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鬼平犯科帳シリーズ_山吹屋お勝&敵(かたき)

松竹ホームビデオ鑑賞 第20話、第21話

山吹屋お勝

平蔵の密偵利八と引き込み女おしの(お勝)の悲恋物語。

平蔵のいとこ巣鴨の大百姓・三沢仙右衛門(54歳)が茶屋山吹屋の女お勝に惚れ込んでしまい、自分の女房にすると言い出す。平蔵は身元を確かめに行くが、女の手首あたりを掴んだところ、その自分の腕を引いて振り払うのではなく一度平蔵の身体に寄せて来て離させたことから、普通の女ではないと睨む。木村忠吾が指図する密偵利八に探りを入れさせるが、山吹屋に乗り込んだ利八はその女がかっての盗賊仲間で、恋仲となってしまったために、掟破りとして頭(夜兎の  )に左手小指を詰めるけじめをつけさせられることとなった相手のおしのだったことを知る。利八はおしのに会わないようにして店を去るが、おしのの住まいを突き止め潜入して帰りを待つ。利八はおしのを今でも愛していることを知る。しかし、今おしのには愛し合うまさという男が居た。利八はかって自分が犯した同じ間違いを再び繰り返そうしているおしのを知り、自分のおしのに対する思いを抑えて、二人を逃がそうとする。平蔵はいとこを救ってくれた手柄を褒め、利八の勝手な行動を咎めないこととする。そればかりは、「今夜は飲むしかあるめえ。」と言って小判を一枚渡す。ここがいい!平蔵の人を思いやる気持ちが出てきて感動を禁じ得ない。

しかし、利八のその企ては兇族の頭にばれ、まさは盗賊たちに半殺しにされる。おしのはそうとは知らずに平蔵の手が伸びてきているから逃げるようにと連絡にやってくる。頭はおしのにまさの姿を見せ、驚愕するおしのも一緒に殺そうとする。そこにお篠尾行してきていた利八が飛び込んできて助けようとする。しかし多勢に無勢で二人とも匕首で刺されてしまう。そのとき平蔵たち火盗改方が乗り込んできて一味を捕らえる。死期が近づいた利八はなおもおしのの身を案じる。平蔵は「おしのの傷は浅手だ。命は助かる。」と偽る。利八は微笑むようにして命尽きる。一方、お篠ももはや虫の息で、目も見えなくなっている。最後に本当に惚れていた男利八の名を呼びながら手は空を掴もうとする。平蔵はおしのの身を抱き起こして抱え、黙ってその手を掴む。おしのが「利八さん」と呼ぶと「あいよ(うん、だったか?)」と答えてやる。

利八を森次浩次、おしの(お勝)を風祭ゆきが演じる。平蔵のいとこがお勝に惚れた理由として「母の乳の味がする女だ。」という。池波正太郎は女の描写が実に上手く、小説を読んでいてそうかと思わずうなりたくなることがあるが、テレビドラマや映画ではその描写については省略され、ナレーションで解説的に語られることもない。例えば「凝脂の乗った」などという表現が印象に残るものの一つだが、これまでのビデオや映画でそのようなことばは一切表れてきていない。ところが本編では「乳の味がする女」といとこに語らせた。ここがとても印象に残った。そのせいかその夜母親の夢を見たくらいだ。(なお、認知症で入院加療中の母はこの日胃瘻(いろう)の器具の先端が体内に落ち込んだというので日赤病院で摘出手術を受けたと父から知らされた。父はオペの前に同意書にサインさせられたことから、とても心配になっていたが、手術は無事終わり、父も兄夫婦や妹夫婦達も安心したらしい。こちらのインパクトの方が大きかったのであるが...)

この「乳のにおいのする女」を風祭ゆきが演じている。平蔵も山吹屋で観察してなるほどこんな女なら年取ったいとこが入れ込むわけだととうなずく。が、当方としてはいまいちよく理解できなかった。しかもおしのに接する平蔵が実に行儀と品が悪いのにも戸惑った。しかし、おしの役の風祭ゆきは色めかしくて良かった。じぶんとしては乳のにおいというと色白丸ぽちゃ系を想像していたが、むしろ骨っぽいどちらかというと痩せ型の女性となっていたように感じた。とにかくいいおんなっぷりであることはたしかで、そんな自分の感想などどうでもよいことなのだが。

利八を演じた森次浩次、これには子供の頃観ていた「ウルトラセブン」の印象が強くて、強い正義の味方という潜入感がかすかながら残ってしまう。モロボシダンは死ぬはずがない、密偵だし平蔵たちが助けてくれると思い込みつつ見ていくと、これが悲痛な最後を遂げる。

つとめ前の盗賊団の中での男女の関係に関するルールはかくも厳格であるかと思えば、一方で彼らは急ぎ働きをやる。盗賊たちの自分らに都合の良いような掟ではあるが、その集団の中に居る限りはその掟に縛られなくてはならない男女の愛や哀しきである。

敵(かたき)

五郎蔵登場。仕置きを受けることに替え、平蔵の密偵となって畜生働きの兇族を捕える協力をすることでこれまでの悪事の償いをすることを決心する。

これは大盗賊の系譜を知るのに良い一編である。平蔵が佐馬の介の報告を受けて筆書きしてまとめた系統図は思わずメモしておこうと思った。

殺さず、犯さず、貧乏人からは奪わずの掟を厳格に守る立派な頭が居て、その下に手下が育つが、その中で頭の立派さを継承する者と畜生道に走る者とが出てくる。得てして後者の方が勢力を持つようになる。五郎蔵もかっての手下を信用して再び最後のおつとめを画策するが、勝手の手下達は全て裏切り者の仲間と成り下がってしまっていた。

五郎蔵の計画を、その手下達もろともそっくり横取りしようとする悪党に、五郎蔵は命の窮地に追い込まれる。しかし、そこに平蔵たち火盗改方が乗り込んでくる。平蔵は手出しさせぬから敵を討てと五郎蔵に言う。五郎蔵はそれにうなずき敵討ちを果たす。

佐馬の介が何となく五郎蔵を気に入ったというところから、平蔵も五郎蔵に関心を持つようになったことが描かれている。しかし、そのような人間的に優れている五郎蔵が盗賊になったとは、一体どのようにして生きる道を誤ったのか?

山吹屋お勝

http://www.asahi-net.or.jp/~an4s-okd/private/bungaku/bunoni035.htm

http://www.jtex.ac.jp/onihei_17.html

敵(かたき)

http://www.asahi-net.or.jp/~an4s-okd/private/bungaku/bunoni028.htm

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