泥亀(すっぽん)_鬼平ビデオ第6シリーズ第3話
荒物前回鑑賞記録文は次のようなものだった。
『☆☆☆☆ 仏の平蔵、人情全開の一編。彦十「金のなる木と色恋は望んで手に入るものじゃなし♪、ってね。」』
自分ながらこれでは何がどうしてそういうことなのかが全く分からない。ということで、再鑑賞と相成ったのだ。
なお、ストーリーは翻案されて原本のそれとは少し違っている。
<登場人物>
泥亀(すっぽん)の七蔵:三田寺町の魚籃観音堂・境内の茶店〔泥亀茶や〕の亭主
関沢(せきざわ)の乙吉:錠前外しの名人。筋目の通った一人働きの盗賊。
牛尾の太兵衛:七蔵のかつてのお頭。中気に罹り、かっての手下たちに裏切られて亡くなった。七蔵は太兵衛とその妻と娘に大恩を感じている。
梶ヶ谷(かじがや)の三之助:太兵衛一味の小頭。中風に罹った太兵衛に見切りをつけ仲間と共に裏切る。
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おまさと彦十魚籃観音堂で盗賊に遭遇することをお願いする。二人とも密偵としての事件が無く暇を持て余している様子。同所境内の茶店屋にて、彦十、おまさのふところをあてにして団子で酒を飲む。
彦十「金の生る木と色恋は 望んで手に入るものじゃなし。ってね。」
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七蔵、町でばったり関沢の乙吉と出あう。
乙吉は昔七蔵がお世話になった牛尾の太兵衛が亡くなり、そのおかみさんと娘の消息も知れないと話す。太兵衛一味の小頭梶ヶ谷の三之助が中風に罹った太兵衛に見切りをつけて裏切ったとも。
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七蔵の回想
七 蔵「これは?」
太兵衛「お前の退き金だよ。お前の気性はやっぱり盗人にゃ向いていない。」
七 蔵「お頭、やっぱりあっしにゃ能がねえと?」
太兵衛「はっはっは、盗人に向いていないのは結構じゃないか。」
女房のおしま「その上お前さんは難病持ち。この辺で足を洗うのが良策だよ。」
七 蔵「姐さん、目の不自由なおみつさん抱えてこれからいくらあっても足りねえおあしなのに...」
娘のおみつ「七蔵さん、先のことは先のこと。そのおあしはみんなの気持ちです。きれいに受取って堅気になっておくれ。」
七蔵、金をおし戴く。
現実に戻って、
七 蔵「こんな俺でも何とか、何とか一人働きで恩義を返す金をつくらにゃあ...」
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彦十、関沢の乙吉と会う。おまさもいる粂八の船宿に連れて行き、七蔵についての話を聞く。彦十たちは乙吉を船宿に留めておき、平蔵にそのことを知らせ、忠吾とやってきた平蔵は乙吉を捕える。火盗改は乙吉を拷問に掛けるが、乙吉は一言も情報を漏らさなかった。
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彦 十「ねえ、銕っつあん、いやー長谷川様、どうやら七蔵の野郎一人働きをするつもりらしく盗み場を探しまわってるようですぜ。」
おまさ「あんな病人に何ができるもんですか。」
平 蔵「何、病人?」
彦 十「へっへっへ、尻を抑えてね、足を甲ひきずりね。へっへっへ、あの野郎ね、どうやら何か痔が悪いようでござんすよ。」
平 蔵「ほほう、痔持ちの盗人か。こいつぁおもしれえな。」
彦 十「だからね、あのね、なかなかふんぎりがつかねえらしいんですぜ。」
平 蔵「なぁーーにぃーー」(平蔵おやじギャグに思わず横目に苦々しく彦十を見る。)
平 蔵「一人働きにはたった一人で盗みをし、人知れず逃走する技と気迫が要る。まず並みの苦労じゃあねえな。」
粂 八「それがどんなに難しいことか、やろうにも分かって来たんでござんしょ。」
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平蔵は粂八に関沢の乙吉の使いとして乙吉から取り上げた五十両を七蔵に手渡させた。
七蔵はその金を貰っておしまとおみつの行方と安否を尋ねて、おしまの妹の嫁ぎ先がある三河の御油に向かった。その妹は二人をごくつぶしと言い納屋に住まわせ牛馬のように扱っていたのだった。山の柴刈りから帰って来た親子を認めた七蔵....
七 蔵「おみつさん!」
おみつ「七蔵さん??」
おしま「七蔵さん、こんなところまで!恥ずかしいよ、こんな様子見られちまって...」
七 蔵「恥ずかしいのはお二人をこんな目に合せた三之助の恩知らず者だ。おみつさん...」
おみつ「夢じゃないかね...夢じゃない!見えない私の目の底に七蔵さんの姿がはっきり浮かんでいる。」
七 蔵「お二人とも、もう苦労はおしめえでござんすよ。七蔵が来たからにゃあ、もう、もう、苦労はおしめえでござんすよぉ。」
三人抱き合って泣く。
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七蔵は五十両で御油で売りに出されていた小さな荒物屋の店を買いおしまとおみつに与え、そのまま江戸は品川宿へと帰ってくる。
七蔵をつけていた火盗改のうち忠吾が一足先に役宅へ戻り、平蔵にこのことを報告する。
平蔵、忠吾に品川宿で七蔵を捕え連れてくるように命じる。
数日後、七蔵は役宅まで引き立てられた。
そしてふと牢に入れられていた関沢の乙吉を見つけた。
七 蔵「乙吉どん!あんたのような筋目の通ったお人でもあっしを裏切ったのか!?」
乙 吉「ちがう、ちがう!俺は裏切ったりしない。騙したりはしてねえ!」
七 蔵「だったら、あっしに預けてよこした五十両って金は、あれはいってえ何だ?」
乙 吉「五十両?ううん(首を強く横に振る)」
沢田同心「乙吉、我らがお頭がお前から取り立てた五十両、あの汚い五十両、実はこの七蔵のふところを通って太兵衛母娘の暮らしをきれいに救ったのだ。人間とは奇妙なものだなあ。」
乙 吉「ありがてえ!そうでござんしたか!」
七 蔵「金の出所は知らなかったが、その通りだよ。姐さんもおみつさんも泣いて喜んで下すったよ。」
乙吉、うなずく。七蔵、小さく礼して立ち去ろうとする。
乙 吉「七蔵どん!あの世で会おうよ!」
七蔵、大きくお辞儀して去る。
乙吉、すすり泣く。
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平 蔵「七蔵、お前は長い間藤枝宿の太兵衛一味の盗人宿の番人をしていた。」
七 蔵「へへい。ほんの下働きでございまする。」
平 蔵「したがって、以前の太兵衛一味の処々方々の盗人宿の在りかを残らず知っておろう。それを正直に申せと言っておるのだ。」
七 蔵「へい、へい、申し上げまする。なれど、お頭のおかみさんと娘さんはどうなりますんで?」
平 蔵「お前がこれまでの罪滅ぼしに、我らに力を貸せば全て忘れてやる。」<司法取引だ。>
七 蔵「えっ!誠ですか?」
平 蔵「うむ、誠だ。では訊くが、きゃつの江戸での盗人宿はいずこだ?」
七蔵、答えない。
平 蔵「江戸の盗人宿はどこだと訊いているんだ!」
七蔵、口をつぐんだまま。
平 蔵「おい七蔵!おめえ、嘘偽りなく申し立てると言ったじゃあねえか。」
七蔵、黙っている。
平蔵懐から白鞘の匕首を取りだしそれを七蔵の前に放り投げながら
平 蔵「おめえ、これで何をするつもりだった?品川宿の手前でその匕首を買ったそうじゃあねえか。おい、七蔵!世間じゃ往々俺のことを鬼の平蔵と言い、また仏の平蔵とも言う。おぅ、おめえ俺のどっちの顔がみてえんだ!?」
七 蔵「申し上げます。あっしにゃ、その匕首で太兵衛お頭一味を裏切った三之助に罪を...敵わぬまでも一刺し刺す...刺すつもりでございました。」
平 蔵「では今の三之助の在り処を知っているのだな?」
七 蔵「へい、太兵衛お頭の江戸の盗人宿、下谷(したや)の氷川明神の境内で三之助一味が集まり、年内にひと仕事するつもりだと、関沢の乙吉どんが、そう申しておりました。」
沢田同心「年内と言えばあと四、五日しかない!」
平 蔵「それで?」
七 蔵「へい、私めはきゃつら一味を手助けするつもりでそこへ入り込み、隙を見て三之助を一刺し刺すつもりでございました。」
平 蔵「よう吐いた。お前がせめて三之助に一太刀をと願う気持ちも得難い。だがな、この裁きは我ら盗賊改めに任せろ。七蔵、場所は下谷氷川明神の境内だな!?」
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平蔵、見事に三之助を切り捨てその一味を捕え、役宅へ帰って来た。
平 蔵「七蔵!七蔵はおらぬか!?」
おまさと彦十に連れられて七蔵が出てくる。
平 蔵「七蔵、取り物もお陰で済み、お前に代わって三之助の裁きもわしが着けたぞ。」
七 蔵「勿体ないことで!」
平 蔵「おまさ、支度はできたか?」
おまさ「は、整いましてございます。」
おまさが役宅の門扉を開けると、その外に籠が一丁用意してある。
平 蔵「おい七蔵。今夜からは魚籃観音の店であったかくして眠るがいいや。」
七 蔵「えっ!?手前は?」
彦 十「御恩忘れるんじゃあねえよ。お目溢(こぼ)しだ。」
おまさ「これからは茶店のあるじとして静かにお暮らしなさいね。」
七 蔵「へへへーっ」
平 蔵「あっ、一言忘れていた。伊皿子台の中村景伯先生へ、よろしくな。」
七 蔵「へっ!?へへへへへーっ。」
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なお、「お目溢し」というのは平蔵とて簡単に決断できるものでないことは別の記事に書いたことがある。






















































































































