飛びとなっている。改めて鑑賞する予定である。

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鬼平犯科帳シリーズⅣ_老盗の夢&女密偵・女賊

第13話 老盗の夢 ☆☆☆

蓑火の喜之助:丹波哲郎(最後の立ち回りのシーンは迫真の演技で見応えがある。)、前砂の捨蔵:中居啓輔、黒雲の龍蔵:五味龍太郎、おちよ:青山知可子

蓑火とは、お化けの火の玉のこと。つかみどころがまるでない。

大盗賊蓑火の喜之助も、老いて体力ばかりか判断力も衰えた。

粂八は尊敬するお頭であり、畳の上で死なせてやりたい人であった。

しかし、急ぎ働きの盗賊団に騙されて計画を横取りされ、そのけじめをつけるために一人で身支度のための集合場所であった水車小屋に赴き、居合わせた盗賊3人と死闘の末に壮絶な最期を遂げた。

立派なお頭ではあったが、平蔵は喜之助の死に様に、一人の盗賊が死んだだけだと言い切った。

平蔵は「密偵たちの宴」で腕のいい盗人の例として真っ先に蓑火の喜之助を挙げている。喜之助の最期の姿は、平蔵の心にも無念の思いとなったであろう。

作者の池波正太郎も蓑火の喜之助の最期を何故このようなものにしたのであろうか?

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第14話 女密偵・女賊  ☆☆☆☆

お糸(駒太郎に一緒になろうと言われ、約束の場所で待っているが、幾日過ぎても男は現れなかった。おまさとは旧知の仲であった。おまさは、自分が密偵であることを隠して近づきお糸が待っている恋人が駒太郎であったことを聞き出す。しかし、駒太郎が世話役佐沼の久七のところに立ち寄ったこと、八王子で急ぎ働きを行った鳥浜の岩吉の一味であったこと、その後殺害されていたこと等を知り、お糸の身の安全や将来を考え、火盗改方に捕まえさせる。お糸はおまさを憎み、火盗改方の牢内でも頑なな態度を通す。しかし、ある日、平蔵の命で牢から連れ出される。平蔵は駒太郎の仇を討つところを見せ、声を掛けた。その後、平蔵やおまさの心情に触れたか、お糸は平蔵の下で働く決心をする。おまさが「年とったせいですかねえ。」という科白が伏線になっていると思われる。岡まゆみの器量よしで気風のいいところがでおまさ二代目の誕生を予感させる。):岡まゆみ、

押切の駒太郎(お頭鳥浜の岩吉の急ぎ働きに嫌気がさしてきて、一味を抜けたいと申し出たために殺害されてしまう。):朝日完記、

鳥浜の岩吉(急ぎ働きの盗賊の首領):浜田晃、

森七兵衛(かまいたちと呼ばれる件の達人。岩吉に頼まれ駒太郎を殺害。岩吉の用心棒であるが、剣の腕に自信を持っており、自分を殺さぬ限り縁は切らないと、岩吉を金づるとして脅迫するようになる。岩吉一味の捕縛時に唯一人捕まらなかったが、ある旗本屋敷の中元部屋で博打を打っているとの岩吉の白状により、平蔵が待ち伏せ対決する。平蔵は危うい勝負の最後、脇差で仕留めた。その一部始終をお糸に見せ、「少しは胸のつかえも下りたろう。」と言った。):遠藤征慈

佐沼の久七:小林昭二、笹やお熊婆さん:五月晴子

粂八「いいかいおまささん。俺達は人に嫌われる密偵(いぬ)だがな、心の中はみんなと同じ人間だ。どうしてもお縄にしたい奴もいりぁ、たとえ罪は犯していても見逃してやりてぇ奴も居る。人間ならこればっかりはしょうがねえ。その辺のところをちゃんと分かって下さっているのが長谷川様だ。あのお方の下だからこそ俺たちゃあこんな汚い仕事をやってけるんだ。違うかい?

とっつあん(佐沼の久七)だってそうだ。長谷川様を信じてりゃあこそその男(押切の駒太郎)のことをしゃべったんだ。おめえにしゃべりながら、心の中じゃあ長谷川様に申し上げているんだ。

な、何も迷うこたあねえ。ありのままを申し上げな。」

おまさ「やっぱり相談して良かった。この頃何だかんだと迷ったり、気が弱くなったりして、えへっ、やっぱり年なんですかね?」

粂八「馬鹿なことを言っちゃあいけねえ。」

おまさ「ありがとうございました。」

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岩吉「長谷川様。八王子でも何処でも、今までのおつとめにそつはなかったつもりですが、どこから足がついたんで?どうか教えてください。それが分からねえと死んでも死に切れねえ。」

平蔵「女だ。」

岩吉「女?」

平蔵「盗賊とそうでない女と立場は違うが、幸せを願う女二人の気持ちが、おめえに縄を掛けさせたんだ。」

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鬼平犯科帳シリーズⅣ_掻堀(かいぼり)のおけい&埋蔵金千両

第11話 掻堀(かいぼり)のおけい

掻堀(かいぼり)のおけい:三ツ矢歌子、砂井の鶴吉:沖田浩之

「一本うどん」が登場。大人の親指ほども太さがあろうか。笊の上に長い一本のまま、蛇がとぐろを巻いたような形で盛られて出てくる。麺つゆに浸けながら食べる。入った五郎蔵が上手に食べ方を見せてくれる。

おまさによると、おけいはかって侍に子どもを無礼打ちにされてから人が変わってしまったということである。

今や毒蜘蛛のような女。

かって五郎蔵の手下であった鶴吉は、おけいと1年程暮らすことになっていたが、このままじゃ殺されてしまうと、おけいのもとから逃げたがっている。

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おけいと鶴吉が引き込み役をつとめた盗賊団の押し込みの晩、その情報を掴んでいた火盗改方が踏み込んでくると、鶴吉は自ら縛に付いた。おけいは鶴吉と二人の暮らしを望んでいたが、その様子を見て自らの命を絶った。

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第12話 埋蔵金千両

浪人 太田万右衛門(小金井の万五郎):中丸忠雄

おてい:中島唱子

太田万右衛門の掛かり付けの医者は、平蔵の往診にもやってくる。

その医者は平蔵に語る。「自分の治療では治らないと思われていた万右衛門の病が、薬を一切使わない体を揉み解す(指圧も含むか?)だけという別の医者の治療で次第に快復を見せ始める。そうなると薬の効きも出てくる。不思議なものだ。」と。

万右衛門が病気が治ったら百両の礼をすると言ったというのを聞いて、浪人の身でありながらそのような大金を払える万右衛門に対して平蔵は何となく不審を抱く。

自分の隠し金千両に対し、他人に渡したくないと執念を見せる万右衛門。そして万右衛門から晩年の人生に尽くしてくれた礼としてその半分をやると言われ、隠し場所を教えて貰ったがためにそれを独り占めしようとしたおてい。千両という大金を前にし、それまでの二人の生活など忘れて強欲にのみ邁進する姿は浅ましい以外の何物でもない。

鑑賞後は特別な同情も共感もなく、ただただ呆れた空しい感想が残るようだ。

金が全ての人生ではないということを誇張したストーリー展開で教えてくれる一編とも言えるだろう。

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鬼平犯科帳シリーズⅢ_おみよは見た&密偵たちの宴

第18話 おみよは見た 

☆☆☆   :おみよはそれまで小平次をかばおうとしていた自分の心情を吐露する。それにも拘わらず、小平次が同僚のおしんを自分と間違えて殺害したことで憎しみの感情に一変する。小平次はそのようなおみよの心に触れて改心し、全てを白状する。このシーンでぐっとくるものがある。一方、結果的に小平次はおみよの運命を変えたのである。二人の運命の糸の絡み合いがそれぞれのその後の運命を劇的に変えたのだが、また二人ともそれぞれに心の平穏を手に入れて命を全うできたであろうと思われるところで、観る者も救われた思いがするのである。

殺し屋・青堀の小平次:近藤正臣、おみよ:吉沢梨絵、殺し屋元締め:草薙幸二郎

小平次は小女おみよに面を取られる。

平蔵「彦十。」

彦十「へぇ。」

平蔵「おめえ、おみよのことをかんげえてるんだろ?」

彦十「図星ですよ。」

平蔵「うん。あの子は今までに不幸という不幸をくぐってきた。もうそろそろ幸せになってもいい頃だ。」

彦十「おっしゃる通りです。きっとあの小平次という男がおみよちゃんの定めを変えたかもしれませんね。」

平蔵「」

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第19話 密偵たちの宴

☆☆☆☆☆:密偵の全員のプロフィールと大盗賊お頭について勉強できる。最後のおまさの科白が見もの。

おまさ:梶芽衣子、大滝の五郎蔵:綿引勝彦、小房の粂八:蟹江敬三、伊三次:三浦浩一、相模の彦十:江戸家猫八、豆岩:青木卓司、  竹村玄洞:戸浦六宏

平蔵「世の中無事なら俺たちもゆっくり骨休めができる。いや、気のせいかな、五郎蔵はじめ、粂八、伊三次も何か妙に生き生きとしてるな。」

おまさ「さようでございますか。近くに居るせいか、私にはとんと分かりませんが...」

平蔵「そうかい?彦十のとっつあんなんざ、皺がいっぺんに伸びたようだ。ハッハッハ。何か楽しいことがあるんなら俺も一口乗りてえもんだ。ハッハッハッハ。」

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平蔵「いや、俺もこれまで数知れねえ盗人と渡り合ってきたがなあ、今度の奴ほど腕のいいのは見たこたぁねえ。強いて挙げれば、「蓑火の喜之助」、「夜兎の角衛門」、それに「先代狐火勇五郎」。この辺にも勝るとも劣らねえ奴だ。いやー、どんな奴だか、一度でいいから面(つら)を見てみてえもんだな。うん。

いやー、うめえ!馳走になったな。ありがとよ。

あーそうだ。おい、五郎蔵。角蔵から奪った鍵は今夜の内に医者のところに戻しとけよ。」

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おまさ「それごらん、それごらんな!だからあたしは始めから嫌だって言ったんだよ。明日からどんな顔して長谷川様の前に出りゃあいいんですよ!何とか言ったらどうだい、五郎蔵さん!彦十のおじさん!粂さん!伊三の字!みんな何を黙ってんだよ!馬鹿やろう!女のあたしにこんなこと言われて悔しくないのかよ!?

よぉし、もうこうなったら酔い潰れるまで飲んでやる。どうなったって知らないからね!」

  

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鬼平犯科帳シリーズⅣ_霧(なご)の七郎&密偵

第9話 霧(なご)の七郎

霧の七郎は、平蔵に対する兄(小川や梅吉)の復讐の機会を虎視眈々と狙っていた。

上杉周太郎:原田大二郎

平蔵「その男あるいは兄思いかもしれん。

また、人並み以上に情に厚い男かもしれん。

だが、その同じ人間がある時には仏になり、またある時は鬼にもなる。

それが人と言うものだ。

そこを腹に畳んで答えて貰いたい。

そやつは霧の七郎か?」

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平蔵(配下の者たちに向かって)「まあまあ、そう急くな。

なぁ、『色は年増にとどめ(留め?)さす』と言うではないか。

慌てるな、慌てるな。」

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平蔵「それだけの男だった。........」

辰蔵「何故ですか?!何故誰もあの人を認めようとしないのですか?

旅回りの田舎剣士のまま一生を終わらせていいのですか?」

平蔵「人にはな、持って生まれた器量と言うものがある。天命と言うものがある。

その天命を知らず、悟らず、自らその芽を摘み取ってしまう者もある。

辰蔵、己を知るということも大切だぞ。」

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第10話 密偵(いぬ、とも読むが...)

青坊主の弥市:本田博太郎(密偵)

乙坂の庄五郎:横光克彦、縄抜けの源七:岡田潔、おふく:友利千賀子

源七はかって、火盗改方に捕まり平蔵の拷問に口を割って、仲間の名を吐いた弥市に復讐しようとしていた。ある日、その源七が江戸に来ていると庄五郎が伝えに来た。

弥市は女房(おふく)、子どもとの生活を守ろうと、火盗改方の佐嶋同心の説得にも関わらず、一人で源七の居所を突き止めようとした。

しかし、庄五郎が源七とぐるだったことを知らなかったために返り討ちにされてしまった。

火盗改方が現場の盗人宿に踏み込んだとき、弥市は重傷を負わされたにも関わらず、家族のもとへ帰ろうとする執念で、必死に長い距離を這った後絶命していた。

平蔵(佐嶋に向かって)「女房の行く末にとって、どっち*がいいか難しいが....

佐嶋、お前が決めてくれ。」

*:死んだと伝えるべきか、行方知れずになったと伝えるべきか

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鬼平犯科帳シリーズⅢ_尻毛の長右衛門&二つの顔

第13話 尻毛の長右衛門

長右衛門:小林昭二、布目の半太郎:堤大二郎、おすみ:水野真紀

平蔵「いや、それにしても若い女というものは随分と思い切ったことをするものよなぁ。」

久栄「若い女子には誰しも何をしでかすかしれない激しいものがあるのではござりませぬか?ただ、それを表に出すかどうかの違いなのでございましょう。」

平蔵(久栄とおまさを眺めやりながら)「ほう。二人とも思い当たる節がありそうだな。」

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第14話 二つの顔

阿呆烏の与平:花柳徳栄、おはる:宮沢美保、神崎の倉次郎:田中治、夜狐の富造:坂本長利

平蔵に女難の相が出ていると彦十が語るところから物語が始まる。

おはるが見たもみあげ下に刀傷のある男を、平蔵は夜狐の富蔵ではないかと推理するが、それは神崎の倉次郎であった。平蔵の勘働きが外れたケースである。

平蔵「与平はな、この生業に心を痛めていたんだ。

お前がな、いくら有り難く思っても阿呆烏は所詮日陰の稼業だ。

おはる、お前はゆうべ親子三人してうなぎを食いに行こうと申したな。

その金が娘の体を売った金だと知ったら、お父っつあん喜ぶか?」

おはる「.....」

平蔵「なあ!親子三人お天道様の下で世間に憚ることなく生きてみる気はねえか?」

おはる(泣く...)

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平蔵の勘働きは外れ、富造は鬼子母神界隈で夫婦でみやげ物屋を営んでいた。富造は昔喧嘩相手だった平蔵ではないかと尋ねるが、平蔵は何故か違うと答えた。平蔵はみやげ物のすすきで作ったミミズク一つを買い求めると釣りは取っとけと言って嬉しそうにその場を立ち去るのだった。

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鬼平犯科帳シリーズⅣ 深川・千鳥橋&俄か雨

鬼平犯科帳シリーズⅣ 深川・千鳥橋&俄か雨

第5話 深川・千鳥橋

男と女のはかない愛の物語

万三 高橋長英、  お元 一色彩子

平蔵「苦労は人を捻じ曲げもするがまた強くもする。

そのお元とやら、きっとたいした苦労人なんだ。」

*****

平蔵「許すか許さぬか、道は一つだ。

もし許すとすればここまでという限りはない。

限りをつければそれは許すことにならんからだ。」

平蔵はおまさと非十との約束を守り、労咳病みで限りある命の二人万三とお元を目こぼししてやる。

“人の罪は目こぼしできても、限りある人の命はどうしても目こぼしできない。”と平蔵は思った。

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第6話 俄か雨

火盗改方同心 細川峯太郎 中村歌昇、 お長 長谷直美、  幸(こう) 若林志穂

細川は谷中いろは茶屋のときの木村忠吾の好敵手またはどっこいどっこい、目くそ鼻くそと言った、仕事には身が入らぬが女には熱を上げるといった、平蔵にとってはやや困りものの若い部下である。細川の指導育成は平蔵もつくづく頭が痛いと思われる。

平蔵は、おなじ火盗改方の部下の娘お幸が細川に行為を寄せていることを知っていて、細川に娶らせる。お幸は細川にはもったいないほどの器量よしである。

なお、平蔵はさらに細川に付き合っていたお茶屋の女お長ときっぱり縁を切らせるところまで面倒を見てやる。そしてそれは長い目で見れば細川とお長の両人にとっても良かったことなのであろうと思われる。

ここまで部下のことを思ってくれる上司、そしてその上司の薦めに従う部下並びにそのような上下関係は現代ではほぼ完全に絶滅、破綻している。

関係ないが、昨日北島三郎の門下の男性歌手が師匠北島の次女との結婚のニュースが流れていたが、これは組織内(公的機関内、または非私的関係内)でのというより身内内(私的関係内)での上下関係によるものであろう。

細川峯太郎「清水御門外のお役宅では、地震、雷、火事、おやじと言ってな。

おやじとはお頭のことだ。」

お幸「長谷川様はそんなに恐いお方でございますか?」

細川「いや、さほどでもない。本当は優しいお方なのだ。

お頭の言葉は五月雨のように俺達を包んでくれる。お頭はそういうお方なのだ。

お幸、俺達は幸せ者だ。」

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鬼平犯科帳シリーズⅣ 盗賊婚礼&正月四日の客

鬼平犯科帳シリーズⅣ 盗賊婚礼&正月四日の客

第3話 盗賊婚礼

長島の久五郎 中村橋之助、 鳴海の繁蔵 寺田農

一文字弥太郎 三ツ木清隆、 瓢箪屋勘助 垂水悟郎

久栄「この度はとんだお手柄でございましたねぇ。」

平蔵「ああ、正直なところ驚いた。盗人の料理をのうのうと食らっていたんだからなぁ。はははっ、そなたも墓参りの楽しみがなくなって残念だったな。」

久栄「はい。おかげで瓢箪屋のおいしいお料理をいただき損ねました。」

平蔵「いやぁなんだな。今思えばあの料理の念の入れ方は一文字の盗人稼業の手際の良さと通じるものがあったのよ。だがなかなかそこまでは気がつかぬもの。ネコ殿(村松忠之進:沼田爆)も今頃はくしゃみをしているであろうよ。」

久栄「まぁ。はははは」

平蔵「ハッハッハッハッハッハッハッハ・・・」

第4話 正月四日の客

おこう 山田五十鈴、 亀の小五郎 河原崎長一郎

「さなだそば」信州真田で食べられるそば。めんつゆに真田大根の汁を加える。

「納め金」盗賊の頭が足を洗う最後のおつとめで手下に渡す金のこと。

亀の小五郎「ねえ、おかみさん。人の顔は一つじゃありませんよ。顔が一つなのは世の中でおまえさんぐらいのものさ。」

*******

おこう「あたしだって顔は一つじゃありませんよ、銕三郎様。亀の小五郎の正体を知りながら、あたしは口をつぐんでいたかもしれません。きっとあなた様にも。小五郎の一味がひのやで酷いことをしたと申し聞かされておりませんでしたら。」

平蔵「おこう、もう一度さなだそばを食わしてやりな。小五郎が牢にいる間にな。」

平蔵「人の心と食い物の結びつきは思うようには解けねえってことよ。なあ、おこう。ハッハッハッハッハ。」

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鬼平犯科帳シリーズⅣ 討ち入り市兵衛&うんぷてんぷ

鬼平犯科帳シリーズⅣ 討ち入り市兵衛&うんぷてんぷ

第1話 討ち入り市兵衛

松戸の繁蔵 下川辰平、 蓮沼の市兵衛 中村又五郎

彦十「いい人たちはみんな先に逝っちまいますよね、長谷川様。あっしはちっと長く生きてましたかね?」

平蔵「おい、彦!おめえは墓に入るのはまだ早え。」

彦十「銕っあん、分かってますよ。」

第2話 うんぷてんぷ

池田又四郎 神田正輝、 お吉 大塚良重

平蔵は継母が病死したことにより長谷川家の家督を継ぐことに成った。

平蔵は高杉銀平道場で弟のように可愛がっていた又四郎を長谷川家の養子に入れ、その時継母を自らの手で殺害しようと考えていたことがあった。又四郎は平蔵の心の内を見抜き、平蔵の前から姿を消した。

又四郎は盗賊州の浦の徳松一味の仲間に加わる人生となっていた。

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かって又四郎は徳松の女であったお吉と情を交わす中となり、掟に従えば二人は始末されるはずであったが、お吉は徳松一味から逃げ出し姿を眩ました。しかし、一味の一人にその居場所を突き止められてしまった。そこは大店であり、徳松はそこに押し込むことを計画し、お吉にその引き込み役をさせようと考えた。そしてそのお吉の説得に又四郎を使うことにした。

州の浦の徳松(又四郎に向かって)「それはともかく、も一遍お吉に生き残れるゆとりをやろうと思ってね。憎い女だが俺の胸の中でよがり声を上げたこともあるんでね。」

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又四郎はお吉を助けるために、徳松一味の押し込みの前に一味のうちの8人を相手に一人で始末をつけようと戦い、その全員を斬るが、自分も致命傷を負う。そしてその傷ついた身体で平蔵に手紙で指定した待ち合わせにやって来て、長らくぶりに平蔵と再会を果たす。

又四郎は平蔵の腕の中で息を引き取る。

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平蔵「人の定め(運命)というものは分からねえものだな。」(又四郎は自分の代わりになったとの思いが平蔵の心の中にある。)

録之助「うんぷてんぷというやつですか。」

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鬼平犯科帳シリーズⅢ おしま金三郎&忠吾なみだ雨

鬼平犯科帳シリーズⅢ おしま金三郎&忠吾なみだ雨

第17話 おしま金三郎 ☆☆☆☆(お勧めの一編である)

松浪金三郎(火盗改方同心。おしまと情を通じて情報収集を図った。) 峰岸徹、 

おしま 川有紀(にながわゆうき)、 

ませの七兵衛 不破万作、 牛尾の又平、 高山の治兵衛

平蔵「松浪、その方の日頃の勤めぶり、上役や同役の者たちがどのように言っておるか、

承知であろうな?」

松浪金三郎「陰口もそしりもよく存じております。が、私は私。」

平蔵「松浪。己一人を頼むのも程というものがあるぞ。

ま、確かにこのお役目綺麗事では相すまん。小の悪を目こぼししてでも大の悪を御用にしてというときもあろう。それがその方の値打ちでもある。

だが、長谷川平蔵配下の者は決して手を汚してはならん。いいか!

不服か?」

金三郎「承りました。」

平蔵「うむ。下がってよし。」

*******************:

「松浪金三郎はおしまと関係を持った上で、盗賊一味捕縛の手柄に至った」と、誰かから密告があったために、松浪は平蔵の尽力で切腹は免れたもののお役御免となった。その後松浪は小料理屋を営み、世間の評判を取るまでになった。

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平蔵「おめえが未だに独り身だったとは俺の見込み違いだ。

おしまとかいったな?あの女と一緒とばかり思っていた。

何度抱いた?おしまと情を通じたのは幾度かと訊いてるんだ?」

金三郎「六度(たび)でございました。池之端の出会い茶屋にて。」

平蔵「その間に女がのぼせ上がったという訳か。」

金三郎「それはお取り調べでございますか?」

平蔵「なぶら   おしまのことだ。人一倍勘の鋭いお前が女をのぼせ上がらせといて、

気がつかなかった筈はねえ。だが、お前は牛尾の又兵衛をお縄にできれば道具に使った女賊の一匹ぐれえものの数じゃなかった筈だ。どうだい?」

金三郎「そりゃあ女も納得ずくのこと。決着は着いております。」

平蔵「なあ松浪。どんな遺恨より深いのは女の恨みだ。

なあ、身軽になった今も何でおしまを拒むんだい?

お前は今はただの居酒屋の亭主だ。その身を縛るものは何もない。何故あの女を受け容れてやらぬ?」

金三郎「ペテンに掛けた役人と掛けられた女盗人と、いい取り組みという訳ですかい?」

平蔵「成り行きというもの、それが浮世だ。味なもんじゃねえか。」

金三郎「お頭様らしくないことを承ります。

男と女の係わり合いは人間大切なもの。それをおもちゃにする。

その報いは生涯付いてまわりましょう。

拘(こだわ)りもなしに共暮らしはできません。」

平蔵「理屈だな。だが、それじゃ身も蓋もない。話にならねえ。」

金三郎「そうです。話になりません。」

平蔵「俺の言うのは理屈じゃあねえ。」

金三郎「できません。私にはできません。それがし、それがしはお頭のお指図は受けません!」

沢田同心「松浪!言葉が過ぎるぞ!」

平蔵「よし。引き下がろう。

ただ一つだけ明かしておく。

お前が火付盗賊改方の同心をお役御免になるってことは、あのおしまにはとうから見えていたんだ。分かるか?

そうだ。おめえがおしまと関わっていたのを密告したのはあの女だ。」

金三郎「ばかな!?

平蔵「重宝なもんだな。盗人のうわまえをはねるようなことをしたのはお前だぞ。

それでもおしまに難癖を付けれるのか?

馬鹿な女にゃ法も埒も世間のしきたりも眼中にゃねえ。

身も心も燃え尽きるまで恋遂げる。憐れとは思わねえか?」

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牛尾の又兵衛の残党は、松浪の配下であったませの七兵衛宅を襲い、七兵衛を殺害し、さらにおしまを拉致する。

松浪は、火盗改方の同心らが制するのも聞かず、投獄されている又兵衛の手下たちを拷問攻めにし、七兵衛を襲った残党らの居場所を聞き出すと、大刀を抱えて押し掛ける。

残党らをことごとく召し捕った後、金三郎はおしまが地下室に閉じ込められていることを知らされると、「ここからは自分でやる!」と叫び、佐嶋ら火盗改方たちを遠ざけ、おしまのもとへ走り下る。おしまの身体をいとおしく抱く。

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平蔵(お役御免の身で出すぎた真似をするなと怒鳴る佐嶋同心に向かって)「放っておけ。恋は思案の外だ。」

第18話 忠吾なみだ雨  ☆☆☆(忠吾の軽薄さを勘案しても感動できる。忠吾しっかりしろ!)

おゆき 喜多嶋舞、  木村忠吾 尾美としのり

鈴鹿の又兵衛 高松英郎

佐嶋「世の中平穏になると忠吾の外回りが増える。」

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忠吾「では、では、では、おゆきは鈴鹿の又兵衛の?」

平蔵「娘よ。分かったか。」

忠吾「はい。」

平蔵「どうだ、忠吾。おゆきを思い切れるか?

はー、どうしても思い切れぬというなら俺ももう一度考えてみよう。

おゆきは己の父親が盗賊とは知らんからな。」

忠吾「それは...」

平蔵「どうする?」

忠吾「これは...」

平蔵「これは?」

忠吾「如何に何でも違い過ぎます。」

平蔵「というと?」

忠吾「盗賊改めと盗賊の娘、これは理に合いませぬ。」

平蔵「うーむ。お前思ったより大人だのう。」

忠吾「諦めました。」

平蔵「うむ。まあ、それは、諦めてくれるに如くはないが...

良いのか、それで?」

忠吾「違い過ぎます。何事も隠し抜いておゆきと夫婦になったとしても、私は知っており

ますし、又兵衛が処刑ともなれば、とても隠し抜けるものでもございますまい。」

平蔵「よくそこへ気が付いた。では、諦めい!」

忠吾「はっ。」

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忠吾「命懸け。そうだよなぁ。

おゆきはいい女だった。色が白くて可愛かった。

俺はもう二度とあのような女と巡り会うことはないだろうよ。

おゆき、勘弁してくれよ。

俺は駄目な男だ。

本当は侍なんかやめてお前のとこに飛んで行きたい。

だが、駄目だ。

勘弁してくれ。おゆき。」(泣く。ひたすらに。)

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鬼平犯科帳シリーズⅢ 夜鷹殺し&隠居金七百両

鬼平犯科帳シリーズⅢ 夜鷹殺し&隠居金七百両

第11話 夜鷹殺し

風車のおつね(夜鷹) 野平ゆき、  川田長兵衛 中野誠也

平蔵「彦十は善人だ。」

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平蔵「(川田長兵衛は)老いて外道に落ちた。」

  「人の心っていうのは何が潜んでいるか知れやしねえ。ちょいと歯車が食い違えば俺だってそうしたことをするかもしれねえ。怖ぇぞう。俺も男だからな。」

**************

彦十「風車のおつねは酔うといつもこの唄を唄ってましたよ。

   土手の芝、人に踏まれて一度は枯れた。

   露の情けで蘇える。」

第12話 隠居金七百両

平蔵の息子辰蔵の悩みと苦労と恋と。

立派な父親を持っての、体面や世間体、己の臆病心など。

**************

平蔵「褒美に一つ稽古をしてやろう。」

辰蔵「えっ!?何の稽古で?」

平蔵「木刀を持って庭へ出よ。」

辰蔵「母上!」(助けを求める。)

久栄「もっとおやりなさいませ。

もっと、もっと。

息の根が絶えても構いませぬ。

さ、もっと!」

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鬼平犯科帳シリーズⅢ 谷中いろは茶屋&妙義の團衛門

鬼平犯科帳シリーズⅢ 谷中いろは茶屋&妙義の團衛門

第7話 谷中いろは茶屋

お松 杉田かおる、  墓火の秀五郎 長門裕之

平蔵「物事には切り上げ時ということがある。分かるな?」

忠吾「はい。分かっております。」

平蔵「おめえ、男か?」

忠吾「はい?」

平蔵「男から切り上げるときはきっぱり切り上げるものだ。いいか?」

忠吾「はい。」

平蔵「身にしみてよーく考えてみろ。用件はそれだけだ。下がってよし。」

忠吾「はい、下がります。」

************

佐嶋「いいかげんに頭を冷やせ。馬鹿馬鹿しいにもほどがある。木村忠吾は芝明神前の名物うさぎ饅頭そっくりだ。いや顔つきばかりではない。甘味もほどほど塩味もほどほど。いくつ食べても腹にたまらず、何より一個一文は安い。だから同輩たちにうさ忠うさ忠と言われている。毒にも薬にもならぬ穀潰しだということだ。恥を知れ、恥を!」

忠吾「全く以って仰せのとおり。」

佐嶋「貴様悔しくないのか?」

忠吾「は。ただただ慙愧の至りで。」

佐嶋「しっかりいたせ。どじばかり踏んでるとお頭の面目にも関わる。しっかりしろ、しっかり。」

忠吾「はい。」

**************

忠吾「俺って駄目な奴だ。何て駄目なんだ。」

お松「また始まった。忠さんの十八番。」

忠吾「うーん、もうこれっきりだ。これ以上続くもんじゃない。もう駄目だ。八方ふさがりぺしゃんこだ。」

****************

忠吾「お頭お許しください。それがし実はあの晩市中見回りをしていたのではございません。本当はいろは茶屋の馴染みの女に会いたくて会いたくて・・・」

平蔵「お松とか言う女か?若くて気立てもよいそうだな。」

忠吾「何というか。誠に以って。」

平蔵「ハッハッハッハ。まあ、人間というものはな、遊びながら働く生き物だ。良い事をしながら知らぬ間に悪いことをやってのける。悪事を働きながら知らず知らずに善事を行う。まあ、それが人間というものだ、なあ。こたびの一件はわし一人の胸に納めておこう、なあ。ただし、二度と許さんぞ!」

忠吾「申し訳ございませんでした。木村忠吾天地神明に掛けてあのような場所にはもう二度と再び決して足を踏み入れませぬ。今度こそはっきりと目が覚めました。」

平蔵「おいおい。いいのかいそんなこと言って?」

忠吾「いえ、お言葉ですが、もう金輪際、神掛けてどんなことがあっても。」

平蔵、やや困ったような苦々しい表情で平伏した忠吾を見ている。(こやつ俺の言ってる意味を理解していないとでもいうように)

***********

忠吾「俺という奴は!駄目だ駄目だ、全く。何と言う・・・。駄目だもう。」

お松に抱きつく。

第8話 妙義の團衛門

團衛門 財津一郎

平蔵「相撲でもがっぷり四つになったら先に仕掛けた方が分が悪い。奴ほどしたたかな男を捕まえるにはじっくり構えなくてはならん。天野、ここはお互い我慢比べよ。」

團衛門は好色で女好きであったことから、火盗改方は團衛門がかって江戸で馴染みにしていた女を監視し続けていた。久方ぶりに江戸に足を踏み入れた段衛門は手下が忠告するのを聞かず、その女に会いにきた所で平蔵の網に掛かった。

**********

財津一郎は自分の故郷の出身であり熊本県人だ。なんとそれが妙義の團衛門というから群馬県出身の盗賊を演じた。自分も熊本に生まれ、今は群馬に家を持つ身であれば、それだけでこの一話には興味を持った。しかも、團衛門はなかなかの盗賊で、長谷川平蔵の鼻を明かしてのける奴である。このような盗賊は滅多に登場しない。

が、しかし、年甲斐も無く比類なき色好みの性質を見透かされて終に平蔵に捕まってしまう。興味ある役者登場にして、関心を持って鑑賞した一編のこの落ちは実に残念であった。

「全く以って、團衛門よ!恥を知れ!」の淡い思いである。

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鬼平犯科帳シリーズⅡ_密告&夜狐

松竹ホームビデオ シリーズⅡ、第13話&第14話。

第13話 密告

伏屋の紋蔵(横山小平太) 沖田浩之、 お百 光本幸子

平蔵「お百はほんの少しの情けを忘れずに...」

平蔵「お百はよっぽど紋蔵を可愛がって育てたのであろう。」

*************

横山小平太はかって本所の銕と呼ばれた頃の平蔵と双極をなした若侍の暴れん坊。

紋蔵は小平太がお百を手篭めにして産ませた子だった。

かって平蔵は小平太を懲らしめたことがあったが、小平太はその後もともとから患っていた労咳で死んでしまった。

***************************************

第14話 夜狐

夜狐の弥吉(江藤潤)、おやす(芦川よしみ)

井坂孫兵衛(沢竜二)、近藤監物(根上淳)、満寿子(佐野アツ子)

「阿呆烏」とは、隠し売女の斡旋を稼業とする男。弥吉は阿呆烏として平蔵に接近して来てこの物語は始まる。

***********

<ラストシーン>おやすが火付盗賊改方の役宅に出向いて来て大声で亭主弥吉の減刑を懇願して居る。

平蔵「久栄、お前あれを聞いてどう思う。」

久栄「はい。近藤様の奥方様は武家の妻女でありながら鬼のような女子。それに引き換え、あの町の女房は温かい情けを持っておりますように....」

平蔵「そなたもそう思うか。」

久栄「はい。あれが本当の夫婦というものでござりましょう。あの女房は連れ合いがどんなに落ちぶれても、きっと、きっと付いて行きます。」

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鬼平犯科帳シリーズⅢ_熊五郎の顔&いろおとこ

松竹ホームビデオ。シリーズⅢ、第5話&第6話。

第5話 熊五郎の顔

須走りの熊五郎及び信太郎(高橋長英、一人二役)、お延(のぶ)(音無美紀子)

お延はかって江戸で平蔵の密偵だった夫を須走りの熊五郎に殺害され、今は息子を育てながら熊谷宿近くで茶店を営んでいた。

お延は行商の途中で腹痛で倒れた信太郎を自分の茶店に泊まらせ医者を呼んで手当てしてもらい看病する。ところが、信太郎はお延に好意を持ち、二人は結ばれてしまう。

平蔵たちは須走りの熊五郎が仲間を救出するために熊谷宿近くで現れるだろうと推理し、熊五郎のお手配人相書きを持って熊谷付近まで出役してくる。

久しぶりだとお延の茶屋に焼香に訪れた平蔵は、お延に亭主の敵は必ず捕まえると約束する。そして平蔵一行が帰りしな、木村忠吾が忘れそうになった人相書きをお延に手渡した。

平蔵らが立ち去った後、仏壇の前で亡き亭主に報告するように一人語りしていたお延であったが、手渡された人相書きを見て驚愕する。

自分が結ばれ夫婦約束までして今はその帰りを待ち焦がれているその男の顔が人相書きに描かれていたのだ。

お延は身悶えて、自分の行動を悔いるようであり、悔しさに気を震わすようであった。

平蔵たちは見事に熊五郎をお縄にし、籐丸籠に閉じ込めて江戸へと引き連れて去っていった。お延がその籐丸籠の中で見た男の顔はまさしくあの信太郎であった。

・・・・・・・・・・・・・

それから幾月かが経った頃、突然信太郎がお延の前に現れた。狐につままれたかのようなお延。しかし、それがまぎれも無い信太郎だと分かると、抑えきれない嬉しさが湧き上がってくるのだった。

さて、熊五郎と信太郎とはどこがどう違った人物なのか???

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第6話 いろおとこ

平蔵「たわけ!お前も相当な色男だな。色男なら色男らしく責めを取れ!

   早く妻女(兄の妻)と夫婦になってやれ。」

  「お前は物事を一途に考え過ぎるから抜き差しならなくなって実の処置を誤るんだい。不幸にして死んだあのお節という女もそうだ。おのれの定めに逆らって懸命に生きようとしたのであろう。」

  「お前な、世の中もうちょっと気楽に生きてみろ。流されて生きることも大切だぞ。」

*************

忠吾「要領の悪い男に要領の悪い女が惚れちまったんだなぁ。今度生まれてくるときは俺みたいに目先が利いて身持ちの固い男に惚れることよ。」

おまさ「でも、それじゃつまらないんですよ。女心はね。」

忠吾「???」

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鬼平犯科帳シリーズⅢ_馴馬の三蔵&火つけ船頭

松竹ホームビデオ。シリーズⅢ、第3話&第4話。

第3話 馴馬の三蔵

小房の粂八「長谷川様、先日万亀の舟着きでお目に掛かりましたときあっしめは...」

平蔵「おうおうおうおうおう。粂八、おめえと馴馬の三蔵の間に何があったか、そいつぁ知らねぇ。だがな、粂、いくら言葉を重ねてみても人の心の奥までは語り尽くせねぇもんだ。そいつを口に出しちゃあ...へっへっへ、味無い、味無い。はっはっはっはっは。」

粂八(庭に両手をついて俯いたまま男泣きする。)

*****

馴馬の三蔵(金田喜久男) の女房 おみね-瀬田の方衛門(高野真二)の元女

粂八の恋人 お紋(伊藤美由紀)-香具師鮫洲の市兵衛(あごに傷がある)の元女

粂八はずーっと鮫洲の市兵衛をお紋の仇と思っていたが、ある日偶然馴馬の三蔵を目撃してその行動を見守っているうちに三蔵から真実を聞かされる。

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第4話 火つけ船頭

常吉(下條アトム)、おさき(竹井みどり)、西村虎次郎(伊藤敏八)、久助(北見治一)

彦十「(常吉は)まともな気のいい奴で、本当に悪い奴だったら火つけを面白がるようなそんな馬鹿な真似はしませんや。全く長谷川様は鬼平どころか仏の平蔵様だ。」

平蔵「へっへっへ。とっつあん、いくら言っても何にもでないよ。はっはっは。」

佐島「彦十、お頭は伊達にお目こぼしをなさっているのではないぞ。」

彦十「へっ?!」

佐島「寄せ場送りを裁断されたときもひどく悩まれた。慈悲が仇(あだ)にならなきゃ良いと。」

彦十「慈悲が仇に?」

佐島「そうだ。もしや、もしやしてもう一度奴が火着けをしたら、今度こそ極刑の定法を、  そればかりではない、お頭はその責めを負うてお腹を召されればならんのだ。」

彦十「お腹を!」

平蔵「ハハハハハ、どうも難しい話になっちまったな。ハハハ。おい佐島、彦十、今宵はもう仕事のことは忘れて、ゆっくりと酒を飲み交わそうじゃあねえか。」

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鬼平犯科帳シリーズⅢ_鯉肝のお里&剣客

松竹HV鑑賞。シリーズⅢに突入。第1話&第2話。

第1話 鯉肝のお里

長虫の松五郎 垂水悟郎、 鯉肝のお里 野川由美子

鯉肝は、調理中に間違って潰したりするとその苦味(?)が肉に移ってとれなくなってしまうところから、結局「煮ても焼いても食えない」の代名詞とのこと。

松五郎はかって一人働きの盗賊であったが、今は足を洗って煙管職人で生計を立てている。お里は松五郎をお父っあんと呼んでその家に同居しているが、松五郎はおじに当たるらしい。お里は盗賊の引き込みとして働き大金を手に入れるときの快感が忘れられない女賊であるが、松五郎は何とか足を洗わせて二人で暮らす生活を望んでいる。

しかし、お里は男や博打にと自堕落な生活を続けるばかりだった。そうしているうちにお里の頭が手下を通じて松五郎に接触を図って来てから、二人は事件に巻き込まれていく。松五郎はお里に足を洗わせることを条件に、盗賊が依頼した蝋型から蔵の鍵を製作する仕事を引き受ける。

密偵おまさ、彦十、伊三次、五郎蔵らの活躍で早くからお里に目をつけ、松五郎の所在を掴んでいた平蔵たちは、未然に盗賊たちの盗人宿を見つけ一網打尽にする。お里は投獄され、平蔵は島流しになることを告げる。一方、松五郎は逃亡する様子も見せないことから平蔵はお構い無しとする。平蔵はお里に「松五郎はいつまでもお前の帰りを待ってるだろうよ。」と言う。

お里「長谷川様。こう申しちゃ何でございますが...

   底の知れないお方ですね、あなた様は。

   鯉肝とか呼ばれております私などより、よっぽど人が悪い。」

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第2話 剣客

石坂太四郎 中尾彬、 松尾喜兵衛 丘路千、 酒井同心 勝野洋、

定八 石橋正次、 留吉 江幡高志、 市兵衛 大橋壮多

木村忠吾と市中見回り中であった平蔵は、着物の袖に血を付けた浪人が路地から突然走り出てきたのを見逃さず、忠吾に後をつけさせる。一方、平蔵は浪人が出てきた路地へ入って辺りを調べるが特に変わった様子は見つけられなかった。

松尾喜兵衛は酒井同心の剣の先生であるが、最近は病気がちである。酒井は非番の日に師の見舞いに訪れるところを奇遇にも路地を調査中であった平蔵と出会い、事情を聞いて同行を望んだ平蔵と共に師の家を訪れる。しかし、なんと松尾は血を流し死んでいた。

石坂太四郎はかって仕官の話が掛かった腕試しの御前試合で松尾と戦って破れ、そこから人生がうまくいかなくなったと、松尾を怨んでいた。今は盗賊の用心棒をやっている。

平蔵は密偵おまさ、彦十それにかって尾行を撒かれた忠吾たちの手柄により石坂の居所を突き止める。酒井は平蔵にそのことを知らされ、松尾に変装した姿で石坂の前に現れて見せると、石坂は松尾が生きていたものと勘違いして再び松尾の居宅を襲う。

しかし、そこには師の敵を討とうと待ち構えていた酒井同心が縁側に立ち現れた。酒井は剣術使いとして並々ならぬ腕を持っている。同じくその場に待ち構えていた平蔵は二人の対峙する様子を、石坂の斜め右後ろの庭の物陰から見守っている。庭に立ち、見慣れない逆八双に構えた石坂の気がいよいよ昂まり踏み込もうとする刹那であった、平蔵は自分の大刀の鯉口を切った。その殺気に石坂は一瞬気を取られたが、左から右へと払う凄まじい一撃を酒井に向けて放った。鞘に大刀を納めたまま構えていた酒井は刀を腰に差したまま跳躍してこれをかわして庭へ降り立つやいなや振り向きざまに右上から左下へと大刀一閃する。その刃先は酒井の方へ向きなおした石坂の身体に触れたのかどうかすら分からなかった。が、酒井の刀は石坂の左肩から右脇腹へと斬ったようである。石坂が前のめりに倒れた。

平蔵は酒井に駆け寄り見事であったと言う。そしてあの太刀筋は何というものかと問うが、片膝を突いて平蔵に対した酒井は「ご助成のお陰で師の敵が討てました。ただ無心のうちに出たものです。」と応える。平蔵は「それでよい。」と応じた。

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剣客(剣術使い)とはいかなる人間であろうか?優れた剣の腕があってもそれをコントロールできる精神が無いと、人生は拓けない。そのような人間は現代の自分の回りにもいろいろいるように思う。腕が無い自分から見ると実にもったいない話だと思う。

一方、精神ばかりを言って腕を磨かぬ自分も情けない奴だと思うのである。今日も酒でも飲むか...

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鬼平犯科帳シリーズⅡ_春の淡雪&下段の剣

松竹ホームビデオ鑑賞。シリーズⅡ、第17話&第18話。

第17話 春の淡雪

大島勇五郎 中村浩太郎、 雪崩の清松 平泉成、 平瀬の又吉 森下哲夫、 日野の銀太郎 椎谷建治

平蔵は、天野同心が「どこか遠くの空から降ってきたような人物」と評した、若き同心大島と語り合ったとき、同様に大島が手下として働かせている人間の前歴管理等に関して考え方の違いを感じる。

その内に大島は手下として使っていた清松から金を借りた義理から、その役職を利用されて企みの一端を担がされる羽目に陥る。

清松は店の主人となっている盗賊の頭池田屋五平の娘を誘拐し、一千両と引き換えるという策略を実行する。

平蔵は、大島の素行を見張らせると共に、少女の誘拐事件から繋がった池田屋五平の線を追っていくうちに事件の全貌に行き着く。

平蔵は、池田屋五平の供として娘と金との交換場所に赴く。そして、娘を取り戻したところで正体を明かす。大島は驚愕する。終には大島は腹を切り、平蔵に介錯を頼む。

平蔵は盗賊改方と密偵の限られた面々だけにその事実を知る者を限定した。そして、大島は一人盗賊たちの中に潜入捜査をしていたが手柄を上げる一方で殉職したこととする。

平蔵「わしは本当にいい仲間を持った。」

庭に降る春の淡雪を眺めながら「この雪はすぐに解けるだろう。しかしその雪が根雪になって人を困らすこともある。雪というのは不思議なもんだ。」

第18話 下段の剣

松岡重兵衛(松田十五郎:盗人の用心棒) 江原真二郎、牛久の小助 井上昭文、 長谷川辰蔵 長尾豪二郎、不破の惣七(錠前破り:盗人のまた盗人) 宮内洋

松岡重兵衛は若き日の平蔵が「本所の銕」と呼ばれていた頃、剣の修行で知り合うとともに、平蔵が若気の至りで五十両の兼ね欲しさに盗賊の手伝いをしようとしたところを思いとどまらせた恩人であった。

平蔵の息子辰蔵は、松田十五郎と名乗り、自分が通う道場で他流試合を行い勝利した重兵衛が見せた見事な下段の剣の技が忘れられなくなり、それを破ろうと研究と工夫を凝らすようになる。

いつか重兵衛の居所を突き止めた辰蔵は平蔵の息子であることを明かして、一手指南を願い出て立ち会う。辰蔵の木刀をあっさりと撃ち飛ばしながらも、下段に対し下段で対した辰蔵に向かって、重兵衛は言う。

「長谷川平蔵殿は良い跡取りをお持ちになった。」

********************

重兵衛「俺も歳だ。人を斬るのがだんだんと億劫になった。若い頃は人を斬るのが面白かった。ざまを見ろという気がどこかにあった。しかし、人より強くなったところで、所詮それが何だ?一体何の役に立った?人殺しだよ。人殺しだ。俺の剣は人殺しより他に何の役にも立たなかった。俺という一人のひねくれ者すら救うことができなかった。

俺の剣などはつまりはそれくらいの代物だ。今更盗人の用心棒はごめんだなどと、そんな気取ったこと言えた義理ではない。けどな、小助、俺は本当に人を斬るのが嫌になったんだ。

死んでいった奴らのあの大きな目が、日が経つに連れて頭に浮かんでくる。それも一人ではない。一人、二人、三人、四人...、男も女も若者も年寄りも...

だからな小助、俺は早いとこボケて死んでしまいたいのよ。それだけが今の俺の楽しみなのだよ。ハッハッハッハ。」

*******************

絶命寸前、瀕死の重兵衛(辰蔵に看取られながら)「下段の剣は、俺の剣は、捨ててくれ。所詮あれは外道の剣だ。盗人の剣だ。忘れろ!本所の銕!」

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鬼平犯科帳シリーズⅡ_四人目の女房&雨乞い庄右衛門

松竹ホームビデオ鑑賞。シリーズⅡ、第10話、第11話。

第10話 四人目の女房

まぼろし小僧 伊之助 西岡徳馬、おふさ 森口瑤子、 盗賊頭 利三郎 中田浩二、 仁吉 花上晃

おふさは伊之助の江戸における女房で、四人目となる女房だった。伊之助は盗賊の仕事のたびに住む土地を変え、その土地ごとに女房を貰っていた。次のつとめに向かうときには女房は捨てていくのだったが、おふさだけには心底惚れていた。そのためにいつか足を洗ってでも江戸に帰る決心を持っていた。

しかし、伊之助が出て行った後、生活のために女中働きを始めたおふさは、皮肉なことに伊之助たちの頭である利三郎に目をつけられ、騙されながら金で身体を買われてしまった。おふさの評判を知った仲間の仁吉はおふさの美しさにいつかものにしてやろうとしていたが、ある日おふさを待ち伏せ寺の敷地内で思いを遂げようとするが、おふさの激しい抵抗にあい、かっとなって首を絞めてしまう。おふさが死んだと思った仁吉はその場から立ち去ろうとするが、途中で木村忠吾と出会いひと揉み合いとなって、逃げ去る。不審に思った忠吾が男の走ってきた方向へ向かってみると大きな木の根元に横たわったおふさの姿を発見する。

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仁吉「その女を最初に手篭めなさったのがお頭さ。

(中略)そこが女の分からねぇところよ。女中を辞めて何になったと思う。通い小町よ。それも一晩五両以下じゃうんと言わねえってんだから。えーっ、あきれたもんじゃねえか。

客は全部一編こっきり。百両積もうが二百両出そうが同じ客は金輪際取らねえ。

誰か分かれた男に義理立てしてたんだよな。」

伊之助「その女の名は?」

仁吉「おふさ、とか言ってたな。」

伊之助「間違げぇねえか?」

仁吉「女中のときもそうだったって、お頭が言ってなすった。本名だなありゃ。」

伊之助はこの直後仁吉を殺害する。そして頭利三郎が居るという江戸へ向かう。

利三郎が盗人宿に戻ってきたところに挨拶に出た伊三郎はそこで利三郎の背中と腹に何度も匕首を突き立てる。しかし、伊之助も手下達にめった刺しにされる。

そこへ踏み込んできたのが平蔵たち火盗改方だった。忠吾に抱き起こされた伊之助は懐から金を出して、「これでおふさの墓を建てて供養してほしい。」と頼む。平蔵は忠吾に目配せする。忠吾は「分かった。」と言う。伊之助は安心したように息を引き取る。

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おふさは生きていた。そして伊之助の帰りを待ちながら通い小町をしているのだった。

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仕事の義理と愛する女を思う人情とがぶつかり合って、伊之助は結局愛する女を思ってやり場の無い怒りと諦めを持ってお頭利三郎殺害に向かい殺される。

しかし、利三郎はおふさと伊之助のことは何も知らなかったようである。また、知っていたとしても、盗賊の心得として女に入れ込んではならないというのが決まりだったのだろう。

伊之助にとって、おふさが全てを投げ打ってでも悔いは無いほどに惚れ込む対象となったことが、この悲劇の始まりであろう。言い換えればおふさの美貌が男達の運命を狂わし始めたのである。

ここにも女の不可思議さと恐さがテーマとなって描かれている。男はそれに翻弄される愚かな生き物であることも。

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第11話 雨乞い庄右衛門

庄右衛門 田村高廣

田村高廣迫真の演技が観ものである。

病魔に犯されながらも死ぬまでに跡をきれいにしておきたいとして、かっての部下の裏切り者を皆殺しにしようと闘うシーンでの姿、表情にはぞっとするものがある。

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庄右衛門(水車の上で日がな一日足踏みをして川の水を田畑に送る男の姿を眺めていて)「ああして暮らすのも人の一生。」

と岸井左馬之介に語る。左馬之介はこの庄右衛門に妙に惹き付けられる。

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江戸までの道中で一緒の宿に泊まったときに左馬之介がいう台詞。

左馬之介「最後の一念に善悪の線を引く。」(たしか?)

庄右衛門はしみじみとこのことばを繰り返してみて、何かを感じるような風情を見せる。

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鬼平犯科帳シリーズⅡ_霧の朝&白と黒

松竹ホームビデオ鑑賞。シリーズⅡ、第15話、第16話。

第15話 霧の朝

桶屋の富蔵 平田満、 おろく 二木てるみ、 吉造 石丸謙二郎、 おきね 小鹿みき、井関録之助 夏八木勲

吉造とおきねは生みの親、富蔵とおろくは育ての親。

幸太郎は生れ落ちてすぐに、おろくが貰い受けた子である。

ある日、幸太郎がかどわかしに遭う。

御用の仕事をしている富蔵に捕まり磔にされた盗賊の頭の恨みを晴らそうとする、その女房と盗賊一味の仕業であった。

富蔵には子供を攫ったとの手紙が届く。その事件は平蔵の知るところとなり、火盗改方も子供の探索を行うが、行方は知れなかった。

一方、一度は手放したものの実の子幸太郎がいとおしいおきねは、ある日ある家の二階もの干し場に出ていた幸太郎を偶然見かける。おろくは吉造を伴いその家を訪ねるが、そこは件の盗賊たちの盗人宿だった。富蔵はつかまり、盗賊たちは幸太郎ともども殺害しようとする。

旅から久しぶりに古巣の江戸に戻ってきた録之助はかって自分が住まいにしていた小屋に吉造が住み込んでいたことを知る。吉造が盗人宿に捕まったその日、偶然その宿のすぐそばの蕎麦屋で飯を食っててできた録之助は、吉造が家に入ったまま出てこないのを心配してうろたえているおきねを見つけて事情を知る。そのまま盗人宿とも知らずに乗り込んだ録之助は大勢の怪しい風体の男達を見て「火盗改方の縁の者だ!」と一喝する。盗賊の頭の女房は「こいつも敵(かたき)だ!やっちまえ!」と叫び、録之助は盗賊たちと乱闘することになる。

おきねは富蔵と共に家の外に出て「助けて!」と大声で叫ぶ。その声を聞きつけた探索中の沢田小平次同心たち火盗改方の面々が飛び込んで来て、録之助と会って、一緒に盗賊を退治する。その騒ぎの間に、おきねと吉造は幸太郎をこっそり連れ去り、行方を晦ます。

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おきねと吉造はそれから約一月ほど逃亡生活を続けながらも幸太郎と一緒に暮らせることで、生活のはりを感じていた。しかし、幸太郎はおろくたちの元へ帰りたいと言う。おきねも自分たちが幸太郎に満足に食べさせられないことやこれから寒くなることを思うと、富蔵おろく夫婦に返してやった方が良いんじゃないかと吉造に言う。そこにおきねにつわりの症状が出る。おきねは新しい子を腹に宿していたのである。

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霧の深い朝、目覚めて井戸端にでてきたおろくに突然幸太郎が「おっかぁ!」と呼びかけて駆け寄ってきた。おろくはしっかり抱きしめて家の中に入ると「誰かがそこまで連れて来たのかい?」と尋ねる。

そのときおきね吉造はおろくが幸太郎を家の中に連れて入るのを見守っていた。さらに、その様子を沢田同心が見ていた。沢田はおきね吉造の方へ踏み出そうとする。が、「待て!」と平蔵が現れる。そのまま見逃してやるのだった。

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タイトルの「霧の朝」が何を象徴しているのか?そこが本編の味わい方のポイントだろうかと思う。「霧」とは親子の血のつながりや絆や愛情の諸々を象徴するものだろうか。また「朝」はこれからのそれぞれの新たな人生の旅立ちを象徴しているのではないだろうか。

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第16話 白と黒

もんどりの亀太郎 ベンガル、 お今(いま) あべ静江、 お紋 浜田朱里

平蔵「奴らは一寸先は闇の不安な毎日を送っているから妙に信心深いところがある。なあ、粂!」

粂八「盗人の心の底は地獄でございます。赤い舌出しての神信心。まぁ、行って見りゃあ罰当たりな話でございますが。」

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お今とお紋の姉妹は焼野の源蔵(?)の娘で、その父の前の頭だった盗賊の金を一人で横取りしたもんどりの亀太郎から、父のためにその金を取り戻そうとする。

二人は亀太郎に接近し、女房と妾という好条件を提示して、亀太郎の家に住み着き、隙を見つけては金の隠し場所を探す。しかし、それはなかなか見つけられない。

一方、亀太郎は姉妹のたくらみには全く気づいていない。亀太郎はかって火盗改方の平蔵の出役を伴う踏み込み時に、平蔵の一太刀を左の二の腕に受けながらも逃走した盗賊である。火盗改方はその行方を探索していた。中元部屋の博打場に出入りしているところから粂八、沢田同心に目をつけられ尾行される。しかしこの時も二人をまいて逃げおおせる。しかし、亀太郎は自分の身辺に手が回りつつあり危うくなってきたことに気づき、隠し金を持って京大阪辺りへ逃げようと考える。妹のお紋に惚れた亀太郎はその計画をお紋に告げる。お紋は金を見せろとせがみ、亀太郎は居間の床板を開け、床下の地中に甕に入れて埋めておいた金を取り出してみせる。しかし、お今は邪魔だから殺すと言う。そこにお今が野良仕事から帰ってくる。亀太郎はお今の背後に回りその首を右腕一本で絞めて殺そうとする。しかし、お紋が漬物石で亀太郎の後頭部に一撃を食らわし、亀太郎は気絶する。姉妹は亀太郎を縛り上げ、隠し金を奪って大八車に乗せて父親の住む家まで意気揚々と帰ってくる。父源蔵は小便を漏らすほど喜んだが、その後卒中で死んでしまう。喜びの中での死であり極楽往生だったなと後に平蔵が語る。

火盗改方とおまさの探索と手柄により、やがて亀太郎とお今お紋姉妹は捕まり火盗改方の牢に投獄される。亀太郎は信心深い奴で、頭を丸め一日中色即是空...を唱えるようになっていた。一方、お今お紋姉妹は投獄されていながらも笑って明るい日々を過ごしていた。やがては平蔵の仕置きが下されるのであろうが...

****************

本編のタイトルが「白と黒」というのが難題である。さて、白と黒とは何を意味するかである。

まずは、亀太郎とお今お紋姉妹の騙し合いから、男と女あるいはオセロゲームのような白と黒の意味だろうか。

あるいは盗人の心の中の、神をも怖れぬ悪行の一方で妙に信心深いところもあると言う二面性も言うのだろう。

そして最も伝えたかったのは劇中で二度ほど(?)平蔵がおまさや久栄に対して繰り返ししみじみつぶやく「女は恐い。」であろう。

「女とは可愛い反面、とても恐いものでもある。」とは、平蔵の心の底にしっかり刻みこまれているようだ。

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鬼平犯科帳シリーズⅡ_五年目の客&雨引の文五郎

松竹ホームビデオ鑑賞。シリーズ2、第5話、第6話。

第5話 五年目の客

丹波屋の女房お吉はいろいろな苦労の末に今幸せに暮らしているが、5年前に女郎買いに来た盗賊の男江口の音吉から預かった金50両を元手に現在に至ったという過去がある。ある日その盗賊が丹波屋の泊り客として現れたことから、過去の因縁から逃れようともがくこととなった。音吉はすっかり変わったお吉に昔品川宿で女郎をしていた女だとは気づいていなかったが、お吉が50両を返すから全てなかったことにしてくれと申し出たことから思い出す。お吉はいよいよ追い込まれ、挑みかかろうとする音吉を拒絶しようとして髪にさしていたかんざしを抜いて抵抗しようとするが、弾みで音吉の胸を突き刺してしまい、音吉は絶命してしまう。

お吉と音吉をマークしていた平蔵たちは音吉の仲間の盗賊たちが丹波屋を襲うことを予測し待ち構えて一網打尽にする。

お白砂に引き出されたお吉に対し、平蔵は、

「おめえは悪い夢を見ていたんだよ。丹波屋を襲った盗賊はみんな成敗され死んでしまった。丹波屋の女将が盗賊なんかと付き合いがあるわけが無い。」

とお裁きを下す。しかし、お吉は何故か喜びはせず、憂いに沈んだ表情のままだった。

左馬之介「花も実もある見事なお裁き。」

左馬之介「女と言うものは昔も行く末もなく、今の我が身があるだけ。テツさん、おめえさん、いつかそう言ったことがあるな。」

平蔵「あー、そう言ったが。」

佐嶋「丹波屋の女房お吉が行方知れずとなりました。」

お吉(喜蝶) 波乃久里子、 江口の音吉 中山仁、 

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第6話 雨引の文五郎

雨引の文五郎 目黒祐樹、五丁の勘兵衛 浜村純、 落針の彦蔵 樋浦勉、 伊助 関根大学

平蔵「良いか、役目中酒を飲もうが女を抱こうが、そりゃ一向に構わぬ。

だがな、網を張って待ち受けた盗賊の、しかも頭を取り逃がすとは何事だ!

今後このようなことがあれば、十手を取り上げこの役宅から放り出す。

両名共その覚悟でおれ!」(両名とは、木村忠吾と沢田同心である)

平蔵の仕事に関するポリシーが語られる珍しい台詞だと思う。公務にも拘わらず「酒も女も構わぬ。」と言い切るところが凄い。しかし仕事の結果については厳しいことが分かる。

なお、平蔵は昼間でも良く酒を飲む。美味い物を食って気の合う奴と酒を酌み交わすのが一番と言う。また、左馬之介によれば、「テツさんは昔さんざ遊んだお陰で今は女にはあまり興味が無い。」ときてる。

その間にも密偵たちが働き、有益な情報を運んでくる。

本編では密偵の一人五丁の勘兵衛の生き様に係るポリシー、雨引の文五郎の盗みの三つの掟を守るポリシーが主題となっている。

平蔵は信念を持って生きる人間には好意を持つ男である。勘兵衛、文五郎は何れも己の盗賊としてのプライドと意地を貫くが、平蔵はそれらを咎めることなく受け容れる。

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麻生首相が定額給付金問題で、1億円も収入がある人間がそれを受け取らないというのは「矜持(プライド)」の問題だと国会で答弁したそうだが、「矜持」とはそんな金銭感覚がきれいかどうかという問題とは少しばかり違うのではとふと思った。

誤読の首相が「矜持」などという難しい言葉を使用したというのに驚いてこちらも辞書を引いて意味を確認したが、今回の用法はあまり適切、適当ではないように感じる。

尤も、それ以前に、国の政策を個人の判断に委ねるというとんでもない議論になっていること事態の滑稽さの方が大きな問題となっているのだが...

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鬼平犯科帳シリーズⅡ_本門寺暮雪&女賊

松竹ホームビデオ鑑賞。シリーズⅡ、第9話&第10話。

第9話 本門寺暮雪

井関録之助 夏八木勲、名幡の利兵衛 草薙幸二郎、凄い奴 菅田俊、白縫の伝八 多々良純

凄い奴というのが凄い。とにかくその殺気というより妖気の漂う剣に、あの乞食剣客録之助が最初の闘いで背中に大きな傷を受けたことに始まり、その後二度、三度と立ち会うも一方的に攻められ守勢となっては窮地に追い込まれる。

関西の大盗賊である名幡の利兵衛がまた曲者である。自分の所在や行動が簡単には他人に知られない筈ということから、極く限られた情報の点を結びつけて自分の周りに起こる事実からその背後にある動きを推察し、見事に言い当てる。利兵衛が江戸に来ている筈だと白縫の伝八に紹介を迫った五郎蔵の前に現れ、五郎蔵を平蔵の密偵と見抜く辺りはぞくっとする。

そんな利兵衛は平蔵が凄い奴の後を尾ける事をむしろ好都合だと語る。凄い奴であれば近づいてくる平蔵をしとめることができると言い切るのだ。平蔵の運命は.....

録之助は今回全くいいところがない。そればかりかかって利兵衛に殺しを頼まれ一旦引き受けたことまで平蔵に白状する。さすがに殺しは実行しなかったとのことだったが、殺人を実行していたら旧友の平蔵としても録之助を処罰しないわけには行かなかっただろう。

しかし、そんな録之助の過去と今回偶然にも利兵衛を見かけて尾行するという働きから、平蔵は大盗賊に対抗する機会を得たのである。

平蔵の危機を救うのは、凄い奴の妖気・殺気を怖れぬ「ある奴」の勇気であった。

このある奴の登場、それにより凄い奴との戦いを制した平蔵と、それから、「利兵衛らもこれからは放って置いてもただの年寄りに転落するだけだろう。」と語る平蔵、本編ドラマではここいらのストーリー展開が少々荒っぽいという感じが否めない。もう少し時間を掛けてでもじっくり仕上るともっと面白くなったと思うとやや残念である。

それから凄い奴の姓名が無いのも、何となく惜しい気がする。凄い奴の身の上を語るだけでも興味ある番外編の一編ができそうである。

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第10話 女賊

瀬音の小兵衛 花柳徳衛、猿塚のお千代 沢たまき、幸太郎 黒田隆哉、福住の千蔵 石浜祐次郎、おすみ 野平ゆき

女でありながら盗賊団を束ね、永年キャリアを重ねいまだ平蔵たちに捕まらない猿塚のお千代の妖艶さが全面に出る物語である。

年齢は40を超えていると思われるが、ハイティーンの男をたぶらかして、その奉公先の家の間取り情報を聞き出すという手口、さらには、自分の手下達にもときどき肌身を許しては自分から離れられない虜にしてしまうというのがお千代という女である。

池波正太郎はいろんな女性を描写するが、この猿塚のお千代はその中でも特異な存在であると思う。女とは恐しい生き物の側面を持つといやでも思わされるが、池波先生もそのように感じられたことがあったのだろうか。「女は可愛いもので、慈しむべきものである。」というのは男の勝手な思い込みであって、この世の中には初心な男には想像もつかない様な恐大な潜在力を持った女も居るのである。

本編ではお千代が風呂を使っている場面が二度使われる。最初は初登場のときで、とても中年の女には見えないと言う効果を見せるのに十分である。(しかしそれはおそらく女優を吹き替えているだろうと思う。)二度目はラストシーンであり、風呂に入っているところを火盗改方に踏み込まれて追い詰められたお千代は風呂場で剃刀を使って自害する。

お千代を演じた沢たまきの出番はあまり多いという印象が無い。そのためかお千代の盗賊の頭としての凄みの表現がやや不足したように感じるし、最期に自害するのもあっさりし過ぎたように思った。

本編では一方、瀬音の小兵衛が父親としてお千代にたぶらかされ盗賊に利用される幸太郎の身を案じ助けようとする姿が描かれる。幸太郎は小兵衛という父が居ることを知らずに育ち、自分を天涯孤独の身と思っているところへお千代が接近する。小兵衛のかっての友人である福住の千蔵がそれを目撃したことを報せに立ち寄るところから物語は始まる。父親としての小兵衛は自分の身を危険に曝してでもお千代から幸太郎を引き離そうと一念発起して行動を起こすが、年老いてブランクもある盗賊の身では何も有効な手立てもなく壁にぶつかっていたところに、偶然にもおまさと行き会う。おまさは平蔵に相談し、ある日平蔵は小兵衛の宿を訪れ、幸太郎の目を覚まさせることを含めて俺に任せて田舎に帰れと告げるのである。

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鬼平犯科帳シリーズ_あきれた奴&泥鰌(どじょう)の和助始末

松竹ホームビデオ鑑賞。シリーズⅠ、第14話&第15話。

あきれた奴

同心、岡村啓次郎を中村橋之助、鹿留の又八を平泉成、又八の女房おたかを長谷直美が演じる。見応えあり。

死産により妻と子を同時失った岡村同心は、その後ひたすら仕事に打ち込むようになる。そんな折、自分が少し前に捕えた二人盗賊の一人又八の女房が子供を背負ったまま橋の上から大川に身を投げて死のうとするのを助ける。

火盗改方の拷問にも仲間のことを口に割らない又八に、ある日岡村はお前の女房の自殺を助けたこと、もし押し込み先で人を二人も殺めた仲間のことを白状するなら自分の責任で牢を抜け出させて女房と子供に会わせてやると持ちかける。そのとき岡村はお前が捕まったことを女房は知っていると話したことから、又八は自分が手紙を預けた恩人が江戸から離れたことを知り、何事かを決心する。

岡村は牢を開けて又八を連れ出すが、又八は大川の橋の上で岡村に体当たりを食らわせて離れ、そのまま川に飛び込んで逃げてしまう。家に戻って女房に会った又八はそのまますぐ姿を晦ましてしまう。岡村は罪人を逃がした責任で火盗改方の牢屋に投獄されてしまう。

それから約半年が過ぎた。又八はかって一緒に盗みをした男を棺おけに入れて火盗改方の役所に帰ってきた。そして半蔵に「岡村さんに会わせてくれ。」と頼む。平蔵は何故か「岡村は死んだよ。」と言うが、又八が岡村を信頼して自分がなすべきことを遣り遂げて戻ってきたことに感じ入り、最後には「お前も岡村もまったくあきれた奴だ。」と言い、「又八を岡村に会わせてやれ。」と言う。

岡村と言う男の妻子を亡くした悲しみとそこから立ち上がろうとする気持ちが、偶然又八の女房を救い、さらに又八という男の拷問にも口を割らない芯のある姿を見て、何かに動かされたことは間違いない。役人とはいえ一人の人間である。そしてまた、仕事は仕事すなわちルールはルールであるが、人間として時にはルール違反をしてでもなすべきこともあろう。岡村はそれらルール遵守とルール違反を同時にやるという大胆な計略を練った。又八を心から信用し、又一方又八もそのような岡村の真意を感じ取ったことから、結果的にこの計略は成功する。しかしながら、火盗改方同心としては実に危険な賭けであった。ふたりのあきれ返った男同士が偶然にも居合わせたことがこの計略の成功の鍵であった。

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泥鰌(どじょう)の和助始末

和助を財津一郎が演じる。

大工和助は仕込み細工を得意とする盗賊だったが、女房を亡くした折に一人息子を友達の大工夫婦にその子として預けて江戸を離れていた。付き従っていた盗賊の頭が死んで盗みからは足を洗う決心をした和助が久しぶりに江戸に帰ってきたとき、大工夫婦に育てられた子供は成人して奉公先の手代を勤めるまでに成長していた。しかし、その子は奉公先で贔屓してくれていた先代の旦那が亡くなり、新しい主人になってから不当ないじめを受けるようになっており、辞められるものなら辞めたいと考えていた。「自分の昇進を喜んでるおとっつあんとおっかさんには言い出せない。」との苦悩を和助に打ち明けた。

ある日、その子は店の主人に五十両を盗んだとの濡れ衣を着せられたため首を括って自殺してしまった。それを知った和助はかっての盗賊仲間と共に、息子の仇討とばかりにその店を襲うことを決心する。

一方、早くから和助の動きを察知し、別のお店の張り込みを続けていた平蔵たち火盗改方も過去の記録から直前に和助の狙いが他にもあることに気づき出張る。そこで盗みを終えて外に出てきた和助たち一団を捕縛しようとする。しかし、和助は証文と金箱を積んだ船で大川に逃げ出し、船上で証文を破り捨て、金箱は水中に落としてしまった。

捕まった和助は平蔵に島送りを言い渡されるが、その土地にある木でからくり箱を作って自分に送ってくれという。和助の血の一滴も流さぬ盗みのやりようと度胸の据わった覚悟に平蔵は好意を感じたのである。

和助の息子が勤めていた店はやがて潰れていった。

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鬼平犯科帳シリーズ_狐火&笹屋のお熊

松竹ホームビデオ鑑賞。シリーズⅠ、第11話&第13話。

狐火

狐火勇五郎を速水亮、瀬戸川の源七を垂水悟郎が演じる。

先代の狐火は平蔵と彦十の遊び仲間だった時期がある。平蔵はその後狐火の女房になったおしずに惚れたが、狐火に「お侍が人のものを取っちゃいけねぇ。盗人の俺が言うのもおかしいが。」と釘を刺されたと自ら語る。

その狐火の二代目勇五郎はおまさのかっての恋人である。

また、先代狐火とおしずとの間には娘が一人おり、瀬戸川の源七が育てて来た。勇五郎とは腹違いの妹となる。

さらに狐火には勇五郎とはまた腹違いの弟文吉が居た。文吉は狐火の名を騙って急ぎ働きをするようになっていた。先代の名と狐火を襲名した今の自分の名を汚すこの悪行を知った勇五郎は、文吉に会ってそれを止めさせようと江戸にやってくる。文吉の盗人宿に単身乗り込んだ勇五郎は文吉が言うことを聞かないため命を取って始末をつけようとする。そこに火盗改方が踏み込み盗賊は一網打尽となる。勇五郎はその間に文吉を殺す。

絶命した文吉のそばに跪いた勇五郎のところへ平蔵が駆けつけ、おまさもやってくる。平蔵は「先代に免じて勇五郎を見逃してやる。」という。「その代わりにもう盗みはしないという証文を置いていけ。」と言って大刀を一閃、勇五郎の左腕の筋を斬る。そしておまさに「傷の手当てをしてやれ。その男と二人でどこへでも行け。二度と俺の前に現れるな。」といい置いて去る。

およそ一月半が経った頃、平蔵が源七の家を訪れてみると、おしずにそっくりの娘の祝言祝いの日である。ふと祝いで集まった人々の中におまさを見つける。平蔵はおまさを連れ出し訳を聞く。

勇五郎は京への旅の途中で流行り病に罹りあっけなく亡くなったという。「おめえもつくづく男運のない女だな。」と平蔵がいう。平蔵がおまさには幸せになって欲しいと願う気持ちが滲み出るようだ。おまさは元のように平蔵の元で働かせて貰えないかと言う。平蔵は前言もあり、やや複雑ながらも、「おめえが居りゃあ俺も随分助かる。」と了解する。

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ロケ地の河の映像がきれいである。滔々と豊かな水量で流れる。印象深く目に焼きついた。

「狐火」はスペシャルもある。鬼平犯科帳シリーズでは特別な作品の一つであろう。平蔵が勇五郎とおまさに「どこへでも行くがよい。」という場面はこのビデオの場面設定の方がスペシャルのそれ(確かお白砂の場)よりも、リアリティがあって良いと感じた。

シリーズⅠはどの作品も実によく考えて製作されていると思う。

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笹屋のお熊

お熊を北林谷栄が演じる。台詞の言い回しや演技が光る。飄々としているがやるときゃやるよといった、そしてまた年は取ってもいい男が好きという女らしさを失わないお熊ばあさんの人柄をよく表している。また、べらんめえ調で彦十じいさんとやり合うところがまた面白くて秀逸。

平蔵が昔を回想して、「四十を過ぎたお熊が素っ裸になって俺の寝床に潜り込んで来て、『取って食おうというんじゃないよ。味見だけでも...』と言ったときにゃあ肝を冷やしたぜ。」というようなことを言ってからかう場面などはとても面白い。

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鬼平犯科帳シリーズⅡ_猫じゃらしの女&盗賊二筋道

松竹ホームビデオ鑑賞。シリーズⅡ、第7話、第8話。

第7話 猫じゃらしの女

小説を読んで印象に残っていた作品の一つ。あたかも「猫じゃらし」に猫のようにじゃれつかされてしまったようだ。

およねを池波志乃が演じる。しなやかな肢体をくねらせて踊る演技が小説とは違った女の魅力を表現する。

レギュラーである三浦浩一演じる密偵伊三次は独身の気楽さから住まいを持たず定めず、いろんなところに寝泊りしている。伊三次はおよねを贔屓にしている。

この作品では伊三次の生い立ちが明らかにされる。およねは「けころ」と呼ばれる職業の女である。古典落語の「お直し」等で説明される「けころ」と本編での「けころ」は、仕事の岡場所の様子や仕事の仕組みが少し違っている。当時の男たちにとっては普通の岡場所の女郎買いよりもより気楽に遊べるということで、「けころ」遊びは料金的に安かったりしたのだろう。

伊三次はおよねを贔屓にしているが、およねは変な癖があった。竹かごに鈴を入れて糸で吊るした「猫じゃらし」を伊三次の腰につけさせてエッチするのである。そのときの鈴の音が興奮させるというのだ。

ある日伊三次はおよねが自分を指名してやってきた客を「うささん」と呼ぶことから、その男が型師卯之助であることを知る。ある日卯之助はおよねに「中身は見るな」と言ってある大店の蔵の鍵の蝋型を入れた袋を預ける。

およねは見ちゃいけねえといわれれば見たくなるのが人情と、伊三次と袋を開けて中身を見るが、それが何だか分からない。伊三次は早速粂八につなぎを付ける。

ある日、およねのもとに卯之助の使いという男が袋を受け取りに来る。伊三次は急遽蝋型の代わりに杯を二つ合わせて手ぬぐいでくるんだものを入れ替えた袋をおよねに手渡す。伊三次は岡場所に居残り、およねを降りかかるであろう危険から護る決意をする。一方、粂八は蝋型を平蔵に送り届けるよう手配すると共に、袋を受け取った男の後を尾けて、盗賊たちの盗人宿を見つける。また、そこに監禁されていた卯之助も発見し、盗賊たちの隙をついて卯之助を救い出す。

卯之助の逃亡を知った盗賊たちはすぐさまおよねを拉致しようと行動を起こす。しかし、盗賊たちは蝋型を受け取り岡場所に急行していた平蔵たち火盗改方によって一網打尽にされる。

平蔵は伊三次に「お前は岡場所の女に特別な縁があるようだな。」という。そして「およねに惚れてるなら女房にしろ。おれが世話を焼いてやってもいいぞ。」とも。そしておよねにやれと言って金子を紙に包んで伊三次に手渡す。

役宅を出た伊三次はにやり笑いながら嬉しそうに歩き出す。途中猫じゃらしを売っている店があったので立ち寄り一つ買い求める。「十六文です。」に「釣りはいらねぇよ。」と片手に猫じゃらしをぶら下げて小走りに駆け出す。

伊三次「女房かぁ。およねをねぇ。そらぁ出来ねえ相談じゃねえが、とても持ちきれねえやな。俺一人じゃ。」

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第8話 盗賊二筋道

高萩の捨五郎を菅原謙次、寺尾の治兵衛を西山嘉孝が演じる。

武士に手討ちにされかかった百姓父子を助けに入った捨五郎は足に傷を負う。子供の父親の百姓家で治療養生をさせてもらうことになった。捨五郎を背負うように助けながら平蔵と共にそこまで連れて来た昔なじみの彦十に「良くおやんなさったね。」と言われ答える。

捨五郎「あのときは元気が出た。人間って奴はね、彦十どん、元気なときと臆病なときがある。あん時のあっしが臆病だったら見ぬ振りをしてたろうよ。」

この台詞が印象に残る。

寺尾の治兵衛がこれを最後にどうしてもきれいなお盗め(おつとめ)をしたいと言い張るのだが、老盗の胸の内には、自ら最後の元気を振り絞ろうとの決意があったことが感じ取れる。治兵衛は単身赴任して江戸で盗賊仲間の口合人をしていたが、嫁入りする娘の支度金を手に入れたかったと捨五郎が語る。

盗賊という稼業をしていても人の子の親であり、子供の人生の節目には立ち会ってお祝いもしたい。一方また子供の成長と共に齢も重ねていく。引退を間近に控えた一老盗の最後に一花を咲かせたいと思う気持ちには、何となく共感できる部分もある。平蔵もそのような親心は人として分かってやり、治兵衛が計画を進めるのを見守ることにする。

この後の展開は一体どうなるのだろうと興味が湧くのである。

しかし、捨五郎の説得で、治兵衛は盗み働きの前に娘の晴れ姿を見に女房と娘の居る家に帰ることを決意する。そして、家族の元への旅路の出発として身の安全のために避難していた「五鉄」を出たのだが、その直後に、平蔵たちが取り逃がし捨五郎と治兵衛を裏切り者としてその命を狙っていた盗賊の一人に匕首で刺されて死んでしまう。

それをきっかけとして、平蔵はためらいなく治兵衛の口合人メモに記載された盗賊たちを一人残らず捕らえるよう指示する。たとえそれが血の一滴も流さないきれいな盗め(つとめ)であろうとも、悪は悪として見逃さないという平蔵のポリシーが示される。

この辺り密偵たちはいつも複雑な心境に置かれるのだろうなと思うのである。

平蔵は治兵衛が娘への土産として持っていたかんざしと、留守中の盗みの計画のための費用として代理人となった五郎蔵に渡してあった金を捨五郎に渡し、傷の養生がてら治兵衛の家まで足を伸ばしてきてくれと頼む。捨五郎は痛く感動して、五郎蔵を伴い旅に出る。

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平蔵は密偵たちによく金を渡す。密偵たち以外にもひょいと金をくれたり、奢ってやったりするのだが、そのような金の使いっぷりに感心する。貰った人が喜ぶ金の使い方で、見ている方も気分がよくなるのだ。自分もそんな金の使い方をしてみたいと思う。しかし、月々の小遣いが些少でいつも遣り繰りを気にしている自分にはとてもまね出来ないことだ。平蔵は随分金持ちだと思うのである。

しかし、実際の平蔵は火盗改方の予算獲得等の金策には随分苦労したとも何かで読んだことがある。勤めを果たすために自分の財産をつぎ込んだこともあるとか。現代の為政者や公務員にも見習って欲しいエピソードである。

また、平蔵を初め、鬼平犯科帳に出てくる人々は実にうまそうに酒を飲む。鬼平犯科帳を読んだり、ビデオを見たりすると、必ず日本酒を飲みたくなる。したがって、今自分は自宅やアパートに日本酒を切らすことがない。できれば土瓶や白鳥や白い徳利に入れて、広口の焼き物の杯や塗り物の杯でぐいーっとやりてぇもんだ。でも、肝機能にはイエローカードが出されている。酒はほどほどにしないといけない。そうすると、鬼平シリーズ鑑賞もほどほどにしないといけないことになるか???

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鬼平犯科帳シリーズⅡ_白い粉&托鉢無宿

松竹ホームビデオ鑑賞。シリーズⅡ 第3話&第4話。

第3話 白い粉

料理人勘助を左とん平、その妻おたみを甲斐智枝美が演じる。
ラストシーンでの台詞。
平蔵「あのおたみにな、『毒を盛った亭主の罪を何と思うか!?』とこう訊いてくれた。
ハッハッハッハ。
その返事がよかったねぇ。
いかにも女だ。その上しっかりしてる。
三年でも四年でも亭主の帰りを待ってるだろうよ。」
彦十「おたみは何と申しましたんで?」
平蔵「ん、ん~ン。フフフフ」
(平蔵の回想)
おたみ「はい。毒を盛りました亭主のこと、
殿様には本当に申し訳ございませんけれど
何事も女房の○○○○ゆえにしてのけたことゆえ
私は嬉しく思っております。」
平蔵「ハッハッハッハ、ハッハッハッハ、ハハハハ」(しばし笑いが止まらない)

* 上記○○○○が聞き取れず。「○○しき」のように聞こえる。「やさしき」では意味が通じない。「危うき」で意味は通じるが発音が違う。後記参考からは「女房のあたし」。しっくり来るのは「女房の身のため」であろうか。

第4話 托鉢無宿

無宿の和尚を井関録之助を夏八木勲、浪人菅野伊助を深水三章が演じる。
旗本の長男であったが、父のためにお家取り潰しとなり、その後乞食坊主をしながら生きている井関録之助。
目的もない今の生き方を良いとは思っていないが、性に合うのか辛いとは思っていない。
品川宿で偶然平蔵と出会う。録之助が気づき、酒井同心を連れた平蔵もびっくりするが、平蔵は録之助の目が生き生きしてたのを見た。
平蔵は家で食事しているときに久栄に自分も録之助のように生きてみたいと、さも録之助が羨ましいと語る。
録之助は盗賊二人のこれから盗みを働く計画の話の一部を偶然聞いてしまい、そのとき二人に気づかれてしまう。
盗賊二人は録之助の殺害を企てるが、かって平蔵と共に高杉銀平の下で剣術の修行をした録之助に撃退されてしまう。
盗賊らは闇の仕事人の元締めに録之助の暗殺を依頼する。
その刺客として送り込まれたのが菅野伊助であった。菅野は反対に録之助に組み伏せられ、覆面を剥がされ招待を知られてしまう。
菅野もまたかって平蔵、録之助とともに剣の修行をした後輩であった。
菅野は武家に生まれたが、妾腹の子として財産ももらず職に就くことも結婚もできないまま浪人となっていた。そしていつしか闇の仕事を引き受けるようになってしまっていたのだった。

当時は武家に生まれても長男でない、次男以下の男子は、養子縁組のくちでもなければ生きていけないような身分制度、相続制度であった。
平蔵も妾腹の子であることが世間にも知られており、ただ跡取りが居なくなってお鉢が回ってきて運良く家督相続することができたものである。
この武家の次男以下の男子の運命の悲哀については、多くの時代小説に物語として取り上げられている。

録之助は平蔵を訪ね、菱ぶりに酒を酌み交わす。自分が襲われたことと菅野のことを平蔵に語る。
録之助は平蔵に盗賊を捕まえるのに協力してくれと頼まれる。
「相手が盗賊だけに命懸けだぞ。」と平蔵に聞かされ、録之助は命懸けの仕事こそ自分がやりたかったことだと言う。
そして同時に不幸な身の上から現在の殺し屋家業に入った菅野にも手伝わせてもらえないかと尋ねる。
平蔵は、「その話は、今度の件が片付いてから改めてしよう。」と取り合わないままとした。

録之助は菅野を訪ね、平蔵に会って話したことを告げる。
また、平蔵が菅野のことについては録之助が関わっている事件が片付いてからにしようと言ったことも伝える。
楽観的に語る録之助のそのことばを聞いて菅野は深く考え込む。

菅野は録之助の殺害を依頼した盗賊を見つけ出し、ある日品川宿にある店から出て行くその男を尾行して斬ろうとする。
同じころ品川宿で自分を襲った盗賊の一人を見つけようと粂八と探索をしていた録之助は、偶然その菅野に気づき後を尾けて行き、菅野の行動を止める。
「あいつを殺しちゃいけねぇ。もう少し泳がしておくんだ。後は俺達に任せろ。」

録之助や部下の働きで盗みの決行日を知った火盗改方は首尾よく盗賊全員を捕縛する。
そして粂八が菅野の家に行ってみると、菅野は見事に腹を切って自裁していた。
その傍には殺しの依頼の代金が手付かずにあり、それを包んだ紙には闇の殺し屋の元締めの名が記されていた。
平蔵は粂八からのその報せを録之助もいるところで受け、直ちに元締め逮捕を命じた。

録之助は平蔵に向かって、「銕(てつ)さんは菅野が切腹するしかないことが分かっていたんだな。」という。
録之助はその後暫く平蔵の前から姿を消したという。

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鬼平犯科帳シリーズⅡ_スペシャル「雲竜剣」

松竹ホームビデオ鑑賞。第2シリーズスペシャル「雲竜剣」

平蔵は正体不明の剣客と闘い、相手の剣の動きが読み取れないまま攻め込まれるという夢を見てうなされる。半年ほど前に一度襲われて闘ったが、その後何度も同じ夢を見てはうなされていた。

その内に、平蔵の部下である同心が次々に殺害される。火盗改方が浮き足立ったところに急ぎ働きの盗賊が押し入る事件が起こる。

平蔵は自分の無能を激しく悔やむ。

平蔵はわずかな手がかりに丹念に気を配り探索活動を続けていく内に、過去の記憶に残る事件、部下殺害事件、盗賊事件、それに奇妙な人物の得意な動き等の背後にある糸を探り当てていく。

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伯道「先生と言われるか。ただの盗っ人に過ぎぬこのわしを。
剣の道だけ学んでいたのならわしは金など欲しがらぬ。
どこか目立たぬところに道場を作って
気に入った弟子だけを選んで酒の相手をしながら心静かに生涯を過ごしたことであろう。
高杉銀平(平蔵の剣の師匠。小説では高島先生。)殿と同じようにな。
だがわしは剣の他に医術の道を学んでいた。
一人の医者としては金が欲しかった。
金がないと今の世の中では医術もものを言わぬ。
命を救うてやれる筈の者も救うてはやれぬ。
わしのやろうとしたことは有り余るところから盗み取った金を
いわば薬として死に瀕した者に与えること。
お主はどう言われるかしらんがやれるだけのことはやってのけた。
お主には正直に申し上げよう。
わしが盗みを働いたのは諸国合わせて十八箇所。
そのどれも名の通った豪商ばかりじゃ。
もとより血の一滴も流したことはない。
わしに金を盗られて潰れた商人は一人もおらぬ。
そのいずれも今もって繁盛しておる。
ハッハッハッハッハ。
それがせめてもの心休めというものじゃ。」
平蔵「伯道先生それから先のお話はお白州で伺うことに...」
伯道「覚悟いたしておる。」
平蔵「いやー誠に残念。
この長谷川平蔵、盗賊改方のお役を勤めておるばっかりに...」
伯道「ハッハッハッッハ。これも因縁というものじゃ。」

しかし、伯道はこの直後、平蔵に暫く時間猶予をくれと頼む。
また、その間は自分のすることに対して一切手出しをしてくれるなと頼む。
そして、刀の鯉口切って小柄で鞘から出た剣の鍔元を叩く。
平蔵は一瞬困惑するが、伯道の仕種を見て自分も同じように自分の小柄で自分の剣の鍔元を叩いてみせる。
これは武士の強い約束を交わすときの作法であろうかと感じた。

************************
伯道はその後、自分の一子虎太郎を斃しに出かける。
その虎太郎は急ぎ働きをする兇族一味を率いているため、伯道は自分の手でけじめをつけようと決意したのである。
虎太郎は恐るべき「雲竜剣」の伝承者であり、彼を斃せる者は伯道をおいて他に無いとも思われた。

伯道は、かって病気の母親と共に救った女の子で、今は成長して虎太郎の手先を勤めながらもその身を案じているお妙に語っていた。
伯道「虎太郎に父が盗賊であることを教えたのは、その母親である女だった。その女は自分が成敗した。
虎太郎に剣を教えたが、今は剣では立身出世はできぬ。剣が上達すればするほど我慢ならなかったのだろう。」
ここに伯道の子育てを間違った一父親としての自分への恨みや悔やみが出ている。

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平蔵「のう、酒井。
金というものは真におもしろいものだなぁ。
様々な人々の手に次から次へと渡りながら、
善と悪、その両方の働きをする。」
酒井「善と悪、その両方ですか?」

長谷川平蔵はその後「人足寄場」を作り上げる。
この「人足寄場」については別途説明したいが、伯道の行った社会事業に大いに影響を受けたことは間違いないと思われる。

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堀本伯道を露木茂が演じる。
また、お妙を南條玲子が演じる。

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鬼平犯科帳シリーズⅡ_おみね徳次郎&むかしの女

松竹ホームビデオ鑑賞。シリーズⅡ 第1話、第2話。

おみね徳次郎

おみねを宮下順子が、徳次郎を峰竜太が演じる。

お互い盗賊であることを隠しながら、おみねと徳次郎は一緒に暮らしている。徳次郎がおみねの寝顔を見ながらつくづくと思う。「何とも飽きの来ない女だ。」おみねもまた徳次郎とは何となく肌が合うと言いながら、これまでの遊びだけではない自分の気持ちの変化に気づいている。盗人の掟では許されない「惚れてまう。」という奴だ。

おみねはかっておまさの妹分であった。おまさはおみねの幸せを願う。この点、「引き込み女」のおまさの心境と被るものがあるが、平蔵はおみねと徳次郎を別々に捕らえた上で、それぞれの盗賊の頭と一味を一網打尽にしたところで、二人を放免する。また、佐島同心が「おみねを密偵に使っては?」と問うのに対し、平蔵は「おみねはおまさのようにはいかねえよ。おみねがお前に色目を使ったらどうする?」と答え、佐島も納得して退き下がる。

この平蔵にしかできないの特別の計らいがある点が決定的に違う。おまさの歓喜と平蔵に対する感謝は最大になったことだろう。一方、平蔵の密偵としてのおまさの人間としての見方やその心情の理解の深さが味わえるストーリー構成になっている。

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宮下順子は色っぽいおみねを演じている。若い頃は自分のタイプでは無いと思っていたが、今の年になって見ると、なかなかにいい女だと思う。かってその魅力に気づかなかった自分の回りで大いに人気を博していた理由が分かるような気がする。

峰竜太は若くて、現在の彼よりも精悍な感じがするいい男ぶりだ。おみねをなかなか捨てきれない男の弱さが滲み出てくる所を上手く演じていると思う。三枚目より二枚目俳優としても大成したのではないかと思うのだが...

むかしの女

昔平蔵が一緒に暮らしたことがあり、その後姿を見掛けなくなっていたが、今や夜鷹に落ちぶれた老女、しかし可愛らしさを失っていない女おろくを山田五十鈴が演じる。

おろくは最早夜鷹で稼ぐには年を取っていると思い、平蔵は今の自分の身分を明かして、自分の手先となって働かないかと持ちかける。おろくは平蔵のためと懸命に市中の情報を嗅ぎ回り始めるが、やがて悪党の集団に捉えられ強請りのネタに利用され、命の危険に曝される窮地に陥ってしまう。間一髪平蔵が引き連れた火盗改方により悪党一味は捕えられ、おろくも助け出される。うわさと評判で知っていたつもりの鬼の平蔵を目の当たりにしておろくは目を丸くするばかりで声も出ない。おろくはその直後に平蔵に黙って姿を隠す。

平蔵「おろくもそう長い命ではないだろう。猫が死を悟ると姿を見せなくなるように、おろくも....。おろくは本当にいい女だったなぁ。」

このとき笠の内で平蔵は涙を流す。酒井同心は顔を伏せ歩き出す平蔵に付き従って歩き出す。

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山田五十鈴の女優としてのキャリアからくる演技力が滲み出る。黒澤明監督作品の「どん底」の演技は脳裏から離れない。夜鷹仲間のおもんを演じる浅利香津代の底なしに明るい演技も、夜鷹暮らしはしていても生きる楽しさを失わない女の生き様を表現していて光っている。

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鬼平犯科帳シリーズ_引き込み女&雨の湯豆腐

松竹ホームビデオ鑑賞。 シリ-ズⅠ-第24話、第25話。

引き込み女

むかしおまさと同じお頭の下にいた引き込み女お元を高沢順子が演じる。おまさの妹分といったところの可愛い女性を演じている。

盗賊仲間の掟やかれらの執念深さを知っているお元は、相談に乗ってやったおまさの忠告も空しく、全てのしがらみを捨てて惚れた男(引き込みで潜入している店の主人)と駆け落ちすることができない。盗賊の押し込みの決行日、お元は狙いの店から一人で出て行き身を隠そうとする。おまさはそれを尾けていき追いついたところでお元の決心を確認すると共に、そのまま火盗改方に捕まらないように逃がそうとする。そこに一人働きの盗賊で、今回の盗みの手助けに雇われている磯辺の万吉が現れおまさを密偵と見破り、お元と共に殺そうとする。危ういところに火盗同心の沢田が剣を抜いて飛び込んできて万吉を斬る。沢田はおまさに何も声を掛けず去っていく。

おまさは平蔵のところへやってきて、今回のお咎めを受けるというが、妻久栄は「殿様の顔を見てみなさい。」という。平蔵目線を上げて素知らぬ顔つきをする。「咎めようとは考えておらぬ。」みたいな。平蔵が言う「俺には何も言わなくてよいが、火盗改方の同心たちに礼を言うんだな。」

雨の湯豆腐

清水健太郎が闇の殺し屋時次郎を、彼が愛する女お照を黒田福美が演じる。この闇の殺し屋、かの必殺仕掛け人藤枝梅按の友人彦次郎そのものの設定である。豆腐好きというところが正にそれを表しているのだが...。

そして腕の立つ浪人を大出俊が演じるが、これは西村左内になるだろうか。こちらはTVドラマのシリーズで見た左内とは雰囲気が大分違う。尤も藤枝梅按も登場しない。

お照は時次郎と久し振りに再会するが、最後には闇の殺し屋に時次郎の殺しを依頼する。そして時次郎は殺し屋仲間の浪人に斬られて絶命する。そこに平蔵たち火盗改方が乗り込む。火盗同心たちは浪人の剣の腕前に苦戦するが、平蔵が浪人の前に立ちはだかると、勝負は一瞬にして決まる。浪人がどっと倒れる。強い。長官はこんなにも強いんだ!

女は過去に縛られず、今だけを生きることができる。男は過去を引きずりながら現在を生きる。

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鬼平犯科帳シリーズ_盗法秘伝&女掏摸(めんびき)お富

松竹ホームビデオ 第1シリーズ 第16話、第17話

盗法秘伝

フランキー堺が一人働きの盗賊「真?砂の善八」を演じる。

善八は平蔵は盗賊にうってつけの素質を備えているとして惚れ込む。善八は平蔵を連れて盗みに入る。平蔵が感心するような風情でホイホイ付き従っていく様子が滑稽である。平蔵は全八と酒を酌み交わしながら、悪い奴からしか金を奪わないポリシーの善八を持ち上げる。「いよっ!真砂の五右衛門!」などと煽てる。

しまいに平蔵が火盗改方の長官と知るや、善八は逃げ出すが、平蔵に隠し金のありかに先回りされてしまい、その場で平蔵に捕まってしまう。しかし、平蔵は五十両を善八に渡し「この金を元手に店でも開け、今度会ったらただじゃあ済まないぞ。」と見逃す。

掏摸(めんびき)お富

坂口良子がお富を演じる。スリの元締めの娘として育ったお富は、天性のしなやかな指とスリとしての素質を備えていた。しかし、父親の元締めが亡くなったときに、自分は捨て子だったことを知らされ、元締めの地位も引き継げなくなり、父親の友人だった男の元に身を寄せる。やがて、近所の笠屋の主人が行為を寄せているのを知り夫婦になる。しかし、むかしのスリ仲間の一人がお富の居場所を突き止めて、足を洗うための金百両を無心する。お富は現在の暮らしを壊されたくないために仕方なくスリを働き、百両を用意する。その百両を男に渡しているところを、お富を見張っていた彦十に見つかり、男は火盗改方に捕まえられ、一切を白状する。男の自白により、スリの一団はお縄になる。平蔵はお富の裁きは俺に任せてくれという。

お富は手切れ金を用意したところでスリは止めようと思っていたが、自分の指がスリを働きたがるのを制することができない。ある日ついにスリを働いてしまう。が、掏り取った財布の中身には手をつけず川に投げ落とす。その一部始終を見ていた平蔵は、お富の前に現れ「見逃そうと思っていたが見逃せねえ。」と言う。お富は観念してお縄を頂戴すると両腕を組んで前に突き出した。

すると、平蔵、いきなり小刀を抜くやお富の右手人差し指と中指の背側の筋を斬る。「お前が悪いんじゃねえ。その指が悪いんだ。」平蔵はそのままお富を残し去ってゆく。

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鬼平犯科帳_金太郎そば&用心棒

松竹ホームビデオ鑑賞 第22話&第23話

金太郎そば

江戸春木町で繁盛する「金太郎そば」の女将お竹を池波志乃が演じる。彼女の芸名の姓は池波正太郎から貰ったことは良く知られている。

お竹は孤児で12歳のとき金屋(かねや)の主人に助けられそのまま奉公する。一生懸命働く娘であったが、金屋が人手に渡ってからも元番頭と二人で主人を支えた。とにかく働くことに一生懸命で一途な女である。いつか茶屋で働くことになるが、そのとき千葉のご隠居というなぞの老人に三十両の金と藁馬を貰ったことをきっかけに蕎麦屋を始める。しかし、商売は上手くいかず、ある日右肩辺りの背中に金太郎の彫り物を入れて商売の売り物にしようと考える。いくつかの苦労や人の支援を受けて店は評判の繁盛店となる。そして、いつか藁馬をくれた千葉のご隠居が来るのを楽しみに待っていた。

しかし千葉のご隠居は盗賊であった。懸命に働き今の幸せを手に入れたお竹を見て、平蔵はその盗賊をお竹に会わせまいとする。ある小雪がちらつく夜、金太郎そばにやってきた盗賊が店に入ろうとすると、平蔵が現れ制止する。「お前がくれた三十両をもとに開いた蕎麦屋を立派に切り盛りして今や評判をとるまでにした。お前が盗賊だと知らさぬ方が良い。」と。盗賊も天晴れで潔いものであった。「お竹に対して抱くものは愛情ではなく、観音菩薩の姿だ。」と語る。

池波志乃がひたむきに生きる女を良く演じている。また、肌がとても白くきれいで、なるほど彫り師が一世一代の彫り物をしたくなるという台詞をいうのに、すごく説得力を感じる。

用心棒

ジョニー大倉が深川の味噌問屋の用心棒となる浪人軍兵衛を好演している。いかめしいひげを生やし、見掛けは人を威圧するのに申し分ないが、剣術は弱い。自分の弱さを知る男が実力を超えた仕事を貰い、それがばれたり、吹聴カミングアウトされそうになる危機に直面したりして、苦悩しつつも懸命に生きる姿にはどことなく共感を覚える。

その男軍兵衛はまた店の奉公人のおたみに好意を抱く。おたみを森口瑤子が演じているが、若くてかわいい。このおたみが何と弱虫軍兵衛を愛情を持って支えるようになる。ここがまたなんとも快い。軍兵衛の人柄が良いからおたみも突き放せないのだろうか。軍兵衛は生来正直者で気立てが優しいせいか、嘘ハッタリは上手くない。

平蔵は全くの対極にある男だ。強いし、堂々としていて、何か自信なく常におどどした軍兵衛とは月とスッポンである。全く個人的なことだが、ジョニー大倉の顔は何となく自分の顔に似ているような気がする。自分の姿を軍兵衛に投影させてみていると、全くはらはらどきどきして観てしまう。

しかし、この対極にある二人が接点を持ち、ドラマが展開する。平蔵は軍兵衛に肩入れする。そして、弱いのは修行が足りないからだと指摘する。そして、剣術道場まで紹介してやる。こういった平蔵のめっぽう強いが、親切で優しくもある人柄が描かれている。しかし、軍兵衛は平蔵のもう一つの面も感じ取っていた。「長谷川様は、その上に怖いお人だ。」と。

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鬼平犯科帳シリーズ_山吹屋お勝&敵(かたき)

松竹ホームビデオ鑑賞 第20話、第21話

山吹屋お勝

平蔵の密偵利八と引き込み女おしの(お勝)の悲恋物語。

平蔵のいとこ巣鴨の大百姓・三沢仙右衛門(54歳)が茶屋山吹屋の女お勝に惚れ込んでしまい、自分の女房にすると言い出す。平蔵は身元を確かめに行くが、女の手首あたりを掴んだところ、その自分の腕を引いて振り払うのではなく一度平蔵の身体に寄せて来て離させたことから、普通の女ではないと睨む。木村忠吾が指図する密偵利八に探りを入れさせるが、山吹屋に乗り込んだ利八はその女がかっての盗賊仲間で、恋仲となってしまったために、掟破りとして頭(夜兎の  )に左手小指を詰めるけじめをつけさせられることとなった相手のおしのだったことを知る。利八はおしのに会わないようにして店を去るが、おしのの住まいを突き止め潜入して帰りを待つ。利八はおしのを今でも愛していることを知る。しかし、今おしのには愛し合うまさという男が居た。利八はかって自分が犯した同じ間違いを再び繰り返そうしているおしのを知り、自分のおしのに対する思いを抑えて、二人を逃がそうとする。平蔵はいとこを救ってくれた手柄を褒め、利八の勝手な行動を咎めないこととする。そればかりは、「今夜は飲むしかあるめえ。」と言って小判を一枚渡す。ここがいい!平蔵の人を思いやる気持ちが出てきて感動を禁じ得ない。

しかし、利八のその企ては兇族の頭にばれ、まさは盗賊たちに半殺しにされる。おしのはそうとは知らずに平蔵の手が伸びてきているから逃げるようにと連絡にやってくる。頭はおしのにまさの姿を見せ、驚愕するおしのも一緒に殺そうとする。そこにお篠尾行してきていた利八が飛び込んできて助けようとする。しかし多勢に無勢で二人とも匕首で刺されてしまう。そのとき平蔵たち火盗改方が乗り込んできて一味を捕らえる。死期が近づいた利八はなおもおしのの身を案じる。平蔵は「おしのの傷は浅手だ。命は助かる。」と偽る。利八は微笑むようにして命尽きる。一方、お篠ももはや虫の息で、目も見えなくなっている。最後に本当に惚れていた男利八の名を呼びながら手は空を掴もうとする。平蔵はおしのの身を抱き起こして抱え、黙ってその手を掴む。おしのが「利八さん」と呼ぶと「あいよ(うん、だったか?)」と答えてやる。

利八を森次浩次、おしの(お勝)を風祭ゆきが演じる。平蔵のいとこがお勝に惚れた理由として「母の乳の味がする女だ。」という。池波正太郎は女の描写が実に上手く、小説を読んでいてそうかと思わずうなりたくなることがあるが、テレビドラマや映画ではその描写については省略され、ナレーションで解説的に語られることもない。例えば「凝脂の乗った」などという表現が印象に残るものの一つだが、これまでのビデオや映画でそのようなことばは一切表れてきていない。ところが本編では「乳の味がする女」といとこに語らせた。ここがとても印象に残った。そのせいかその夜母親の夢を見たくらいだ。(なお、認知症で入院加療中の母はこの日胃瘻(いろう)の器具の先端が体内に落ち込んだというので日赤病院で摘出手術を受けたと父から知らされた。父はオペの前に同意書にサインさせられたことから、とても心配になっていたが、手術は無事終わり、父も兄夫婦や妹夫婦達も安心したらしい。こちらのインパクトの方が大きかったのであるが...)

この「乳のにおいのする女」を風祭ゆきが演じている。平蔵も山吹屋で観察してなるほどこんな女なら年取ったいとこが入れ込むわけだととうなずく。が、当方としてはいまいちよく理解できなかった。しかもおしのに接する平蔵が実に行儀と品が悪いのにも戸惑った。しかし、おしの役の風祭ゆきは色めかしくて良かった。じぶんとしては乳のにおいというと色白丸ぽちゃ系を想像していたが、むしろ骨っぽいどちらかというと痩せ型の女性となっていたように感じた。とにかくいいおんなっぷりであることはたしかで、そんな自分の感想などどうでもよいことなのだが。

利八を演じた森次浩次、これには子供の頃観ていた「ウルトラセブン」の印象が強くて、強い正義の味方という潜入感がかすかながら残ってしまう。モロボシダンは死ぬはずがない、密偵だし平蔵たちが助けてくれると思い込みつつ見ていくと、これが悲痛な最後を遂げる。

つとめ前の盗賊団の中での男女の関係に関するルールはかくも厳格であるかと思えば、一方で彼らは急ぎ働きをやる。盗賊たちの自分らに都合の良いような掟ではあるが、その集団の中に居る限りはその掟に縛られなくてはならない男女の愛や哀しきである。

敵(かたき)

五郎蔵登場。仕置きを受けることに替え、平蔵の密偵となって畜生働きの兇族を捕える協力をすることでこれまでの悪事の償いをすることを決心する。

これは大盗賊の系譜を知るのに良い一編である。平蔵が佐馬の介の報告を受けて筆書きしてまとめた系統図は思わずメモしておこうと思った。

殺さず、犯さず、貧乏人からは奪わずの掟を厳格に守る立派な頭が居て、その下に手下が育つが、その中で頭の立派さを継承する者と畜生道に走る者とが出てくる。得てして後者の方が勢力を持つようになる。五郎蔵もかっての手下を信用して再び最後のおつとめを画策するが、勝手の手下達は全て裏切り者の仲間と成り下がってしまっていた。

五郎蔵の計画を、その手下達もろともそっくり横取りしようとする悪党に、五郎蔵は命の窮地に追い込まれる。しかし、そこに平蔵たち火盗改方が乗り込んでくる。平蔵は手出しさせぬから敵を討てと五郎蔵に言う。五郎蔵はそれにうなずき敵討ちを果たす。

佐馬の介が何となく五郎蔵を気に入ったというところから、平蔵も五郎蔵に関心を持つようになったことが描かれている。しかし、そのような人間的に優れている五郎蔵が盗賊になったとは、一体どのようにして生きる道を誤ったのか?

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鬼平犯科帳シリーズ_浅草御厩橋&むかしの男

松竹ホームビデオのシリーズから 標題の第18話、第19話を観た。

浅草御厩橋:

正直者の飾り職人でかって平蔵に召し取られたが、親を思う正直な気持ちに許され、今は密偵となっている男が主人公。平蔵に許されて3年が経ち、今は妻も娶って、父親と3人で平穏に暮らしている。彼は錠前を開けることに特別の才能を持つ。彼の父親は越中の出身で、同じく越中出身の大盗賊(つとめの掟を守る盗賊で、急ぎ働きの兇族と区別している。)にその腕を見込まれ、江戸での仕事に誘われる。父親は手を貸せと言い、嫁に息子は盗賊としての別の仕事を持つと明かす。妻は男との離縁を決意するが、男は火盗改方の手先となっていることを打ち明け引き留めるが、大盗賊に協力していることはひた隠す。妻は男に内緒で直接火盗改方に出向き、亭主を捕まえて欲しいと申し出、その代わり減刑をお願いする。平蔵たちは男の動きをつてに大盗賊一味を首尾よく捕まえるが、大盗賊は男だけを秘密の逃げ道から逃がす。火盗改方が見に行くと男が住んでいた長屋はもぬけの殻。そう遠くへは行っておらず、捕まえるのは簡単という酒井同心に対し、平蔵は見逃してやれという。その頃男は、都落ちを嘆く父親と家財道具一式を大八車に乗せ、後ろから押して付いてくる妻に声を掛けながら、元気に峠の坂道を引張って進む。

平蔵の情状酌量に人情味が溢れ出る。本田博太郎が飾り職人の男を演じる。本田はこの頃は少し不気味な雰囲気を持つ役柄が多いが、この作品では正直で優しい心を持ち物事に熱心な若者を演じている。

むかしの男:

平蔵の妻女久栄が平蔵が出張して家を空けているときに事件に巻き込まれる。久栄のむかしの男が現れ、その仲間とともにスキャンダルをネタにすると脅迫して、火盗改方に囚われた仲間の牢外脱出を画策する。最後は久栄の姪っ子を誘拐して人質交換となるが、酒井同心と息子辰蔵の働きで難を逃れるとともに一味を捕らえる。平蔵は帰宅後に捕まった久栄のむかしの男に会う。平蔵ともむかし近所に住んでいた旗本ということで知り合いの男であった。

「久栄を女にしたのは俺だ。」

という男に対し、平蔵は

「お前は久栄をおもちゃにしただけだ。久栄を女にしたのはこの俺だ。女は心から愛さないといけねぇ。」

と話す。

息子辰蔵は遊び盛りで夜稽古と嘘をつきながら女遊びに熱中している。久栄はそれを快く思っておらず、自宅謹慎を命じたのだが、今回の事件で手柄を立てたことから、悪友二人と夜稽古に行くという辰蔵に

「夜稽古にもいろいろと物入りでしょう。」

とかなんとか言って小遣いを渡す。

「おいおい、少しばかり手柄を立てたからと言って、あまり甘やかさん方がよいぞ。」

という、平蔵に対し、久栄は言う。

「男は遊ぶことも大事。私は辰蔵に殿様のような男になって欲しいのです。」

平蔵は苦笑いする。

女との付き合いや妻への愛情の注ぎ方について教えてくれる。自分も若いときにもっとむちゃくちゃ遊んでおけばもっとでかい男になれたのかなと思うと残念である。「ひとつ、息子にはそのようにしてもらおう」かとも思うのだが、親として、冷静に考えれば、久栄の息子の教育についてはさていかがなものかと思われるのである。持って生まれた資質を無視して格好ばかりを真似できない。自分の子供についていえば、おそらく放任していても大丈夫だろうと考えていたら、そのうち親の言うことも聴かない子に育ったようだ。現代はむかしとは違うとはいえ、果たして辰蔵は平蔵のように成長するか...そして我が子らは...。また一方、我妻は夫の愛情に感謝しているのか...?

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鬼平犯科帳シリーズ_兇族&一本眉

松竹ホームビデオ(SHV)鑑賞。1巻に2本ずつ収録されているので今回からは2話ずつとする。

「兇族」では、米倉斉加年氏が一人働きの老盗賊を演じている。平蔵の命を狙う大兇族の陰謀に気づき、すんでのところで平蔵が助かる。一人働きの老盗賊が盗みの血を抑えられない一方で、己の人生を振り帰って感じる悲哀と鬼平の影に怯える心を実によく演じていると思う。このTVドラマは脚本と俳優の演技が秀逸であると思う。特に役者さんたちの演技は役作りに努力されているのか、その人物の心理を表現していて何とも味わい深いものがある。

「一本眉」では、芦田伸介氏が元おまさの頭でつとめの掟を守る大盗賊を演じている。平蔵がこのお頭と意気投合して急ぎ働きをする元手下の成敗に協力する。平蔵の身なりが奇麗過ぎるのだが、そんなことはお構い無しに男同士が打ち解けて夜通し飲み明かす。この辺りの男気が自分には無い平蔵の魅力を表し、憧れる所である。また、大盗賊ながら一本眉のたいしたところでもある。

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本当はもっとじっくりと鑑賞文を書きたいのだが、隙間時間でのやっつけメモになってしまう。しかし、鬼平犯科帳シリーズは見飽きることが無い作品のように思える。本と一緒にいつでも見直して楽しめる作品だ。

それというのも原作者池波正太郎のストーリーテラーとしての才能によるところが大きい。

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「兇族」も「一本眉」もスペシャル版があるようだ。

「兇族」については、老盗賊の足運びを特撮した点に特徴があったとぼんやり記憶している。

「一本眉」については、大盗賊を宇津井健氏が演じているものを観たことがある。また追って鑑賞したいと思う。

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鬼平犯科帳シリーズ_さむらい松五郎

世の中には自分に顔がそっくりな奴が居る。そしてそいつは声まで似ているという。

「かって仇に間違えられて怪我をした者がいる。」と平蔵が語る。

さむらい松五郎に間違えられる山口同心を坂東三津五郎が演じている。

本物のさむらい松五郎が出てくるところから、「山口同心の運命やいかに...」と、はらはらしていよいよ次の展開が気になる。

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鬼平犯科帳シリーズ_血闘&むっつり十兵衛

血闘

おまさ初登場。平蔵が「本所の銕(てつ:銕三郎から)」と呼ばれた若かりし頃、平蔵と馬が合ったおまさの父親が営む居酒屋が心やすらぐ場所だった。おまさは酔っ払ったまま寝入った平蔵に二日酔い用に玉子酒を作ってやったりした。平蔵は酒井同心と市中見回り中に立ち寄った門前の甘酒やで何年か振りでおまさと目が合う。おまさは父親が無くなったあと大阪に行ったと彦十に聞いていたが、今また江戸に居てある札差屋(武家の俸禄米を金に買える商い屋)で引き込みをやっていた。しかし、盗賊仲間が皆殺しの押し込みの計画を立てていることを知り、平蔵に相談に訪れ、再びの再会となる。

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むっつり十蔵

三十俵二人扶持の貧しい同心小野十蔵を柄本明が演じている。女房には粗末な料理しか出してもらえず、嫁入りの持参金で借金を返しただけで、一向にうだつが上がらないことを責められる。そんな男が、不幸な盗賊の女房に何故か心惹かれて、本来はまじめで嘘がつけない性格にも拘わらず、平蔵たちに隠し事をすることとなる。その隠し事を打ち明けられないまま一人で盗賊たちに囚われたその女を助けに走るが、所詮多勢に無勢、女に匕首を突きつけられて万事休す。そこに平蔵たち火盗改方が現れる。平蔵は「この愚か者!」と一喝する。唖の十蔵が大声を上げて捕り物があった盗人宿の敷地から外へ出て行く。十蔵は自分の犯したミスの責任を詫びて自裁する。遺体を見せられた妻は無表情にその亡骸を見下ろしながら膝まづく。一方、その場に飛び込んでこようとして人に止められた元盗賊の女房は十蔵の名を呼びながら泣き叫ぶ。

十蔵が大声でわめきながら走るシーンが強く印象に残る。死に顔は何故か平穏な表情に見える。柄本明の演技が素晴らしい。

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松竹ホームビデオ鑑賞

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鬼平犯科帳シリーズ_血頭の丹兵衛

おつとめの三つの掟

・犯さず、

・殺さず、

・貧しき者からは奪わず

小房の粂八初登場。平蔵に見込まれて密偵(いぬ)となる。

自分にとって三つの掟を教えてくれ、神様的存在であった血頭の丹兵衛の汚名を晴らそうと、我が身のお仕置きをも顧みず、名乗り出る。

しかし、久しぶりに再会した血頭の丹兵衛は言う。

「つとめの掟など守っていられない世の中だ...」

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粂八以外にも血頭の丹兵衛の汚名を晴らそうとする者が居た。ラストシーンで登場してくる。

大盗賊蓑火の喜之助であった。

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鬼平犯科帳シリーズ_蛇の眼

蛇(くちなわ)の平十郎はこれまで未解決の事件に絡んでいる大兇族である。

江戸は平蔵の取締りが厳しくなり、多くの盗賊は江戸から去っていこうとするが、平十郎は一人になっても江戸に残る覚悟である。

しかし、準備してきた盗(つとめ)は事前に平蔵に知られ、決行の夜は待ち伏せた火盗改方に全員捕まってしまう。

最後の捨て台詞で平十郎は、平蔵に対し、お上への恨みと己の信念を述べる。

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鬼平犯科帳シリーズ_本所櫻屋敷

かって憧れた女性を、その憧れゆえにあるいは友である平蔵との友情を尊重してか、自分の真意を伝えないまま20年近くも思い焦がれてきた岸井左馬ノ介。

憧れの女性は鬼平が裁くお白砂に引き出される身となり、自分が心の中に育んできた憧れと理想は木っ端微塵に打ち砕かれる。

そんな左馬ノ介が切ない。

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平蔵「女というものは...

   昔も無く、行く末も無く、

   今のわが身があるだけだ。

   今更だが、俺もつくづく悟らされたよ。」

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鬼平犯科帳シリーズ_暗剣白梅香

第1話「暗剣白梅香」を観た。

近藤雅臣が金子半四郎を演じる。ナイスキャスティングだと思う。

金子半四郎は仇持ちであるが、20年超も仇を追い続け、一人前の武士と認められず、藩からも忘れらえ、しかももはや仇の顔を覚えていないことに気づいている。

何人もの人を斬って来たことから身体に血のにおいが着いていると感じている。そのにおいを消すために女が使う香油を身体に着ける。

半四郎の心の変化と予期せぬ返り討ちの結末が悲しい。

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池波作品に群像シリーズ(3作品)があり、その中の一つである「仇討群像」には仇討制度に苦しむ人々の姿が描かれている。

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盗賊がこれを最後に足を洗おうとするパターンがよく出る。しかし最後の勤めは失敗に終わり悲しい結末を迎えるのが多いと思う。

鬼平犯科帳では決して悪を逃さない。結局は道を誤った人間の最期はハッピーではない。しかし、苦しめた人々の怨みを背負った盗賊の人生の終わり方としてはそれが償いをするという意味からは適当であろうと言えるのかもしれない。

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鬼平犯科帳スペシャル_流星

ビデオ鑑賞しました。

実に良くできたストーリーであると思う。

導入部で鬼平(平蔵)が風邪で寝込んでいるところから始まるが、平蔵も人間であることがまず刷り込まれる。

次に、友蔵という盗人が平蔵の枕元から、平蔵に気づかれることなく父の形見の煙管を盗み出す。そればかりか、それを日中に返しに来て代わりに印籠を盗んでいく。火盗改方の心臓部にも思わぬ隙があることを刷り込まれる。

そこに、平蔵に大きな怨みを持つ大阪の盗賊と江戸の盗賊(大兇族)が結託。凄腕の刺客が平蔵の命を狙って放たれる。火付盗賊改方とその家族を襲い、一方で急ぎ働きを行う盗賊の戦略に、果たしてどうなるのかと惹きつけられていく。

八方ふさがり的状況にあった平蔵は、その執念の見回りの成果でもあるが、やがて盗賊一味への手がかりを掴み始める。

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劇場版に一部ストーリーが使用されている。

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鬼平犯科帳スペシャル_劇場版

劇場版ということで、画面は迫力がある。

VHSビデオパッケージのキャッチコピーは「迷うな、ためらうな、一歩も退くな!」である。

劇中でのそれに続く台詞は「全ての責めはこの長谷川平蔵が持つ!」である。

男たるものかく強くありたいと願うのであるが....

平蔵の人物像を良く描いた作品だと思う。しかしそれは完全無欠の強い男という姿ではなかったように思う。

火付け盗賊改め方の長官としての責任、同僚・友人・密偵となった手下らとの交流と規律、部下とその家族への思いと配慮、護るべき家族、言うことを聞かない息子の躾、かって愛し合ったことのある女との確執と思い...と、自分たちにも身近にある様々な人間関係やそのしがらみの中で、そしてまたそこに起こってくる事件に対し、自分の流儀を通して立ち向かっていく平蔵の人間性に焦点を当てた描き方になっていると感じた。

これまで平蔵は自分の目標だったり、憧れの上司であったり、単なる警察署長だったりといった視線でいろいろな見方ができると思っていたが、本編でのような人間臭さを見せられると、それがさらに自分に身近な人物にあるいは自分の中にもある属性を持った人物に思えてくる。もちろん自分などよりはるかにスケールの大きな人間であるが。

**********

印象に残るラストシーンから(最後のお豊への囁きの意味はまだよく分からない。)

平 蔵     「久しぶりだねぇ」
荒神のお豊「今度もまた負けちまったようだねぇ」
平 蔵     「なぜこんなことをする。それほど俺が憎いか。」
荒神のお豊「ふふふ」
平 蔵     「なぜだ」
荒神のお豊「目障りなんですよ。」
平 蔵     「目障り?」
荒神のお豊「人間なんてのは-
           根性が曲がった奴は曲がったまま、不幸せな奴はいつまでも不幸せ
           生まれてから死ぬまでかわりゃあしないんだ。
           それをあんたは直そうとする。」
平 蔵     「ばかな、人を直す
          そんな思い上がったことはこれっぱかしも考えたこともねぇ
          その日その日をどうやらこうやら生きていくだけの-
          頼りねえ男さ」
荒神のお豊「それならどうしてあたしたちをほうっとかないんだ」
平 蔵    「それは
         それは俺が
         弱い者の血を流す奴が大嫌い(でぇきらい)だからだよ
         ただそれだけの話さ」
荒神のお豊「やっぱりあたしらは違うんだねえ
           こんなに違う男と女が昔は...
           さ、呼んでくださいな」
(平蔵うなずき、部下に目で合図)
(お豊隠し持っていた匕首で平蔵を背後から刺そうとする)
(平蔵その匕首を避けてお豊の手を掴み、身体を抱くようにして耳元に囁く)
平 蔵   「親も要らねば、主(あるじ)も要らぬ
        お前さえ居れば、それでいい」
(お豊匕首を柱に向かって投げつけると刺さって突き立つ)
平蔵の部下に伴われて芝居小屋から出て行く。

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鬼平犯科帳スペシャル_熱海みやげの宝物

ビデオ鑑賞。鬼平旅先での物語りで、奥方を伴って静養のために熱海に来ているところから始まる。前回鑑賞の「兇剣」と偶然にも旅つながりとなり興味深かった。今回は小田原辺りまで部下達も江戸から掛け付け、鬼平を助ける。

このビデオを鑑賞するためにはいくつかの鬼平専門用語の知識が必要である。特に以下はキーワードである。

急ぎ働き、嘗め役、嘗め帳(その他、盗人宿、つなぎ等は当然のように出てくる。)

この作品では嘗め役馬蕗の利平治をいかりや長介が演じていた。江戸家猫八演じる相模の彦十とはかってお互い親と縁が薄いという似た境遇から意気投合した間柄である。彦十は利平治を何としても手助けしてやりたいと思い、その思いに鬼平も力を貸すこととなる。

このときの彦十を演じる江戸家猫八の演技が実に良い。そして本当の身分を隠し、彦十の現在の親分という触れ込みの鬼平が利平治に向かって「江戸まで連れて行く間、悪い一味のやつらにおめえさんには指一本触れさやしねえ。」の旨請け合うところがまたまた良い。こういうときの鬼平は実に頼もしく頼りになると感じ、見ていてわくわくする。どこかの国の最高権力者にも欲しい魅力である。

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小説を自分のイメージ想像で読むのと違って、映像は時代考証も踏まえて作られていたりして情報量が豊かで別の楽しみ方ができる。

今回は特に最後の「嘗め帳」にびっくり感動した。鬼平が利平治が作成した三冊の嘗め帳を幾日も飽きずに読んでいる。奥方が何を読んでいらっしゃるのと訊くとぽんと渡して「熱海みやげの宝物さ。」と言う。奥方が開いたページを見ると普通の文字ではない。何か特殊な規則に従った暗号のような文字でいろいろと書いてある。平蔵(鬼平)も「最初は俺もさっぱり意味が分からなかったが、眺めているうちに少しずつ内容が掴めてきた。」と言う。このときの嘗め帳の映像に感動したのである。こればかりは自分の想像を超えていた。暗号文字を用いたところがそれである。これだけでもこのスペシャルは実に自分にとって価値がある一巻であった。

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小説とビデオのどちらにしてもとにかく鬼平シリーズは読んだり観たりしていて物語の中に引き込まれるし、読んだ後また観た後の気持ちが何とも満たされたり、スカッとするのが良い。長谷川平蔵の人間的魅力に共感するからだと思う。

次はスペシャル劇場版を鑑賞の予定である。

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鬼平犯科帳スペシャル_兇剣

スペシャル鑑賞の第4作目とした。

鬼平が京都・奈良に出かけたときの物語である。屋外ロケが多く、明るい場面が多く、また時にのどかな旅の情緒があって、いつもの鬼平のドラマとは違った雰囲気が味わえる。

鬼平のぽん友左馬之介(岸井左馬之介)が江戸の自宅を訪ね、「京都に行ってて留守だ」と知るや京都に向かい、奈良で危険に遭遇している鬼平を間一髪で助けるというところはちとできすぎ、やりすぎの感もある。が、このスペシャルではお供の忠吾以外はいつもの登場人物が居ないので、大勢の悪役に対して味方が増えるとほっとするところもある。

悪役の親分が、方向に来ていた娘に詫びつつ自決するラストシーン、鬼平の台詞にその人間哲学を垣間見る。悪人にも善の心がある。ただ「おめえも生きる道を間違ったなぁ。」

「人間というものは...」である。

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鬼平犯科帳スペシャル3本立て

中村吉右衛門は最高の適役だと思って、このシリーズを楽しみ観ている。最新作はテレビ放映された「引き込み女」だった。

これに刺激を受けてまたまた『鬼平虫』が疼き出してしまった。町の図書館でBHSビデオを借りて来て一日1本のペースで観た。

「人間というやつは、遊びながら働く生き物さ。

善事を行いつつ、知らないうちに悪事をやってのける。

悪事をはたらきつつ、知らず識らず善事をたのしむ、これが人間だわさ」

今回観たスペシャル版

1.殿さま栄五郎

2.炎の女

3.ふたり五郎蔵

おまさ(梶芽衣子)が若くてきれいだった。

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鬼平

先週金曜日に放映された「鬼平犯科帳スペシャル『一本眉』」の録画、観るのをすごく楽しみにしていたが、いろいろあってやっと昨日鑑賞。いやー良かった、感動した!何がいいのかって、やはり主要登場人物それぞれの人間味と鬼平の人情味だろうか?原作者の人間観察と理解に触れると、何かこう生きていくエネルギーみたいなものを貰えた気がする。

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