鬼平犯科帳シリーズⅨ 一寸の虫&男の隠れ家
鬼平犯科帳シリーズⅨ 一寸の虫&男の隠れ家
第7話 一寸の虫 ☆☆☆
平蔵が短銃で撃たれそうになったところを自分が盾となって助け負傷した仁三郎。その仁三郎の日々の生活の世話をするためにおまさが派遣されてきた。平蔵の計らいによる。仁三郎は「おまささんは本当にきれいだ。」と誉める。「五色の雲から下りてきた観音様のようだ。」と。おまさ「そこまで言うと嘘になる。」と照れて(?)ちょいと否定する。
ところがおまさはあるときから急にそんな仁三郎が笑わなくなったのに気付き不審に思う。
相談を受けた五郎蔵が仁三郎を飲みに連れ出して話をする。
五郎蔵「自分の命はいざとなれば長谷川様にお預けすることにしている。長谷川様は死んだ密偵の女房、子どもの面倒まで見続けてくださる方だ。いや死ねと勧めてるんじゃねえ。覚悟の話さ。そういう覚悟があれば迷いはねえ。怖いものは何もねえってえ話さ。」
仁三郎「そうか。そんな簡単なことにどうして気がつかなかったのだろう。」
五郎蔵は偶然江戸に入っている船影の忠兵衛を目撃する。そして忠兵衛の周辺を見張り、終に平蔵は、忠兵衛一味の計画を察知する。
苦悩していた仁三郎であったが、忠兵衛の今回のおつとめを横取りして忠兵衛に一切の罪を被せようと企む鹿谷の伴助(伴助は同時にその計画に仁三郎を巻き込むために、仁三郎の一人娘おみののことを嗅ぎ付けて脅迫していたのだが)とその一団を一人で始末しようと最終決心し、お勤めの夜に全員が集まったところでまず伴助を匕首で刺した。しかし、7人もの敵を相手に終には命を落とす。その盗人宿を見張っていて異変に気付いた火盗改方が飛び込むが間に合わなかった。この異変により伴助一団は忠兵衛の本隊との合流計画が達成できなくなった。しかし、忠兵衛たちが狙う店には既に平蔵たち火盗改方が先回りして待ち受けており、踏み込んできた忠兵衛一味を捕まえた。忠兵衛は部下達に手向かうな、恐れ入りやしたと縛に付く。
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平蔵「そうか、仁三は以前船影の忠兵衛の手下であったのか。」
五郎蔵「忘れてはならねえ恩人の一人だと言っていたそうでございます。仁三郎さんは命を捨てて何かご恩奉侍([名](スル)貴人のそばにいてその人のためにつくすこと。)をなさったに違えありません。」
平蔵「うむ。まさしく覚悟の働きであったようだのう。」
忠吾「でも...一体何があったのか?いや、何があったにせよ、そのことを何故お頭に...。打ち明けてくれればどのようにでも計らってやれましたのに...。」
五郎蔵「それができねえ板挟みになっていたんでござんしょう。同じ立場のあっしらには良く分かることでござんす。」
おまさ「それにおみのっていう娘さんのことを...。三つ巴に...考えて考えて...考え抜いて...」(泣く)
平蔵「その挙句におのれの命を投げ出した。憐れなようだが当人はそれで救われたのであろうよ。他に手立ては無かったのだ。」
久栄「この手紙、『おみののことをお頼み申します。お頼み申します。お頼み申します。』と三度も。仁三郎がこれを書いたときの気持ちを思い遣ると切のうて、胸の潰れるような思いがいたします。」
平蔵、目をつぶったまま...何も言わない。
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平蔵「忠兵衛、ひとつ訊きたいことがある。」
忠兵衛「何でございましょう?」
平蔵「昔、まだ江戸に居る時分、お前の配下に仁三郎という男は居なかったか?」
忠兵衛「仁三郎でございますか?さあ、存じませんなあ。」
平蔵「何、知らぬ!?おまえのことを大恩人と仰ぎ、その教えを片時も忘れずに居た男だが?」
忠兵衛「ほう。どうも覚えがございませんなあ。」
平蔵「そうか。知らねえか。」
忠兵衛「そのお方がどうかしなすったんで?」
平蔵「うん?死んだ。一寸の虫が義理と筋目を通してなあ。」
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その後、平蔵は市中見回りの時に幼いおみのが鞠つきをしているところに立っていた。おみのの手から逸れた鞠が平蔵の足もとに転がってきて止まる。鞠をひろって腰をおろすと、駆けて寄って来たおみのの頭を右手で撫でながら顔を覗き込む。平蔵は笑顔でおみのを見つめた。
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仁三郎は忠兵衛の配下だったとき押し込み先で女を手篭めにしようとした。そのとき忠兵衛は盗みの掟を破った罰として仲間に命じて仁三郎をこっぴどく叩かせた。そして今後一切俺の前に現れるなと縁を切られた過去があった。後にも先にも仁三郎が忠兵衛と関わったのはこの一事だけであったようだ。しかし、仁三郎はこのとき本当に大事なことを教えて貰ったと思った。
<キャスト>
密偵 仁三郎 火野正平:15年前に忠兵衛の手下であったことを平蔵に隠している。忠兵衛は自分に人としての生き方を教えてくれたので忠義が有ると思っている。一人娘のおみのを妹夫婦に養女として引き取って貰っている。
船影の忠兵衛 高橋昌也
鹿谷の伴助 高橋長英:忠兵衛に恨みを抱き仕返しを考えている。仁三郎を「おみのは可愛い盛りだ。」と脅す。
不動の勘右衛門 五味龍太郎、名草の与八 本城丸裕(先日ホタルを見に行ったのは名草だった)、袋井の富蔵 門田俊(袋井は滝で有名だ)
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第8話 男の隠れ家 ☆☆☆
平蔵哲学を語る。
平蔵「人という奴は、もともと訳の分からぬ生き物ではないか。心の奥底にはおのれ自身さえも訳の分からぬ魔物が棲んでいるものよ。」
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弥吉「恐れながら長谷川様、犬になるほどならこの体八つ裂きにしていただいてもよろしゅうございます。お笑いになりましょうが、あっしら盗人には盗人の決まりというものがございますんでね。」
平蔵「うむ、いい覚悟だ。この数日でおまえの裁きを着ける。その時の覚悟もしておけ。」
裁きの日、平蔵は弥吉を縛っている縄を大刀を一振りして斬り解き、そのまま放免してやった。
さて、物語が進むに連れて弥吉が犯し平蔵に捕らえられることになった罪が明らかになる。
五鉄の二階で
平蔵「碧の黒髪は女の命だてえが、そうかい、吉野屋の女房この一件ですっかり大人しくなっちまったか。」
おまさ「長患いと言って部屋に閉じ篭り、三度の食事もご亭主に運んでもらって、中むつまじく一緒に食べているそうでございます。」
平蔵「ふーん。いや、清兵衛という男も今のうちだな。髪はやがて伸びてくる。その時が来たらどうなるか?以前のままだとまた見くびられちまうに違えねえ。いや、女が大人しくしているのは当座のときだけだ。いやはや女という生き物は盗賊よりも恐ろしい。なあ、おまさ?」
おとき「私も女でございますよ!長谷川様!」
彦十「それにしても弥吉の野郎、盗人のくせに洒落たまねをしたもんですね。」
平蔵「あー、江戸を発つ前に置き土産のつもりで清兵衛の恨みを晴らしてやろうと考えたのさ。弥吉にしてみればよっぽど大事な友達だったに違えねえ。」
おまさ「心を許し合った相手など見つかるものじゃございませんからね。ましてや盗人の仲間じゃ。」
平蔵「ふふふ。今の世の中、酔狂な奴が消えちまってつまらねえと思っていたが、あー、この世も満更ではなさそうだ。弥吉のような盗賊が残っていたかと思うとな。」
それから数日後。平蔵は船着場で船に乗り込み釣り糸を垂れている。
弥吉「長谷川様!」
平蔵「このわしに何の用だ?」
弥吉「もうたくさんでございます。長谷川様。牢を出た後は毎日が恐ろしく、いつもいつも長谷川様の目がこの私を見ておいでのようで。いやもう、夜もおちおち眠ることができず...思うように手足も動かせぬ有様で。恐ろしいお方でございますなあ、長谷川様は。いつから分かっておいでだったのでございましょう?この私が戻ってくるものと?」
平蔵「それで、どうするつもりだ弥吉?」
弥吉「へえ、この通りで...お上の御用、長谷川様が申されるとおりに相勤めます。」
平蔵「....」
弥吉「長谷川様!」
平蔵「何を言って(orして?)やんでえ!早く俺の船に乗らねえかい!」
弥吉「へい!」
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平蔵の言う「俺の船」という言葉が印象深い。大船か?
<キャスト>
玉村の弥吉 地井武男
吉野家清兵衛 小野武彦
お里 紅萬子:清兵衛の妻
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