隠し砦の三悪人_The Last Princess (2008)
★★★☆☆
黒澤明監督作品の「隠し砦の三悪人」のリメイク版。
ストーリー展開はテンポ良く、敵を欺く策略やピンチに陥るところ、それを克服するところなどハラハラドキドキして娯楽作品として面白いと感じる。
しかし、黒澤明作品と比べると、武蔵(松本潤)が主役でイケメンすぎ、雪姫(長澤まさみ)との絡みがややラブラブしすぎと感じる。つまり、黒澤作品のそれとはストーリー構成も含めて全く別の作品として観るべきだったのだ。反省している。
一方で、真壁六郎太(阿部寛)と新八(宮川大輔)の演技は非常に良かった。特に新八の演技は観ているだけで身体がムズムズして来るようで印象深いものがあった。
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さて、何故「三悪人」なのだろうか?「三人」とは誰と誰と誰か?
映画の中の雪姫の言葉に、「悪人はこの私だ。」というのが出てくる。戦争を仕掛けて民を苦しめる侍達が最もワルであるが、身分を隠して逃避する自分のために罪のない民が捕らえられ拷問を受けたりあるいは命を落とすのを見て言った言葉だ。
してみると一つの悪とは民を苦しめることである。しかし、雪姫は悪人ではない。
一番単純に考えて、三悪人とはその雪姫を危険な状況に置く、真壁六郎太と武蔵と新八の三人である。
毒を以って毒を制すというが、悪人の象徴である山名の侍の軍勢を出し抜くには、こちらも悪人でなくてはならぬという感じだろうか。
武蔵と新八は金だけが目当ての小悪党だ。
新八はその信念とモチベーションで一貫していたので、キャラクターが明確だった。
一方、武蔵は物語の山場では正義感や雪姫や六郎太たちの信頼を裏切れないという気持ちに突き動かされて行動した。(主役の設定ゆえ。)
真壁六郎太は真からの悪人ではない。だから話がややこしい。しかし、小悪党の二人を騙して利用しようとする行為は雪姫にたしなめられた。
結局人を騙し、人の心を玩び、己の利益のために人を利用するような奴は皆悪党ということだろう。
それぞれ違った目的を持った三人が、ふとした縁から出会い、チームを組むことになり、当初はそれぞれの思惑優先でチームワークは危うかったものが、行動を共にしていくうちに利害が一致し、次第に統制が取れてくる。そしていつしかそこには絆のようなものが生まれて最後は悪に打ち勝つのである。
そして、最後は別れが来る。勝手気ままな自由な生き方が性に合っている小悪党と、民のために政治の中で生きてゆく運命を負わされた姫や侍大将はそれぞれ別々の人生を生きてゆくのである。
この運命の別れを象徴する台詞が『裏切り御免』であろうか。
さて、ラストまで観たところで、最初は悪人であった者たちは、最後には善人になったのだろうか?
答えは否であろう。戦乱の世は彼らに臨機応変に生きることを強いるだろうから、生存し続けるために必要な悪もあろうかと思うのである。
【参考】Yahoo映画 http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id329346/
隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS
原題:-
製作年度: 2008年
別題:-
製作国・地域: 日本 上映時間: 118分
解説: 黒澤明監督の傑作『隠し砦の三悪人』を『日本沈没』などの樋口真嗣監督がリメイクした歴史娯楽大作。切羽詰まった状況下で、それぞれ身分の異なる若者たちが果敢に敵に挑む姿をスピード感あふれる映像でみせる。主演に嵐の松本潤、自国の運命を握る姫役に長澤まさみ、姫とともに行動する侍を阿部寛が演じている。窮地に陥りながらもあきらめずに前進する彼らの知恵とパワーに圧倒される。
あらすじ: 戦国時代、小国の山名は隣接する大国早川陥落を狙い、まずはもう一つの隣国である秋月に攻め入り成功を収める。その城内で山名の軍勢は秋月の軍資金である“黄金百貫”を見つけようと躍起になっていた。そんな折り、城で強制労働をさせられていた武蔵(松本潤)と新八(宮川大輔)は逃走し、偶然滝のほとりで黄金百貫を見つけるが……。
キャスト・スタッフ
監督 樋口真嗣
製作総指揮 - 原作 -
音楽 佐藤直紀 脚本 -
松本潤 (武蔵)
長澤まさみ (雪姫)
椎名桔平 (鷹山刑部)
宮川大輔 (新八)
阿部寛 (真壁六郎太)
映画レポート「隠し砦の三悪人/THE LAST PRINCESS」“キャラ立ち”に全精力を傾けた今風のエンターテインメント
オリジナル版を律儀になぞった森田芳光版「椿三十郎」に欠けていたもの、それはテンポだ。樋口真嗣版「隠し砦の三悪人」は、50年前に黒澤明が冒険娯楽活劇を刷新した精神を、まず同時代の生理に対応するスピーディーで快活な話法によって踏襲した。 お国再興の軍資金となる黄金を隠し持ち、身分を隠した姫と侍が幾多の関門を突破していく骨子を変えず、軽やかに換骨奪胎された物語は、さながら空想時代劇アニメの実写版といった趣。原始人と見まがう松潤の姿や、もろダース・ベイダーな椎名桔平の扮装も違和感なく、長澤まさみの男装のツンデレ姫はいつになく輝いて見え、虚構の構築は見事に成立している。突破困難な枷の変更や決めゼリフ「裏切り御免」の使用法、山の民という下流社会の視点の導入や姫の恋&成長譚といった脚色も冴えている。何よりもこれは“キャラ立ち”に全精力を傾け、それぞれのぶつかり合いを楽しむ今風のエンターテインメントだ。エンディングに流れる布袋×KREVA×亀田のユニットによる弾けたサウンドもハマっている。 世代感を活かしながらも人間描写に深みが足りなかった過去2作(「ローレライ」「日本沈没」)に比して、樋口は水を得た魚のよう。VFX出身の彼は、カタストロフを視覚的にデザインするプロではあっても、「死」を描く作家ではない。今回は内面や背景を描くのではなく、キャラを動かすことで自由闊達に2時間弱を泳ぎ切った。難を言えば、豪華なセットを組んで臨んだ砦におけるラスト30分はもどかしい。とはいえ、過酷な状況を用意して「生」を描くハラハラドキドキこそが、樋口映画の本質であることは十分に実証された。(清水節)(eiga.com)
[2008年05月02日 更新]
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